🧭ハヤトの冒険02|キキを追ったその先に
01|選んでしまった一歩
02|キキを追ったその先に← 今ここ
前を見ると、キキはまだ少し先にいた。
足元に視線を落とすが、落ち葉も枝もどれも同じに見えて、目印が見つからない。
「キキ、待って」
キキは一度振り返ったが、止まる様子はない。
ハヤトは頭の中で、来た道をなぞる。
どの木の横を通って、どこで曲がったか。
だんだん、うまく繋がらなくなる。
リュックの中に、赤い紐があることを思い出す。一瞬、手が伸びかけたが、すぐに戻す。
足を止めると、見失いそうな気がしたから。
キキはどんどん奥へと進んでいく。
いつの間にか道は細くなり、
足元の土がやわらかく変わる。
背の高い草が茂り、視界が狭くなる。
その先に、何かが一瞬引っかかった。
最初は、ただの影のように見えた。
背の高い草が邪魔して、うまく形が掴めない。
前を歩いていたキキの足が、急に止まる。
振り返りはせず、ただそこに静かに留まった。
ハヤトも、つられるように足を止めた。
そこで初めて、それが“形”になった。

苔に覆われた──大きな石の塊。
「……なんだこれ」
ハヤトはゆっくりと近づくと、その場にしゃがみ込んだ。
石碑のようにも見えるが、
表面には細かい模様が刻まれている。
刻まれた模様の一部が、陽射しを受けて光って見えた。
「……?」
長くこの森を歩いているのに、初めて見るものだった。
キキは石の方をじっと見ている。
「ねぇキキ……これ何?」

「何か……知ってるの?」
返事はない。
ただ、いつもより側に寄っている。
「ねぇ、ここなんか光ってない?」
確かめようとして指を伸ばしたが、一瞬迷って引っ込める。
見たことがない物に触れていいのかどうか、ためらいがある。
それでも目が離せない。
「危なくない……よね?」
ゆっくりと手のひらを近付け、そのままそっと触れた。
──その瞬間。
地面の奥で、何かが揺れた。
大きな振動ではなかった。
ただ、足元から“ひと呼吸だけ”
伝わってくるような、短い揺れ。
「……えっ」
すぐに静まり、何事もなかったように戻った。
(なんだ?今の……)
ハヤトは手のひらを見つめた。
それからしばらくの間、その場から動けずにいた。
(続く)
ハヤトの冒険

最初から読む ・ 次の話へ
ハヤトってどんな子?|全話一気読み⬇︎
暮らしの森をもっと歩く⬇︎
暮らしの森ってどんなところ?⬇︎

