一つ穴ベルト。単純だけど、どう考えても自分専用|革細工04
ここまで、自分だけのものを革細工で作ってきた。
PASMOケース、LAMY4本をほぼ日手帳カズンにくっつけるためのペンケース、自分のわがままを100%反映した財布。だんだん、凝ったものにシフトしてきた。
今回は圧倒的にシンプルだけどもっと自分だけ感あるものにしよう。ベルトだ。
世の中のベルトと社会人1年目の時の指導
世の中のベルトは、たいてい5つの穴がある。ウエストサイズが変わっても、多少の調整がきくようにできている。
前職では毎日スーツだったのだけれど、その会社では社会人1年目のとき、同じ部署で定年前のおっちゃんに「5つの穴の真ん中を使え。もし前後の穴に変える必要が出たら、穴を変えるのではなく、ベルトを買い替えろ」と指導されたこともある。
確かにその方は自己管理を徹底されている方だったのでその指導を体現していた。かなり過激派の意見とは思うけれど、でも、自分に合ったものを使えという主旨には賛同する。
だけれど、本当にそうなら、穴は一つでいいのでは?
ベランダで作っているジーパンが完成したら、究極の「自分だけ」を身に着けることになる。じゃあ、ベルトも「自分だけ」を用意しておきたい。
まず、穴のないベルトを作る
まず、デザインを考える。
編み編みのベルトだと穴を開ける必要がないから、却下だ。厚めのヌメ革のシンプルなベルトにしよう。それに合うのは、シンプルなバックルだ。ジーパンに合わせるなら、細いのより、太いベルトのほうがマッチしそうだ。
その方針に合わせて買ってある革を4cm幅で切り出した。バックルはさすがに自分で作れない(鋳造できない!)ので、太くて素朴で金色のものを購入した。
4cm幅となると、バックルを止めるカシメ(こういうの)は、バックルと色を合わせ、金色にした。武骨な感じをするために、2×2列で無駄に頑丈に留めるデザインにしよう。
必要な材料を切り出し、バックルを止めるための加工をし、裏面や側面をワックスで整えて磨く。これ自体は手慣れた手順だ。穴の開いていないベルト、完成である。
自分の穴をあける
いよいよ、ベルト穴をあける。さすがに緊張する。
穴の位置で、締め心地が変わる。
「ほんとうに、この体型でいいのか?太ったり痩せたり、しないか?」
「革、伸びたりしないか…?」
そんな不安な心の声が、自分の中で聞こえる。でも、ためらっているといつまでも作れない。
ジーパンに穴の開いていないベルトを通し、鉛筆でここに穴をあけよう、という印をつけた。
ええいままよ!、とポンチを叩いた。くぐもった音がして、穴が開いた。
その瞬間、「これが僕のサイズなんだ」と腹が据わった。

便利の外側
PASMOケース、ペンケース、財布。そして今回のベルト。作るたびに、汎用化の時代の流れに逆行し、用途が狭いものばかりができた。
そして使ってみると、このベルトは驚くほど気持ちいい。いつものジーパンに通すと、ピッタリだ(当たり前だ)。馴染む。
一つの穴しかないくせに、完璧に収まる。
いや、一つしかないからこそ完璧なのかもしれない。
不便に思われるかもしれないけれど、自分に必要十分な状態なのだ。確かに自分のものだ。

何なら構造はこれまで作った他の物の方が複雑だけれど、一番「自分専用」感が強いかもしれない。
次は、時計のベルトとカバンを作りたい。
