第2章 魔法王国フォーレスト 第14節 活気あふれる城下町
森の縁を抜けた瞬間、空気が変わった。
人の声が流れ込んでくる。
誰かが呼び込みをしている。
子どもが走る足音。
布が風に鳴る。
クレフは思わず足を止めた。
「……え?」
森の静けさが、急に遠くなる。
「……賑やかだな」
素直な感想だった。
セリザが横目で見る。
「森しか見ていなければ、そう感じるでしょうね」
「正直、もっと……厳かな国かと思ってた」
「それは偏見です」
ぴしゃり、と言う。
だが口元はわずかに緩んでいる。
クレフは街を見渡す。
「同じ国なんだよな、ここも」
「はい」
「さっきまでと、別の世界みたいだ」
セリザは少しだけ考えたあと、答える。
「森は選ぶ場所です」
間を置く。
「ここは、暮らす場所です」
クレフは小さく息を吐いた。
「……帰ってきた感じ、するか?」
「どうでしょう」
ほんの少し、困ったように笑う。
「私は任務中ですから」
「任務中でも、帰ってきたもんは帰ってきただろ」
「クレフ様」
やれやれ、という声音。
「そのような言い方はなさらないでください」
「怒ったか?」
「怒っていません」
即答。
だが少しだけ早い。
クレフは小さく笑った。
その瞬間、通りすがりの男と目が合う。
視線が一瞬だけ止まる。
すぐに逸れる。
「……見られてるな」
「ええ」
今度は柔らかさが消える。
「気づかれているだけです」
クレフは目を細める。
人波の向こうに、石の壁がのぞいていた。
ゼラスは――
別の道を進んだ。
だが、同じ場所を目指している気がする。
「行くか」
「はい」
二人は並んで、城へ向かった。
※ここまで読んでくださってありがとうございます。
少しでも続きが気になったら、スキで教えてもらえると嬉しいです。
