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AIが止まった夜、ひさしぶりに全工程を自分の手で書いた話。

先週の半ばから、うすうす気づいてはいたんです。Claudeの週間利用上限、いわゆる週間トークンの残りが、どうにも心もとない。

弊社(株)月曜日のトラはAIの全社導入をやっている会社で、私は毎日Claude Code(私のパソコン上ではLopezと呼んでいます)と仕事をしています。
つまりトークンが尽きると、相棒が黙る。

Opus5をSonnet5に変更して、作業実施前に「残量がぎりぎりなので、トークンが途中で切れない作業を優先して」と指示を出しながらの4連休。
最終日の夕方4時すぎ。終業処理の報告が、途中でぷつりと止まりました。

「あ、切れた。」

画面に見える赤文字を眺めたその瞬間は、我ながら妙なものでした。

「コードを触っている瞬間じゃなくて本当によかった」

「DBを触り始める前で本当によかった」

「先週末からぎりぎりだったけど、連休最終日まで持ってよかった」

よかった、しか言っていない。相棒が止まったというのに。

しょうがない、たまには自分で書くか

その日はちょうど、朝から自分のスキルの棚卸しをやっていた日でした。AIに渡している仕事を、自分はどこまで理解しているのか。具体と抽象を行き来した一日で、書きたいことが頭の中に積み上がっていた。

「しょうがない、たまには全工程を自分で書くか。まぁ、たまにはいいでしょう。4連休最終日の夜くらいは」

スマホでポチポチ書き始めて、案の定不便になって、しぶしぶプライベートのPCを立ち上げました。音楽も一回切って、ど集中30分。書き上がって、その夜のうちに公開ボタンまで押した。

心配していたのは、書けるかどうかじゃなかった

AIなしでも書ける、という自信は前からあります。文章を書いて食べてきた時期が長いので、そこは疑っていない。

自覚している弱点は別のところで、書く体力は残っても、推敲する体力が残らないんですね。30分から1時間で書けはする。でも推敲は翌日に回り、公開は早くて1日後になる。それがAIと組む前の、私の生産ペースでした。

それと、書き始める前にもうひとつ、頭をよぎったことがあります。

「書けはするけど、最近のAIと一緒に書いた文章とは、文体が違いそうだなぁ」

できるかどうかより、声が同じかどうか。心配の置き場所が、いつのまにかそっちに移っていた。

翌日、Claudeが「透かしを入れる」と発表した

翌日の8月12日、タイムラインにニュースが流れてきました。Anthropicが、Claudeの生成したテキストに目に見えない透かしを埋め込むと発表した。

an imperceptible watermark directly into the text itself
テキストそのものに直接埋め込まれる、知覚できない透かし

今年8月2日以降にリリースされる新モデルはローンチ時点から対応、既存モデルも移行期間を経て順次。対象にはClaude Codeも含まれます。つまりうちのLopezと作る文章には、これから透かしが乗る。発端はEUのAI法ですが、適用は世界全体だそうです。

「あらやだ、なんてタイムリー(笑)」

透かしは「誰が考えたか」までは教えてくれない

面白いのは、Anthropic自身がこの透かしの意味をかなり慎重に限定していることです。透かしを検出したとき、それが意味するのはこうだと書いてある。

indicates that the content may have been processed by Claude
その内容がClaudeによって処理された可能性がある、ということを示す

処理された、です。書いた、とは言っていないんですね。完全に決定的なものでもない、という但し書きまで付いている。

ここで昨夜の自分の記事に戻るわけです。

あの記事には透かしが入りようがない。AIが止まった夜に、スマホとPCで手打ちした文章だから。でも中身はというと、毎日AIと対話しながら言語化してきたことの抽象化で、あの30分はいわば総集編の書き出しでした。

逆に、ふだんLopezと作っている記事には、これから透かしが乗ります。でも取材に答えるのは私で、赤入れするのも私で、公開ボタンを押すのも私です。

透かしが教えてくれるのは、Claudeが通ったかどうか。誰が考えたかは、透かしの外側にある。

止まった夜が、いちばん正直な検査だった

AIと深く組んで働くようになってから、たまに不安になることがあります。これ、どこまでが私なんだろう、という例のやつです。

その検査方法が、たまたま見つかってしまった。AIが止まった夜に、手が動くかどうか。書き上がった文章が、自分の声をしているかどうか。

透かしよりよほど厳密な、自分専用の検査だと思います。透かしが測るのは関与で、こちらが測るのは所在なので。

文体が違っていたかどうかの判定は、まだ自分ではできていません。自分の文章すぎて、近すぎて読めない。答え合わせは時間に任せます。

検査料として週間上限を丸ごと使い切るやり方はおすすめしませんが、たまには全工程を自分で、は悪くなかったです。次は計画的に止まってもらおうと思います。止まってもらうって何だ、という気もしますが。

※ AIが止まった夜に書いた記事はこちら。透かしのない私の文体は、ここで確かめられます。

※ そしてこの記事はいつも通りLopezと作ったので、いずれ透かしが入る側です。それで困らないのだと思います。誰が考えたかは、本文が証明するしかないので。

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