旅の息づかい ~2024富山旅行記⑤「水が刻む時間」~
水が刻む時間
そこは日本のベニスと呼ばれている。港町 内川。
海から海をつなぐ運河沿いにおしゃれな町屋カフェなどがあって、ノスタルジックな雰囲気の、おとな女子の旅にもってこいの場所だ。
新湊漁港から15分ほど歩くと民家が立ち並ぶ界隈に入った。
隣家との距離が近く、寄り添うように建つ家々。
戸口の前には置けるだけの植木鉢が置かれ、小さな花たちは置かれた場所で思い思いに咲き誇っている。
気持ちが落ち着いた。むかし好きだったおばあちゃんが住んでいた町の空気を思い出した。
民家の通りを抜けて運河のある川べりに出た瞬間、あたりの空気はさらに変わった。
ベニスのそれとはきっと違う。
受容感というのだろうか。そこには日々の暮らしが醸し出す安心感があった。

マディソン郡の橋を彷彿させる赤茶色の屋根のついた橋があったので上がって水郷を見下ろした。
空のブルーと川のシアン。
そこに民家と漁船の統一感のない色が置かれ、芸術作品のように見える。

川べりをゆっくりゆっくり歩いた。
その日の風はほんとうに気持ちがよかった。
たぷう たぷう
たゆたう水が、時間の流れを遅くしているようだった。
ミントグリーンのオープンな洋菓子屋さん。
“BAR”という看板のおそらく夜になると開店するバー。映画のロケ地になった”番屋カフェ”も見つけた。民家が中心で、観光客向けのお店が少な目なのも落ち着く。
「ここに泊まってみたいな。」
わたしが思ったことをCちゃんが言った。



町の端に神社があるのが目に着いたので参拝していくことにした。
「八幡宮」と書かれた鳥居をくぐって本殿に向かう途中に立派な女性の木彫りがあった。
「瀬織津姫」の像だった。
引き寄せのような気がして嬉しくなり、女神に丁寧に手合わせた。

~次回へつづく~
~前回記事はこちら↓~
