出勤初日、上司に『事務所の周りを歩いてこい』と言われた話
〜ワンマン所属長 前職をやめた理由3 赤裸RISE(転職編)〜
ワンマン所属長
転職した。
前職では課長まで務めた。
給料も上がり、役職もついた。
しかし、その裏では年上部下との人間関係や長時間労働に疲弊していた。
そんな時、以前から付き合いのあった社長から声をかけられた。
「うちに来ないか」
私はその誘いに乗った。
大手を辞め、新しい営業所へ移った。
だが、出勤初日。
わずか1時間も経たないうちに悟った。
「あ、この空気は耐えられない」
静かな事務所だった。
聞こえるのはパソコンのファンの音と空調の音だけ。
所属長は外回りをしない。
他の職員が営業へ出れば、事務所には私と所属長の二人だけが残る。
私はパソコンに向かっていた。
しかし背中に視線を感じる。
何度も。何度も。
監視されている。そんな感覚だった。
そして私は知らなかった。
ここから先の5年間で、自分が少しずつ壊れていくことを。…
散歩命令
所属長に呼ばれた。
「ちょっと事務所の周りを歩いておいでよ」
私は言葉の意味が理解できなかった。
運動不足だから。
土地勘がないから。
そんな理由だったと思う。
だが、突然言われても理解できるはずがない。
仕事中である。
私は社員である。
小学生ではない。
それでも所属長は真顔だった。
冗談ではなかった。
私は何も言わず外へ出た。
事務所の周りを歩いた。
30分ほど歩いただろうか。
歩きながら考えていた、
なぜ転職したのだろう。なぜこの会社を選んだのだろう。
これから先、どうなるのだろう。
期待していた未来が音を立てて崩れていくのを感じた。
事務所へ戻ると笑い声が聞こえた。
その中で所属長が小さな声で言った。
「歩きに行かした」少し自慢げだった。
私は何も言わなかった。
だが心の中では理解していた。
この会社は危ない。
そして、この人の下にいてはいけない。
それだけは確かだった。
監視されているような感覚だった。
事務所で聞こえるのはパソコンのファンの音と、空調の低い音だけ。
営業に出ている職員が戻るまでは、
そこにいるのは私と所属長の二人だけ。
この「二人だけの空間」が、思っていた以上に重かった。
何かを話すわけでもない。
ただ、同じ空間にいる。
それだけで、妙な圧がかかる。
私はパソコンに向かって作業をしていたが、
背中の方から視線を感じることが何度もあった。
気のせいではない。
後になって分かったことだが、その人は常に人を見ていた。
何をしているのか。
誰と話しているのか。
今の行動は役に立つのか。
そんなことばかり気にしている人だった。
入社してしばらくはやることも多かった。
顧客情報の整理。
営業エリアの確認。
関係機関の把握。
しかし、それらが一段落すると所属長が私の席まで歩いてきた。
「今は何をしているのか?」
私は説明した。
今後の営業活動の準備をしていること。
地域の情報を整理していること。
顧客獲得のために考えていること。
だが所属長は言った。
「それって役に立つの?」
「忙しくなったらできないことはやらない方がいい」
その言葉は、理屈としては成立しているように聞こえた。
だが、現場で働く感覚とはどこかズレていた。
忙しくなってから考える余裕などない。
だからこそ、余裕のある今やるのではないか。
そうは思っても、その場では何も言えなかった。
ただ「はい」とだけ返すしかなかった。
その瞬間から、私の中で何かが少しずつズレ始めていた。
事務所での違和感
違和感は、徐々に「確信」に変わっていった。
営業から戻ると、事務所の空気が微妙に変わっていることが増えた。
誰かが話していた気配だけが残っている。
私が入ると、その会話が止まる。
内容は分からない。
だが、自分の話が出ていたことだけは、なぜか分かる。
証拠はない。
それでも、そうとしか思えなかった。
そんな日々の中で、ある失敗が起きた。
業務上の確認ミスだった。
今思えば、決して致命的なミスではない。
しかし、その時の空気は違った。
事務所に戻ると、いつも通り職員がいた。
その前で、所属長が私を呼ぶ。
そして、そのまま皆の前で言った。
「これ、どういうこと?」
静まり返る空気。
何が起きたのかを理解する前に、状況だけが進んでいく。
一つひとつ確認される。
声は淡々としているが、
逃げ場はない。事務所には壁がない。
周囲の職員が普通に座っている。
昼休みの時間と重なり、人の出入りもある。
その中で、私は説明を求められ続ける。
それは「指導」というよりも、「晒されている」という感覚に近かった。
確かに、ミスをしたのは自分だ。
その責任があることも分かっている。
だが、その場で問題になっているのは、
ミスそのものではなかった。
「なぜ起きたのか」ではなく、
「なぜここで晒すのか」が分からなかった。
周囲の視線が刺さる。
時間が長く感じる。
自分の声だけが空間に浮いている。
気がつくと、私は必要以上に謝っていた。
ただその場を早く終わらせたかった。
終わらせる方法が、それしか思いつかなかった。
ここから先は、
実際に“身体と生活がどう壊れていったか”の話になる。
正直、この部分が一番しんどかった。
そして、今振り返っても一番リアルな部分だと思う。
続きを書くか迷ったが、
同じように苦しんでいる人の参考になるかもしれないので書くことにした。

体の異変
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