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読書ノート13

⚫️さすらいのジェニー ポールギャリコ
事故に遭い、なぜか白猫に転生したピーター。右も左も分からない、異質な「猫の世界」で、姉とも母とも言える雌猫ジェニーに導かれ、社会のルールを学ぶ。
やがてふたり(二匹?)の関係は、穏やかな「愛」という形に結実しそうになるけれど…
が!思春期の男の子には、抑えきれない「衝動」というものがあり、それが結果として裏切りになってしまうんだなぁ…
そこがなんともリアルで切ない。
猫の所作が非常に詳細かつ「そうそう!」
ギャリコもかなりの猫好きだなー。

⚫️文豪、社長になる 門井慶喜
雑誌というメディアの元気の良さ、お馴染みの文豪が、ポンポン出てくる上に、「だーからだめなんだよ〜、芥川〜」みたいに、作家たちの日常が生き生きとテンポ良く描かれていて面白い。
主人公は、本人も「真珠夫人」で一世を風靡し、文藝春秋出版や、芥川・直木賞の創設により、文芸メディアの一時代を築いた菊池寛。

⚫️なさけないけどあきらめない 鎌田實
医師である鎌田實氏が、福島原発事故の被災地で支援の中、書きためたノート。日記形式で、1日1日とすぎる中での、現場の混乱と、人々の奮闘、ジレンマ、政治不信が克明に描かれる。
社会の矛盾は腹立たしく、「もういいや」と投げ出したくなるけれど、
鎌田實医師が訴えたいのは、絶対的な正解というものがない現実の世界で、
いかに個々が「マルに近いサンカク」を見つけるため、「自分の哲学」を持つか、ということ。
「無関心」と「人任せ」を蔓延させないためにも。

⚫️宇宙飛行士の育て方 林公代
宇宙大好きな著者が、日本の宇宙飛行士の現状を詳細にルポ。まあ、宇宙飛行士って本当に大変!!誰もが一度は憧れるけれど、それを強い信念として身体に叩き込んだ人が最終的に到達できるって感じ。
そしてそれを乗り越え結集した人たちは、国籍関係なく団結できる、というのが素敵。

⚫️ババヤガの夜 王谷晶
普段はほぼ、バイオレンスものは読まないのである。が、ダガー賞受賞のニュースで作者の王谷さんを見た時、
「この人はなんか、面白いモノ書きそう!」
と、びびっと来たのである。
そして予想は的中したのである。
個人的な比較で言いますと、私のベストスリーに入る映画「ストリートオブファイヤ」に通ずる、爽快な娯楽作品だった。面白かった。
お嬢さんの婚約者が誰か分かった時、
思わず「ゔぇっ!」って声出ちゃった笑

⚫️榧(かや)の木祭り 高城修三
山村の貧しい村、人減らしも辞さないという設定は「楢山節考」を連想させる。
ただこの物語の違いは、村民たちの意志による選択がうかがえるところ。その根拠になるのが榧の木の森である。

榧木の実はオリーブやアーモンドに似て、栄養価が高く、油も取れる。それが貧しいながらも、村の自立を支えている。
一方、下の里では田んぼを作り米を取れるが、そのほとんどは年貢としてお上に納め、お上の支配を受けなければならない。
主人公の少年は、榧木をもっと増やして、もっと豊かになろう、と主張するが、嗜められる。

豊かさを目指す社会が行き着く先、
厳しい世界で生き抜くルール、
社会の優しさとは何か、

と色々考えさせられました。

⚫️限りなく透明に近いブルー 村上龍
ドラッグとらんちき騒ぎとセックスと暴力。登場人物はみな、自分勝手で自堕落で、その時の快楽と衝動だけで生きている。
オンタイムで読んだら多分絶対好きになれなかった小説だけど、今読むと、価値観の揺らぐ時代の中で翻弄されながら、もがくしかなかった若者たちの青春群像劇だなーと思う。
こういう青春もまたありなんだな、と。映画「トレインスポッティング」を思い出す人も多いかも。

⚫️暁星 湊かなえ
この小説に興味を持ったのは、
当然例の事件との関連に興味あるわけで。
やや興味本位なところがあったわけですが、
批判でなく、暴露話でもなく、
もちろんルポルタージュでもない。
けれど湊かなえ的アプローチで、
間違いなく真摯な姿勢で取り上げ、かつ、
小説家としての力量で読ませる、
なかなかすごい小説だな、と思いました。はい。

⚫️生きる言葉 俵万智
文章を書くのが嫌いな方ではないし、
いろんな外国語をかじったり、
「ゆる言語学ラジオ」を聞いたり、
言葉の不思議さにわくわくするタイプなので、
歌人として言葉にアプローチする俵万智さんの本がおもしろくないわけないのでありまして。
言語化が全てとは思わないけれど、
長い歴史の中で培われ、これからも変わってゆくだろう言葉は、みんな、もっと大事にしようよ!と思えたのでした。

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