第4章 英雄誕生 ― 人魔大戦 ― 第5節 炸裂!?クロスブレイド
魔人たちは目の前を通り過ぎていく。
近くにいるせいか、重圧感と似たような感触に捉われた。これが畏怖ということか。
そして僕が向いている反対側から石つぶてが飛んでくる。
それは魔人の顔に直撃した。
「んっ? なんだ?」
「どうした? 兄弟?」
「何かが当たったみたいだ。確かこっちのほうから……」
魔人二人は僕たちと反対方向へ向きを変えた。
石つぶてはマウイの仕事だ。
反対側に気を取られている間に不意を突き『クロスブレイド』を炸裂させる。
シンプルだが、三人でできる策はこれしかなかった。
――でも、成功しそうだ。
ラクドウ「いくぞ!」
クレフ「はいっ!」
ラクドウ「おおおおっ!」
ラクドウさんは大きな雄叫びと共に魔人たちへ向かっていく。
僕もそれに続いた。
「ん〜? 今度はなんだ?」
「何かいるな。気をつけろ兄弟」
そう聞いた瞬間、石をぶつけた魔人に対してラクドウさんの大剣の一太刀が炸裂した。
僕も少し遅れて反対側から切りにかかる。
ラクドウさんの剣は少し速度が遅い。
このタイミングで良いはずだ。
魔人たちは何も対応できていない。
後は『クロスブレイド』が決まれば――
クレフ「で――――――っ!」
僕も気合を入れて切りつけにかかる。
タイミングはイメージ通り。このまま切り抜けられれば――
だが、鈍い金属音と共に僕の剣刃が宙を舞った。
クレフ「そんな……」
僕の剣は、魔人の硬性に耐えきれず折れてしまったのだ。
硬いことに気を取られてこんな事態は想定外だった。
僕は突然の出来事に棒立ち状態になる。
ラクドウ「クレフ! 止まるな! 動け!」
「!!」
その直後、魔人の拳が僕に飛んできた。
間一髪のところで僕は後ろに飛び避ける。
ラクドウさんの声が無ければ、直撃を受けていただろう。
僕がいた場所には、小さなクレーターが出来ていた。
まるで大きな鉄球が飛んできたかのような威力だ。
「人間だ。人間がいたぞ〜」
魔人は嬉しそうに言う。
まるで獲物を見つけた狩人のように。
ラクドウさんの攻撃だけは直撃を受けたはずなのに、
まるで何ともないようだ。
僕はラクドウさんの所へ合流した。
ラクドウ「ちっ! 相変わらずの化け物だぜ。こうなったらやるだけやるしかないな」
ラクドウさんの剣は斜めにきれいに折れていた。
この状態ではまともに切りつけることはできない。
この状態でやれる攻撃は、突きぐらいしかない。
クレフ「ラクドウさん、もう一度やりましょう!」
ラクドウ「何を言っている! そんな剣では炸裂も無理だ!」
ラクドウさんは僕の折れた剣を見てそう言う。
クレフ「こんな状況だからこそ、試したいことがあるんです」
ラクドウ「なんだと?」
クレフ「とにかく僕を信じて下さい!」
ラクドウ「……わかった!」
そう言ってラクドウさんは構え直した。
僕の考えが正しければ、これでも効果はあるはずだ。
しかも通常よりリスクが低い。今の僕でも成功できるかもしれない。
「久しぶりの獲物だ。ゆっくり相手してやるか」
「そうだな。もう人間は貴重な生物だからな〜」
相手は完全に僕たちを見下している。
不意を突くための策をやったが、真っ正面からやっても隙を作れるだろう。
奴らは完全に隙だらけだった。
ラクドウ「うおおおおおおーっ!」
ラクドウさんが再び突っ込んでいく。
僕もそれに続いた。
「おっ! 突っ込んできやがったぜ」
「慌てるな。どうせ俺たちに傷は負わせられないぜ」
奴らに迎撃するつもりは更々ないようだ。
今に見てろ! その余裕吹っ飛ばしてやる!
ラクドウさんは右下から切り上げる体制に入った。
僕はそのまま真っ正面に突っ込む。
クレフ「これでどうだっ!!」
そしてラクドウさんの剣が通り過ぎた直後のその場所に、
渾身の力を込めて突きを放った。
「ぐああぁぁ!」
僕の考えは間違っていなかった。
僕の突きは相手の皮膚を貫き、帰り血が飛んだ。
「い、痛ぇ〜!!!」
「だ、大丈夫か? 兄弟!」
よし! ダメージを負わせたぞ!
ラクドウ「なるほど、考えたな。要は衝撃を与えられれば良いわけだからタイミングの難しい切り抜けではなく単純な突きに変えたわけだな」
クレフ「剣が折れたから思いついたんですけどね」
ラクドウ「怪我の功名って奴だな。だがダメージは負ったようだが致命傷ではなさそうだ。それにこれで相手も本気になるだろう。不利な状況に変わりはないな……」
致命傷ではないとはいえ、クロスブレイドを何度も決めれば倒せる可能性もあるだろうが、今後は簡単に決めさせてくれないだろう。
その前にこちらがやられるのは必定だ。
目が自然と腕輪に行っていた。
マクス(攻撃するタイミングに合わせて剣を出し入れすれば、捉えないこともないと思いますよ。あとはクレフ王子次第ですね)
僕はマクス教授の言葉を思い出す。
僕次第か……簡単に言ってくれる。
クレフ「ラクドウさん……下がっていてください」
ラクドウ「ん? 何をするつもりだ?」
僕はそれには答えず、再び魔人に向かっていった。
――第6節へ続く。
第4章 第5節「炸裂!?クロスブレイド」を読んでいただきありがとうございます。
ラクドウとクレフの連携によって、ついに魔人にダメージを与えることに成功しました。
しかし、剣は折れ、状況はまだ圧倒的に不利なままです。
それでもクレフは次の一手を考えます。
視線の先にあるのは、腕に装着されたあの腕輪。
ここから戦いはさらに大きく動き始めます。
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