【教育】【マネジメント】「一人前」と「赤ん坊」を分ける接し方
みなさんこんにちは。発信者です。
今回は、部下への接し方についてのお話です。
「部下のストレスにならないよう、腫れ物に触るように接している」
「自分が完璧にできていないから、厳しいことは言えない」
いま、日本の職場に溢れる、部下の顔色をうかがう「草食系リーダー」。
ハラスメントを恐れ、波風を立てないことを最優先。しかし、その「優しさ」は、本当に部下のためになっているのでしょうか。
1. 弱みではなく「強み」を、訓練ではなく「教育」を

ピーター・ドラッカーはこう言っています。
「不得意なことで何かを行わせてはならない。弱みを気にすることなく強みを生かさなければならない」
部下を育てる際、私たちが陥りがちな「欠点の修正」。
部下の欠点をなくそうと試みる。
しかし、成人した人間の個性を変えることは困難です。
リーダーの仕事は、部下の弱点を埋めることではなく、その「強み」が組織の成果に直結するように配置すること。
そして、目先のスキルという「訓練」を超えて、部下のキャリアと人生に関わる「教育」を行うことだ、とドラッカーは言っています。
2. 「厳しさ」とは「尊敬」

ここで、多くのリーダーが「厳しくすること」に罪悪感を抱きます。
しかし、その「情け」は組織にとっても部下にとってもよろしくない。
例えば、提出物が遅れた部下に対し「いいですよ」と大目に見てあげること。
一見優しいこの行為は、実は相手を「自分で考えて選ぶ力のない、理性なき赤ん坊」として扱っているのと同じ。
「かわいそうに、受け取ってあげよう」と言うのはやさしい。
しかし、それではあまりにも人形みたいな、考える力も選ぶ力もなかった人であるかのような接し方になる。
期限に間に合わせるために一生懸命努力した人に対しては、一個の人格として認め、真摯に接することが誠実な対応です。
「あなたには選ぶ自由があった。だからこそ、その結果に責任を持ってもらう」
これこそが、相手の人格を尊重した、真の「尊敬」の形なのです。
3. 「適度なストレス」と「激励者」の役割

人間は適度なストレスがある時に最もパフォーマンスが高まります(ヤーキーズ・ドッドソンの法則)。
「ビジネスには品質と期限がある」という当たり前のことを徹底することは、部下が仕事の品質(どれだけのレベルで仕上げるのか)と期限(期限までに出すか、遅れるのか、遅れるとしたらどのように説明するのか)を「選ぶ力」を信じ、プロとして自立させるための教育です。
もし部下が失敗し、転んでしまったら、リーダーはドラッカーの説く「激励者」として助け起こせばいい。
「うっかり」という弱さは誰にでもあります。
それを責めるのではなく、責任を取らせることで教訓へと変えさせる。
そして、次は失敗しないように励まし、一緒に改善策を考える。
この「厳しさと温かさ」の両立こそが、人を伸ばす道です。
リーダー自身が完璧である必要はない。
完璧ではないリーダーが、自分ができなかったことを自覚し、部下ができるように教育していくことで、組織の力は高まっていくのではないでしょうか。
自分のコピーやミニチュアだけができていくのでは、組織の成長はないですよね。
だからこそ、部下に対して、自分ができないことでも言うべきことは言う、やるべきことはやらせる、というスタンスで、あるべき姿を求めていくことが重要になります(自分が努力しなくてもいい、ということではありませんが)。
こういった強気な姿勢が、部下との信頼関係を構築します。
マネジャーの姿勢や判断基準に、一定の首尾一貫したものがあれば、部下はある程度信頼するものです。
【優しさと強さ】

「優しくなるためには、強くなくてはならない」
利益を出し、目標を達成する。その強さがあるからこそ、困っている人に手を差し伸べる余裕が生まれます。
売上もイマイチ、利益も出ないような状態では雰囲気も悪くなりますし、他者を気づかうことなどできなくなります。
「今の笑顔」を見たいばかりに、部下の成長というもっと大切なことを忘れては本末転倒。
単なる情緒的な同情ではなく、相手の中にある「すばらしい力」を信じ、成長を促す。
部下の機嫌をうかがうだけのマネジャーは、結局成果が出ません。
部下に対する責任を持つということは、彼らを甘やかすことではなく、彼らが自力で「戦い、生き抜ける」ように、「一個の人格」として、尊敬を持って接することなのです。
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出典紹介
P.F.ドラッカー『非営利組織の経営』(ダイヤモンド社、2007年)
横山信弘『絶対達成する部下の育て方』(ダイヤモンド社、2011年)
渡辺和子『「ひと」として大切なこと』(PHP研究所、2005年)
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