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オランダのミュージアムスタディーズの現在地|佐藤麻衣子

佐藤麻衣子
さとう・まいこ 京都市在住。プログラムコーディネーター/ミュージアムエデュケーター。2025年アムステルダム芸術大学ラインワルトアカデミー ミュージアム&ヘリテージスタディーズ修了


前回は、わたしが大学院を修了したラインワルトアカデミーについて、入試準備から学校生活に至るまで紹介しました。今回は、オランダで学ぶミュージアム&ヘリテージスタディーズがどのようなものなのか、ミュージアムスタディーズに焦点を当てながら、説明していきます。


雨の日も自転車で通学


オランダのミュージアムスタディーズ

ミュージアムスタディーズとは、一言で言うならば、社会の一員としてのミュージアムがどのように社会的責任を果たすかを考える学問です。さらに言えば、今の社会で起きている問題や議論に対し、ミュージアムがどのように関わり、それらについて来館者に伝え、教育していくのかを考えるアプローチです。日本の大学で博物館に関する科目を履修したことはありますが、オランダでの勉強はまったく別物だと感じました。
よく「ミュージアムスタディーズを勉強しています」と言うと、美術史や歴史を学んでいるのですかと質問されました。私の学校では、これらの授業はありませんでした。扱われている科目は、アカデミックな分野では社会学、文化人類学、考古学、持続可能性論、カルチュラルスタディーズ、国際法、歴史学など、多岐にわたります。さらに、私の学校はHBOという、理論と実践の両方を学べる学校種別だったため、アカデミックな内容だけでなく、実用的な授業もありました。例えば、リサーチの手法(インタビュー、ビジターリサーチやSNS分析)や、助成金の申請方法を学ぶ授業も。現場ですぐに役立ちそうだなと感じながら取り組んでいました。

オランダの高等教育の学校種別の違いについては、前回の連載で書いていますので、こちらをご覧ください。

座学に加え、ミュージアムビジットや現場の人の実践を聞く授業もよくあった


分野横断型の学び

こんなにも扱われる科目が多いので、ほぼ毎回、異なるトピックが提供されていたと言っても過言ではありません。ミュージアム&ヘリテージスタディーズは、学際的(インターディシプリナリー)な学問なのです。複数の科目を学びながら、それらをどのようにミュージアム&ヘリテージの分野に接続できるのかを考える横断的な学びです。
例えば、気候変動の授業では、人新世やSDGsなどの理論を学んだあと、ミュージアムではどのような取り組みができるのかを考えるディスカッションがありました。例えば、紙のチラシを刷らない、駅からバスの接続を良くして車での来館を控えてもらう仕組みをつくる、ミュージアムカフェの食材は近くの場所から調達する、ミュージアムショップではプラスチック製品を取り扱わないなどが挙げられました。SDGsに関して言えば、スタッフの男女の不均衡を是正したり、さまざまなバックグラウンドを持った人を採用することで、ジェンダー平等や不平等の削減を目指す取り組みにつながり、結果として持続可能な社会につながります。さらに、これらの実践を、ミュージアムのミッション&ビジョンにつなげたり、モニタリングしたレポートを公に報告することもできます。展示だけではなく、ミュージアムの運営にも気候変動に対処できることを学びました。 

無料のウォーターサーバーを置くのも、気候変動に対してミュージアムができることのひとつ。
プラスチックボトルを売らない or ボトルの販売数を減少できる。@ゴッホ美術館
Don't worryのあとは、Be tappyと表示される!


日本の博物館学との違い

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