礼儀作法で大事なのは、目の前にいる誰かを想うこと(『論語』学而篇)
今回取り上げるのは『論語』学而篇からの言葉。
事に敏にして言に慎む
(読み:コトにビンにしてゲンにツツシむ)
なすべきことは速やかに実行して、発言する言葉は慎重に選ぶ、という意味。
君子としての在り方を述べた文です。
つまり、立派な人物は素早く行動し、軽率な発言はしない、ということですね。
孔子は里仁篇でも似たような主旨の発言をしています。
君子は言に訥にして、行いに敏ならんことを欲す
(読み:クンシはゲンにトツにして、オコナいにビンならんことをホッす)
立派な人は発言するのは苦手であっても、行動することは素早くありたいと願う、という意味です。
二つの言葉から、孔子が以下の点を重視していたことが分かります。
なすべきことをサッと実行できる
軽率な発言をしない
これは孔子が「礼」を重視していたからです。
「礼」とは礼儀作法のことですが、現代でいうところのマナーとはニュアンスが異なります。
「守るべきルール」ではあるのですが、それ以上に「人として実践すべきもの」という意味合いの方が強いです。
現代のマナーは言うなれば受動的なものですが、「礼」はもっと能動的なものを意味します。
どういうことかというと、その作法を通じて相手に誠実な思いを伝える、ということに重点を置いているのです。
つまり、形式的な礼儀作法から一歩踏み込んで、自分の行為の先にいる相手を見つめているわけですね。
孔子にとって「礼」とはあくまで手段に過ぎません。
礼儀作法を守ることが目的だったのではなく、「礼」を通じて誰かを大切にする、尊重するために行動していました。
きちんと挨拶をする。
相手に嫌なことをしない。
ルールを守る。
こういったマナーは「そう決まっているから」守るのではありません。
「あなたを尊重していますよ」という誠実な気持ちを、目の前の誰かに届けるために守るのです。
そのためには上辺だけの形式的なものではなく、真心のこもった本質的なものとして「礼」を実践しなければなりません。
故に、孔子は実際に行動できる人を評価していたのです。
また、軽率な発言をしない、というのも同じですね。
目の前の人や物事に誠実に向き合おうとすれば、自ずから発言には慎重になると思います。
孔子の理想は、相手を思いやって行動できる人なのです。
事に敏にして言に慎む
(読み:コトにビンにしてゲンにツツシむ)
なすべきことは速やかに実行して、発言する言葉は慎重に選ぶ。
そういった人を孔子は高く評価していました。
なすべきことをサッと実行できる
軽率な発言をしない
これらは現代にも通じる重要なことだと思います。
私もそういった人になれるよう、日々精進していきたいものです。
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