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旅の息づかい ~2024富山旅行記 最終章「時空のゆがみ」~


時空のゆがみ

13歳未満の入店はできないという大人のための古民家カフェ「六角堂」。おとな女子の旅はここで締めくくる。
築70年以上だという建物はもともと畳屋さんだったらしい。六角形の形と木枠の窓が和モダンというのか、チャーミングだ。

六角堂


内装も素敵だった。
使い込まれて飴色になった木板の壁とテーブル。ごくごく小さな灯り。2階にあがる階段はスリットになっている。
メニューはオーガニックのサンドやカレーなど。フレンチトーストもある。

お腹はカニで満足していたが、せっかくだし、ブラックコーヒーに合いそうなどっしりしたチョコレートケーキを頼んだ。
柑橘系のジャムと生クリーム、そしてバニラアイスが添えられている。この組み合わせは罪だと思う。

木枠の窓から見えるのは普通の民家や小さな商店。わたしが座った椅子は背もたれが籐になっていて、それがとてもとても大きくて包まれるような恰好で無防備になり、旅は終わりに近づいているのに、時間を忘れて心までダラリとしてしまった。

罪な組み合わせ
この空気感
表札がめちゃくちゃ素敵


会計を済ませ、お店の前に立ってちゃっかり記念撮影をした。
新町口駅に向かう途中、富山ブラックどら焼きを買うために「野村屋」に寄った。
ガラスケースの中には、表面にびっしりとお豆がくっついた、草餅のようなものが並んでいた。おやつにおばあちゃんが作るみたいな、無骨でカッコつけてなくて、絶対おいしいやつだと思った。新幹線の中で食べようと、一個だけ買った。
(写真を撮ってなくて残念です。「ささぎ餅」と言いますので気になる方は検索してみてください)

16:30 新町口。ここから万葉線に乗って富山に戻る。

電車が来る気配がなく静かすぎて不安になった。時間まちがえた?とすると18:30の新幹線に乗れない…夕闇がせまる北陸は心細かった。


「きたきた!」
そろそろと黒い車両が近づいてきた。「コカ・コーラ」と書いてある。

おとぎの国に向かうみたい


単線列車の乗客は少なかった。
自分も含めて人が列車の一部みたいに思えた。
川に差し掛かって橋の上からの景色が開けたとき、見覚えある…と思った。
「千と千尋の神隠し」のワンシーンだ。海原を渡るあの電車。
異次元へ向かうときのような不安と開放感が混在する浮いた感覚。

射水内川。
この日の午後の不思議な時間の感覚は、思い出すとふわりと今も蘇ってくる。



18:00 富山駅。ホテルに預けていた荷物を受け取り、駅構内のお土産売り場をうろついた。
もう一回食べたくて揚げたての白エビの天ぷらを買った。

「そろそろ行くね」
「うん、また行こうね」

 Cちゃんはもう一泊して、次の日は黒部渓谷のトロッコに乗る予定だった。わたしは夜には遠く離れた家のいつものベッドで眠っている。

充実した旅やった ー Cちゃんがそう言っていた。
そう。圧巻の立山連峰を見ることはできなかったけど、不思議と満たされていた。

旅の終わりはやはりなんだか寂しい。
サンダーバードの切符は京都駅まで買っていたので、外へ降りて賑やかな街に出ることにした。
旅行者で賑わう夜の西九条。お好み焼き屋「あらた」で甘辛ソースがかかった粉もんを食べ、いつもの生活に戻る準備をした。

〜おわり〜


あとがき

旅行のあと、Cちゃんと富山にまた行きたいねて話しました。ほんとに富山は意外です。ニューヨークタイムズで「2025年に行くべき52か所」に、日本では万博が開催される大阪とともに、富山が選ばれたようですよー。



~前回記事はこちら↓~


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