足りない柏餅と、増えた笑顔と。
五月晴れの空が、青く澄み渡るこどもの日。窓を開ければ、家の前から弾けるような元気な声が飛び込んできました。「きゃー!」「まてー!」と、まるで太陽の光そのものが走り回っているかのよう。うちの娘とご近所の仲良しさん達、総勢6人の小学生が額に汗して駆け回る姿を見ていると、こちらまで自然と頬が緩みます。子どものパワーは、本当に素晴らしいものです。
「さて、ちょっと買い物でも」
賑やかな声をBGMに、エコバッグを手に玄関を出ました。今日の目的は夕飯の材料と、そう、こどもの日の風物詩—柏餅。スーパーの帰り道、駅前の小さな和菓子屋さんに立ち寄るのが、この季節の私の密かな楽しみなのです。
お店に漂う、あの懐かしい甘い香り。ガラスケースには、鮮やかな柏の葉に包まれた、つややかな餅が並んでいます。「こしあんにしようか、粒あんにしようか、それとも味噌あん?」と真剣に悩む一瞬も、幸せな時間。
結局、子供たちの好みもそれぞれだから、こしあん3個、粒あん3個、味噌あん2個と、バランスよく選びました。子供たちは6人だから…念のため、8個買っておきましょう。1つは、もしも友達が増えた時用。そしてもう1つは—ふふ、内緒です—私の分。みんなと一緒に「いただきまーす」と囲む時間も楽しみの一つ。あの上品な甘さと、子供たちと分かち合う喜びが、日々の忙しさを癒してくれるのです。
宝物を手に入れた気分で、柏餅の箱を抱えて家路へ。家の前に近づくと、さっきより賑やかになった子供たちの声が聞こえてきました。あれ?なんだか人数が増えているような…。
恐る恐る子供たちの輪の中を覗き込むと、さっきまでの6人に加え、さらに4人の新しいお友達が加わっていました。え、10人?
私の手の中には、愛おしい柏餅が8個。
頭の中で、カチ、カチと、そろばんを弾く音が聞こえた気がしました。10人に対して8個の柏餅。この方程式を解くにはどうしたらいいのでしょう?
一瞬、思考が凍りつきました。いや、私だけがフリーズしていたのかもしれません。子供たちは「ねぇねぇ、見てー!」「こっちおいでよー!」と、新しい仲間が増えたことで目を輝かせ、相変わらずエネルギー全開。そんな笑顔を前に「ごめん、柏餅、足りないんだけど!」なんて、言葉を口にするのも忍びない。
さて、どうする?この予期せぬ難局をどう乗り切る…?
いったん家の中へ入り、キッチンでお茶を沸かしながら、頭をフル回転させます。
選択肢1:正直に話して、みんなで分け合ってもらう。一番現実的かも。
選択肢2:私の分と予備の分を含めて、なんとか8人に…でも、それでも2人分足りない!
選択肢3:今から和菓子屋さんにダッシュ?いやいや、さすがにそれは…。
結局、深呼吸をひとつして、玄関先へ戻り、子供たちに声をかけました。
「みんなー!おやつ買ってきたよ!でもね、ごっめーん、お友達がたくさん来てくれるって知らなくて、柏餅8個しか買ってこなかったの。みんなで半分こしてもいいかな?」
すると、子供たちの反応は意外なものでした。「えー!」というブーイングではなく「いいよー!」「はんぶんこ!」「そっちの味と交換しよ!」と、あっさり快諾。むしろ、小さな柏餅を分け合うのがゲームのように楽しいらしく、キャッキャ言いながら仲良く食べてくれたのです。
心配は杞憂に終わりました。
結局、私の分の柏餅は、きれいさっぱり子供たちのお腹の中へ消えていきました。でも不思議と、がっかりした気持ちはなく。むしろ、予想外に膨らんだ賑やかさと、子供たちの屈託のない笑顔、そして「はんぶんこ」から生まれた優しい空気に、心がじんわりと温められていくのを感じていました。
この記事で生まれた「はんぶんこ」の優しい世界。下記の絵本は、うさぎさんが作った椅子から始まる、思いやりのリレーを描いています。「どうぞ」の気持ちが次々と繋がり、分け合うことの楽しさと温かさを教えてくれます😊お子さんの心に、人を思う優しい気持ちの種をまいてくれる、不朽の名作です👇
子育てって、本当に毎日が予想外の連続。計画通りになんて、なかなかいかないものです。でも、そんな予定外の出来事も、足りなかった柏餅も、全部ひっくるめて愛おしい。そこには必ず、子供たちの輝くような笑顔があるのですから。
今夜は、冷凍庫に隠した"とっておき"のアイスクリームでも味わいましょうか。 これもまた、子育て中の密やかな幸せ。
そう思いながら、私は子供たちの笑顔に包まれていました。
下記の絵本は「私の分がなくなったけど、心が温かい」…記事のそんな気持ちを、お子さんと一緒に考えられる一冊です😌宝物のベッドを誰にも貸したくなかったそらまめくんが、友達と分かち合う喜びを知る物語。「自分だけの宝物」よりも「みんなと一緒の楽しさ」が素敵だと、お子さんの心に響き、思いやりの心を育んでくれます👇
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