地方創生のリアル。現場にいてわかった「上手くいく地域」5つの共通点
皆さんこんにちは。相模原市地域おこし協力隊の高濱です。
今日はちょっと大きなテーマで書きます。「地方創生」です。
この言葉、ニュースや行政の資料でよく見かけますよね。ただ正直、「なんかふわっとした言葉だな」と感じている方も多いんじゃないかと思います。かつての私もそうでした。
でも、相模原市地域おこし協力隊として藤野に移住し、実際に地域の現場に入って活動する中で、「ああ、上手くいく地域ってこういうことなんだ」と気づいたことがいくつかあります。今日はそれを、できるだけ正直にお伝えします。
教科書的な話じゃなくて、現場にいる人間の目線で書きます。
まず前提として、「地方創生」という言葉に対して、私は少し複雑な気持ちを持っています。
この言葉が使われるとき、どうしても「行政が主導して、予算をつけて、事業を走らせる」というイメージが先行しがちです。もちろん行政の役割は大事です。でも現場にいると、お金や制度だけでは地域は元気にならないということを、毎日のように実感します。
実際、補助金をもらって一時的に盛り上がったように見えても、補助期間が終わったらそのまま静かになってしまった……という話は、全国に山ほどあります。
では、上手くいく地域には何があるのか。
私が藤野で見てきたこと、感じたことをもとに、共通点をお伝えします。
共通点その1、「よそ者を面白がる文化がある」

上手くいく地域は、外から来た人間を警戒するんじゃなくて、面白がります。
「どこから来たの?何やってたの?へえ、それ面白いね」という反応が自然に出てくる。
藤野はまさにこの文化が根付いている場所だと感じています。私が移住してきたとき、地域の方々が「どんな人なんだろう」と興味を持って話しかけてきてくれました。
「地域おこし協力隊として移住してきた」「トレイルランニングやトライアスロンをしていた」「もともと都心のIT企業でマーケティングをしていた」
こんな身の上話をすると、地域の方は喜んで受け入れてくれました。まあ、最初は警戒されるんじゃないかと少し身構えていた私は、拍子抜けするくらいあっさりと輪の中に入れてもらいました(笑)。
これ、当たり前のようで当たり前じゃないです。
よそ者が来るたびに「また変なのが来た」「どうせすぐ帰る」という空気が漂う地域も、残念ながら存在します。そういう地域では、外から新しいアイデアや人材を取り込むことができない。結果として、内側だけで回り続けて、少しずつ縮んでいきます。
藤野はアーティストや移住者が多い土地柄もあって、「変わった人が来ることへの耐性」がもともと高いのかもしれません(笑)。でもそれが、新しい化学反応を生み出す土台になっていると思います。
共通点その2、「顔の見える関係がある」
上手くいく地域は、人と人のつながりが「名前と顔」で成立しています。
「田中さんがやってること」「山本さんが困っていること」という具体的な話が、地域の中でちゃんと共有されている。誰が何をしているか、誰が何で困っているか、それが自然と把握されている状態です。
これがあると、何かやりたいことが生まれたとき、「じゃあ○○さんに声かけてみよう」という話がすぐ出てきます。人と人が繋がりやすい。プロジェクトが動きやすい。
一方で、上手くいかない地域は、この「顔の見える関係」が薄いことが多いです。行政の担当者は変わり、移住者はすぐ帰り、地域の人は互いに何をしているかよく知らない……。そうなると、何か新しいことを始めようとしても、声をかける相手が見つからなかったり、信頼関係がないまま動こうとしてぎくしゃくしたりします。
私自身、この半年で500名以上の方々とお話ししてきました。その経験から言えるのは、「顔を知っている人が多い地域は、明らかに動きが速い」ということです。
共通点その3、「失敗を笑い飛ばせる雰囲気がある」

これ、意外と重要だと思っています。
新しいことに挑戦するということは、うまくいかないことも当然あります。予想より人が来なかったイベント、思ったより反応がなかった企画、準備に時間をかけたけど空振りだったアイデア……こういうことは、やっていれば必ず起きます。
上手くいく地域は、そのときに「まあ、やってみなきゃわからんよね」「次どうする?」という空気が流れます。失敗を責めるより、次に活かすことを考える文化があります。
逆に、失敗したときに「だから言ったじゃないか」「やっぱり無理だったな」という雰囲気が漂う地域では、誰も挑戦しなくなります。「失敗したら白い目で見られる」という空気が、新しい動きを全部つぶしていきます。
藤野で見ていると、この前の薬草サウナも映画祭も、最初から完璧じゃないものもあります。でも「面白かった、じゃあ次はこうしよう」という会話がごく自然に生まれる。この空気感が、地域を前に進めているんだと思います。
共通点その4、「何かひとつ、誇れるものがある」
上手くいく地域は、「うちはこれがある」と言えるものを持っています。
それは観光地として有名な場所である必要はありません。「この地域には○○がある」という、住民が自然と口にできるものがあるかどうかです。
藤野で言えば、豊かな自然、アートの文化、里山の暮らし、新宿から1時間というアクセス、移住者が多い開かれた雰囲気……。住民の方々がそれぞれの言葉で「藤野のいいところ」を語れる。これが強みです。
逆に、「うちの地域って何があるんだろう…」と住民自身が首をかしげるような地域は、外から人を呼ぶことも難しいし、内側の人たちの気持ちも上がっていきません。
「誇れるもの」は、作るものじゃなくて見つけるものだと思います。すでにそこにあるのに、気づかれていないだけのことがほとんどです。
共通点その5、「若い世代と古い世代が混ざっている」

これが最後の共通点です。
上手くいく地域は、年齢層がバラバラな人たちが同じ場所に集まっています。70代のベテランと、20代の移住者が同じテーブルで話している。そういう景色が当たり前になっている。
古い世代が持つ知恵・経験・人脈と、若い世代が持つ体力・新しい視点・デジタルスキルが混ざると、単純に可能性が広がります。どちらか一方だけでは生まれなかったアイデアが出てくるし、お互いに補い合えます。
森ラボに来る方々を見ていると、本当に年齢層が幅広いです。農業をしている地元のベテランの方が、移住してきた若いエンジニアと話している。その会話から、新しい農業のデジタル化のアイデアが生まれていたりする。こういう場所に身を置けていること、正直かなり恵まれているなと思っています。
まとめると、上手くいく地域の共通点はこうです。
よそ者を面白がる文化がある
顔の見える関係がある
失敗を笑い飛ばせる雰囲気がある
何かひとつ、誇れるものがある
若い世代と古い世代が混ざっている
どれも、お金で買えるものじゃないし、行政が制度で作れるものでもありません。人と人の関わり方、文化、雰囲気……そういうものが積み重なってできています。
「地方創生」という言葉は、どうしてもトップダウンのイメージがありますが、現場にいると全く逆で、ボトムアップで動いている地域の方が元気だと感じます。住民ひとりひとりが「自分がこの地域を面白くする」という気持ちを持っている地域は、強いです。
私自身もその一員として、これからも藤野で動き続けます。「地方創生」を他人事にせず、自分ごととして関わり続けることが、協力隊としての一番の役割だと思っています。
引き続き現場からリアルを発信していきますので、気になった方はフォローやコメントもお気軽にどうぞ!
