★オタマ池物語 アニメ(GIF)童話
大人の冒険童話「オタマ池物語」へ、ようこそ!
<プロローグ>
バブル絶頂期、横浜のとある丘陵地帯で大規模な宅地開発が始まった。
だが突然バブル景気がはじけてしまい開発は中断。
平らに削られた赤茶色の土地には、工事途中の大きな穴だけが残った。
二度と立ち直らない土地神話の中で数年経ち、そこには貴重な自然が復活した。
穴は立派な池となり、春には沢山のオタマジャクシ(オタマ)が泳いでいた。
この物語は、こんな偶然の産物の中で生き抜く、オタマ達の愛と感動の物語である。
★タマ坊の場合
さて、池の中を覗いてみよう、そこには一匹のオタマジャクシ(オタマ)がいた。
このオタマが物語の主人公だ。名前はタマ坊。
ではオタマ池物語の始まりだ。

俺はオタマジャクシのタマ坊だ
今、住んでいる池は偶然の産物だ
先祖達がそう言っていた
だから、ちょっとしたことで、また消滅しちゃうそうだ
つまり俺は偶然の産物さぁ
はーふー、はーふー、はーふー まだエラ呼吸している
それでもカエルになるまでは、この池で楽しく過ごすぞ!
★オタ坊の場合
タマ坊にはマブダチのオタ坊がいた。
オタ坊は、早くカエルになり、外の世界を見たいと何時も思っていた。
でもカエルになるには、沢山の危険がある。
その危険をどうしたらクリア出来るか?
オタ坊は常にそのことを考えていた。

タマ坊さぁ、今年は悪党のヤゴが多いってさぁ
だから外に出るのは厳しいぞ
俺さぁ、ヤゴの餌食なんて嫌だよ
それと、トンボは人間が保護している
だから最近ヤゴが増えているみたいだ
いい迷惑だよなぁ
それと、タマ坊、今年でこの池も最後だって噂もあるんだぜぇ
★ヤゴ太郎の場合
この池の生態系の頂点に立つのが、鬼ヤンマのヤゴ達である。
その中でもNo.1を自負するのが、このヤゴ太郎である。
今日もヤゴ太郎は腹ぺこであったのだ。

俺はヤゴ太郎
名前はださいが、ワイルドなヤゴさ
最近は仲間も増えて、縄張り争いが激しいんだ
でも心配無用、俺はNo.1さ!
オタマなんか一口だぜ
それにしても腹が減ったな
さて、獲物を探すか
お、いたぞ
オタマか・・うまそうだ
★エサ探し
おたま池は基本的に大きな水溜まりだ。
だから他の川や池との交流はほとんど無い。
当然、魚などはいないはずだ。でも魚は存在した。金魚、鯉、グッピーまでいる。
そんなオタマ池だが、おたまじゃくしのオタ坊とタマ坊は、生き抜くために、毎日数少ない餌を探す日々を過ごすのであった。

おっ、魚の卵だ!
あ、オタ坊、俺が先に見つけたんだぞ
関係ない、早い物勝ちだ
ずるいぞ、オタ坊
邪魔するな、タマ坊
お、いまだ
うぐ。ムムム
美味い・・
★オジタマ登場
おたま池では、他の池や川との物理的ネットワークが存在しない。
しかし、何故か外からの情報が入ってくる。
噂によるとこの池には、カエルにならずオタマジャクシのままで、何度も氷の季節を生き抜いたオタマジャクシがいるそうだ。
そして、このオタマジャクシが、おたま池の情報ネットワークの中心的存在らしい。
オタ坊とタマ坊は、この伝説のオタマジャクシ、通称「オジタマ」を探していた。そして、ついにコンタクトに成功した。

