ブタコヤブックスさんに突撃して油汚れをやっつけた日。
その存在はじわじわと侵食するように、気づけば私の中に入り込んでいた。
どこで最初に認識したのか、もう思い出せない。
新しい本屋さんができるらしい。
店主は元・教員らしい。
ZINEを作って発売しているらしい。
noteもべらぼうに面白いらしい。
そんな「らしい」がどんどん蓄積していって、ちゃんと認識した時には既にファンになってしまっていた。
これが戦略だとしたら、恐ろしい。なんて本屋なんだ。
その本屋さんは「ブタコヤブックス」。
豚小屋じゃないよ。ブタコヤだよ。そこがとっても重要なんだよ。
いつの間にか脳に棲みついていたその本屋さんに突撃ご挨拶できたのは、ニシヤマBOOKアーケードの日。
Freestyle Blank Papersのお仲間に「どーしてもブタコヤさんに挨拶がしたい!」とわがままを叫んで店番を代わってもらい、いそいそ向かった。
急にやってきた四十代に名刺とフリーペーパーを押し付けられ、
ファンです!
開店が楽しみです!
あっ、ZINE買います!
せっかくだからサインください!
と矢継ぎ早に捲し立てられた店主は嫌な顔ひとつせず、サインにも快く応じてくださった。流石教員。突然の理不尽な客にも慣れている!
長年、理不尽なクレーマーと闘ってきた会社員(休職中)としては勝手に深い共感を覚えたのだった。
次にお会いできたのは、NAgoya BOOK CENTERでの犬飼愛生さん読書会。
幸運なことに読書会後の打ち上げにご一緒させていただいた。
上機嫌でハイボールをごくごくおかわりしながら、斜め向かいに座る店主のことを、酒の勢いでご本人の承諾なく「船長」と呼び始める。
「せんちょぉ〜お店の開店来月ですよね〜。
超楽しみだなあ〜。
なんかお手伝いできることあったら呼んでくださいよぉ!
私ぃ今ぁ、なんせ無職なんでねえ…時間だけはありますよお〜ふふふふふふ」
などと絡むだけ絡み倒して、いい気分で帰宅。
だいぶ馴れ馴れしくしちゃったな。
まあいいか!
全てハイボール4杯のせいにして私は寝た。
そんなある日。
船長のnoteが更新された。
ファンなので当然に読んだ。
読み終わった瞬間、速攻で船長にDMした。
この気持ち、めっちゃくちゃわかる。わかりすぎる。またしても勝手に深い共感を得てしまった。
会社で仕事を振るのはいいのよ。だって仕事だから。そこにはお給料が発生する。働いた分、きちんとお金がもらえるし、残業したら割増料金だってつく。
そこが「善意に頼るお手伝い」となると、途端に萎縮してしまうのだ。
ありがたいことに、世の中には心優しい人たちというのが思ったよりも沢山いる。
助けて! と声をあげれば、助けてくれる人がいるのはわかっている。
でも、タダで何かやってもらうってどうなの!? とついつい思ってしまうのだ。
何か返さねばならん! と逆にプレッシャーを抱えてしまったり、ああもうこんな思いするなら自力でなんとかするべ…と頼るのを諦めてしまったりする。
でも、その成れの果てが「メンタルぶっ壊れて休職している今の自分」なんだよな。
そう思ったら、とにかく微力でもファンとして何かお力になりたいのだ、と別に頼まれてもいないのに1人いきり立ってしまったのだった。
ブタコヤブックスさんは、名鉄名古屋本線:本笠寺駅からほど近い。
築70年の元・呉服屋さんが改装されて本屋さんになる。
もうこの時点でワクワクしてしまう。
TOUTEN BOOKSOTREさんや本・ひとしずくさんも古民家を改装して生まれた本屋さんだ。そんな素敵な場所が名古屋に増える!
100均のでかいビニールバッグに古いタオル・ウタマロスプレー・軍手・ゴム手袋などなどを詰め込んでいざ入店。

初日は年季の入った窓と、窓枠を掃除させていただいた。
2階は元々台所があったそうで、窓枠に溜まった砂を拭き取ってみると、どす黒い塊がびっしり張り付いているのがわかる。
試しにすい、と拭いてみたけれど、どす黒はびくともしない。
お…?
これは…もしや…
油汚れ…か…?
がしがしがしがし、ごしごしごしごし、2時間格闘して多少は綺麗になったものの。
窓には謎の古いガムテープみたいなのが張り付いているし。
窓枠もまだまだどす黒が残っている。
居残りしてもうちょっと掃除したかったけれど、船長からきっちり「帰りの会の時間です」とアナウンスされたのですごすごと帰路についた。
その夜。
You Tubeで「古民家の掃除」を学ぶ。なんでもネット検索できる世の中だ。
油汚れは酸性なので、アルカリ電解水が非常に効果ありという情報を得た。
アルカリ電解水は家にある! ダイソーのやつだけど! 明日持って行こう。
しかし、それだけではまだ心もとない。あの強いどす黒をやっつけたい。ズバッと駆逐したい。
「あー…汚れをごそっと剥ぎ取れるような…お好み焼きのヘラのちっさいみたいなやつさあ…どっかにないかなあ…」
呟いた私に、夫は言いました。
「100均にあるやろ」
なにい! あるんか!
欲しい。明日のために是非とも欲しい!
時刻は21時過ぎ。
月曜日、やっと仕事と夕飯を終えてゆったりしている夫に私は言いました。
「行きたい行きたい、100均行きたい、お願いお願いどうしてもヘラが欲しいよおおおおおおおおおお!」
夫はさぞかし面倒だったろうに、しかも雨なのに、車を出してキャンドゥに連れてってくれました。
近隣のダイソーやセリアの営業時間も調べてくれました(大概21時閉店だった)。
店舗に着くや早速、武器かな? というヘラを見つけてくれる夫。

お前、人様の店舗より自分の家を綺麗にしろよ。
とか言わないのが、夫のとても良いところなのですね。
今日も愛しているよ。
かくして翌日、手に入れた武器で残っていた油汚れを抹殺!
アルカリ電解水+強力ヘラのコンボは最強。
今は入口の柱に張り付いている両面テープのような粘着と格闘中。
取れそうで取れないんだよなあ。
あいつらを根こそぎやっつけられるように、またYou Toubeで研究せねばなるまい。
我が家の玄関には、お掃除セットがひとしきり詰まったビニールバッグが今日も置かれている。
家族は何もつっこまない。
開店前の本屋さんにちょっとでも関われるなんて、こんな楽しいことあるだろうか?
きっと船長は、ほんの10分くらい手伝っただけでも「ありがとうございます!」と腰を低くして言ってくれるに違いないのだ。
そんな嬉しいことはないんじゃないか。
近隣の皆様、平日手が少しでも空いている皆様、この素敵に違いない本屋さんの誕生に貢献してはみませんか。
詳細はブタコヤさんのインスタをチェックです。
7/19(土)オープンに向けて、一緒にお店を盛り上げていきましょうぞ!
そしてオープン日は本笠寺総出をあげたイベントも開催!
私は是非ともミハルさんでランチがいただきたいのです。
掃除の後は汗まみれで申し訳なくて、まだ入れていないのです…早く入ってみたい…。
本に助けられてきた人が作る本屋が、良い本屋じゃないわけがない。
私を含めた本好きな人の居場所が、またひとつ名古屋に増える。
こんなありがたいことはない。
だから、私はすっかり船長のファンなのです。
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いっしょに創作を楽しんでいきましょう!