(短編小説)年下の異才・矢崎君①
これまで書いてきた自伝の登場人物について、
掘り下げてみようという、短編小説です。
今までと同じく事実ベースではありますが、
登場する人物名・団体等は一切存在いたしません。
(登場人物)
新井 ・・・ 筆者の分身
矢崎 ・・・ 5歳年下の同級生
「食べ放題なんだから、
限界まで食べる以外、選択肢はないだろう!」
ゆで卵が食べ放題な、ラーメン屋にて。
3つ目、4つ目、5つ目、、、
まだ見ぬ限界に向かって、
彼は、ゆで卵を食べまくっていた。
「卵は1日1個まで」
どこかで聞いた、このフレーズ。
コイツに言ったところで、無意味だろうな。
そう思いながら、多分10個目は超えたはずな、
「ゆで卵限界チャレンジ」を見守っていた。
顔色が悪くなってきた気がするのは、
気のせいではないと思うんだけど。
ほら、卵の殻向く手もふるえてるし、、、
大学卒業後、就職活動に失敗した新井。
仕切り直しに入学した専門学校で、
出会ったのが、この男。
新井から見て、5歳年下の同級生。
年下の変人、、、 じゃなくて異才。
矢崎君である。
「なんで、こんな専門学校にいるんだろう?」
それが、不思議で仕方がない男だった。
「その気になれば国立大学でも行けた」
この話が、本当だと実感してからは尚更だった。
この能力で、何で専門学校にいるのか?
「大学行ったら4年間拘束されるから」
本人に聞けば、返事はそう返ってきたが。
そうだ、ひょっとしたら家が苦しいとかで。
4年間大学に行く余裕がないのかもしれない。
それを、口に出さずに明るくふるまっている。
そんな「苦学生」説もあるのでは?
最初そう思い、彼に一目置いてた新井だったが。
バイトを2日目から無断欠席したりする、
彼の日々の行動を見てるうち、
頭の中から、その可能性を抹消した。
どーやら、本人が言ってる通り。
「ココにいるのは暇つぶし」
これが、本当のようだった。
「次の就職セミナー、
最低3社は回らないとだけど、
どーすんの?」
「あーそうやね、、、
スーパー、本屋、メーカーとか。
その辺いってみよっかね?」
「で、そこに就職する気は・・」
「さらさらないw」
進学、就職、恋愛、結婚、、、
人生で、わりと重要と思える諸々。
新井が汲々としてる、それらの事。
それを、適当にやっている。
正解かどうかは、置いとくにしても。
彼といると、そーいう人生の諸々。
大した事ではないように思えた。
だからだろうか?
彼とは専門学校卒業後も、よく会った。
どーいう経緯を辿ったかは知らないが、
彼はその頃、高校教師になっていた。
「で、高校教師は天職になりそうですか?」
「どーだろねぇ?
最近の高校生、生意気やでー」
「金八先生を目指すとか、、、」
「どっちかってと、GTOかな?
いやーアレは無理か、逮捕されるなw」
なんで、高校教師になったのか?
専門学校時代、
そんな話はこれっぽっちも聞かなかったのに。
「・・・ま、高校教師を極めようとは、
思ってないかな。
次やる事決まるまでですかね、、、」
教師が夢だったわけではない。
多分、それは本当なんだろう。
彼とはいつも、冗談めかして話す。
真面目に話しても、
冗談めかして返って来るが、、、
「じゃ、今後の夢とか。
展望はありますかね、矢崎さん?」
「さーねー
ま、夢だけは持ち続けたいけどね。」
珍しい事を言う。
何か、やりたい事でもみつかったのか。
「だってほら、夢だけはさ。
誰も奪えない心の翼 じゃないですかw」
何だ、そのくっさいセリフ。
どっかで聞いた気もするが、、、
・・あっ、聖闘士星矢の主題歌だ。
彼とは、ずっとこんな感じである。
真面目な返事など、ほとんど聞いた事はない。
それでも、彼と話していると楽になる。
世の中、真剣に悩む事なんて。
実は、ほとんどないんじゃないか?
そう、思えるから。
「じゃ、次会う時には金八先生になっとけよ」
「教師びんびんのが、世代なんやけどなー」
どーせ、次会ったら転職とかしてんだろ。
そうは、新井も思っていたが。
この男が、数年後は郵便局員になってるとは。
さすがに思いもしないのであった。。。
【そんな矢崎君も登場する本編です】
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