私がオジタマだ。
お前達は、今年生まれたオタマだな。
よく、私を探し出したな、誉めてやろう
なかなか賢いぞ
よし、お前達に極秘情報を教えよう
外のゲロゲロネットワークによると
おたま池は、氷の季節の前に無くなるのだ!
★ザリッチョの情報
オタ坊とタマ坊が、やっとコンタクトに成功したオジタマ。
そのオジタマの話では、おたま池の外で、不穏な動きがあるそうだ。
その情報原は、最近このおたま池にやって来たアメリカザリガニのザリッチョからの情報らしい。
オタ坊とタマ坊は情報を確認すべく、ザリッチョに接触した。
ザリッチョによると、昔ここにあった山を崩した言われる大きい黄色い怪物の姿を見たそうだった。
ザリガニは、気をつけないとオタマジャクシを食べるので、オタ坊とタマ坊は注意して接触していた。

何だ。お前ら、そのことオジタマから聞いたのか?
そうかぁ・・、俺は見たんだ。黄色い悪魔を
あれは俺のご先祖様が池を破壊する悪魔と言っている
ここもお終いさぁ
俺は、またスルメに食らいつき、旅にでるよ
お前らも、早くカエルになった方がいいぞ
それにしても、腹減ったなぁ・・
タマ坊とオタ坊は静かに立ち去った。
★カエルなったタマ坊
カエルに成長するとオタマジャクシ時代の記憶は消える。
しかし、何故かタマ坊には記憶が少し残っていた。

俺が元タマ坊だ
タマ坊かぁ?
あいつはヤゴに食べられた。可哀想だったよ
それとオタマ池だけど、俺がカエルになったら、直ぐに消えた
あそこにある人間の沢山住む大きな蟻塚みたいなモノ、あそこの辺りがオタマ池だった
そう、全て過去の話、どうでもいいさぁ
俺の記憶もだんだんと消えていくしね
ゲロゲロ ゲロゲロ・・肺呼吸になている

★オタマ池のお話
今から30年前、神奈川県横浜市のとある谷戸(里山のような所)で、公団住宅用の宅地開発が始まった。でも、お役所仕事なので、時代の流れに少し乗り遅れていた。
ご存知のようにバブルは弾け、工事中途で開発しているゼネコンと関連企業の倒産。
この開発を貰い受ける企業もなく結局工事は中断された。
既に小さな山は崩され平地にされて、赤い土が剥きだしであった。
掘られた穴もそのままの状態で放置されていた。
景気回復のめども立たず、月日は流れ、その代り平地には雑草等の草花が回復し、そこはただの野原となった。
穴は何時しか雨水と湧き水により池となっていた。
池は、自然の回復力を発揮し、加えて地域の自然を愛する人々により保護され、「トンボ池」として、全国的に有名になったのだ。
しかし、ここは、もともと「東京だるまかえる」の生息地であり、彼らもしぶとく生き残っており、生存を賭けた戦いを続けていた。
また、近所の小学生達には「トンボ池」ではなく「オタマ池」と言われており、春には、おたまじゃくし捕りのメッカとして愛されていた。
--「オタマ池」自然スペック--
大きさ:150平方メートル
水深 :最深1m
水 :弱酸性(雨水、湧き水)
水温 :平均18度
環境 :オフライン(他の池、川とは繋がりはない)
生息動植物:やご全般、オタマジャクシ、みずかまきり、たがめ、あめんぼう等、種類は未確認だが魚もいる。
オマケ 夏の思い出

お終い
追記
昨年、天草へシーカヤックをやりに旅行した。
朝から出艇可能な海を車で探していた。田舎道、雨上がりの未舗装路を走っていた。
車を駐めて、私が海を見ていると、同行していた妻が、水たまりを見つめている。
「なに?」
「ほら、オタマジャクシ」
その小さな水たまりに真っ黒いオタマジャクシが、ウジャウジャ泳いでいた。
「これは懐かしい」
「そうだよね、昔、道にある水たまりに、オタマジャクシがいたよね」
「うん、忘れていたよ、そんなこと、水たまりさえ忘れていた」
悲しいことに、舗装された道路、整地されコンクリートで固めた土地の上に建つ家。昔は東京郊外でよく見た自然がいつの間に消えたいた。
消え去った自然を人は直ぐに忘れる。
「無かったことにしょう」暗黙の了解。
そして、昔書いた、この物語を思いだした。
