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(短編小説)年下の異才・矢崎君➁

これまでの自伝の登場人物について、
掘り下げてみようという短編小説です。
今までと同じく事実ベースではありますが、
登場する人物名・団体等は一切存在いたしません。

(登場人物)
新井 ・・・ 筆者の分身
矢崎 ・・・ 5歳年下の同級生

「1パック100円で安いんだから、
 限界まで食べる以外、選択肢はないだろう!」

集合場所の、某スーパーの駐車場にて。
昼飯はコスパの良い100円たこ焼きですませるか。
そう決めて、彼が買いに行ってくれたのだが。

数分後、両手一杯にたこ焼きの袋をぶら下げて、
戻ってくる彼の姿が目に入り、新井は後悔していた。

アイツを1人で行かせてはいけなかったw

2人しかいないのに、
彼はたこ焼きを、10パック以上買ってきた。

「・・・貴様、一体何がしたい?」

若干、切れ気味に問う新井。

「こんだけ買って、千円なんだぜ?
 だったら、買わない手はないだろう!」

「100円ですむコスパが魅力だろう?
 それを千円分買ってどーする!
 てか、お前が食べんだなそれ全部?」

「2人で買うと決めたんだから、
 数は平等に2等分だろ。
 ジョリーと僕とで半分こってヤツだ!」

ジョリーと僕とが半分こしてたのは、
ワクワクとか希望とか、
そーいうもんだったような、、、

誰も分からない80年代のアニメ、
「名犬ジョリー」を引用してくる彼に、
反論する気力も失せ。
せめて、熱くて美味しいうちにと。
2人で10パック超のたこ焼きを食べ始めた。

コスパが魅力なたこ焼きは、質は値段相応で。
「残りは捨てるしかない」と諦めたのは、
5パック目の半ばくらいだっただろうか、、、

専門学校時代仲良くしていた、
5歳年下のちょっと変わった同級生・矢崎君。
能力値は極めて高いのだが、
色々と常軌を逸している男である。

現在は新井の母校、E高校の教師であり。
かつての新井の担任だった、
嶋先生とも交流があるとの話を聞いていたので。
この日は彼の案内で、E高にやって来ていた。

「ちょっと矢崎先生!その連れの人誰?
 ひょっとして、彼氏w」

生徒の少ない、夏休みではあったが。
チラホラいる生徒に会うたびに、
彼は気軽に声をかけられていた。
生徒には、人気があるよーに見える。
よい先生だったりするんだろうか?

この異才が、多感な高校生を指導してると思うと。
新井は正直、後輩達が心配なくらいだったのだが。

社会的な場では、常人としてやっているのか?
もちろん、それが当然なんだけど。
彼が「常人」として生活してる、
その姿を、新井はどーしても想像できない。

「おぉー新井! 8年ぶりくらいかぁ。
 元気にしとったか?」

かつての担任・嶋先生にも引き合わせてもらい。
一通り、昔話も終わった後に聞いてみた。

「矢崎は、ちゃんと先生やってますか?」

「うん? いたって普通にやってるよ。
 生徒と年齢も近いから仲良さそーだし。
 経歴はちょっと異色だけど、
 良い先生だと思うよ。」

良い先生、、、
別に異論があるわけではないが。
素直に納得できないのも本音である。

けれど、その後も学校での彼を見ていても。
いたって普通な若い先生で。
そこには新井の知ってる、
「かつて見た事ない異才」の空気は、
微塵も感じなかったのである、、、

   ・
   ・
   ・

ペーガサス・ファンタジー ♪
そーさ夢だけは~ ♪
誰も奪えない心の~翼だから~ ♪
(ペガサス幻想 1986年)

E校からの帰り道。
2人でカラオケに立ち寄った。
彼とは昔からやる事がなくなると、
大体、カラオケに行っていた。

彼は別に、オタクではないのだが。
歌うのは、昔のアニメの主題歌だったり。
昭和の演歌だったりと。
こーいう場所でも、掴めないヤツだった。

けど、こんな異才でも。
職場では、普通のヤツなんだろうか?
今日チラッと見ただけで、
分かる訳がないけれど、、、

「で、お前はこのままE高で、
 教師の道をひた走るわけ?」

まともな返事は、返ってこないだろうが。
そうは言っても、聞かずにはいられない。

「どうだかねぇ~
 10代とワチャワチャやるのは楽しいけど」

それならば、教師の道を進んで欲しい。
口には出さなかったが、
新井としてはそう思った。
奇しくも自分の母校で、
自分の恩師と一緒に教師をしてる彼。

この日、数年ぶりに会った恩師は、
学年主任のよーな立場にいるようで。
新井のクラスで初めて担任をもった時の、
若々しい熱血先生ぶりは薄れていて、
若干疲れてるようにすら思えた。

立場相応の仕事や責任もあるのだろう。
矢崎君が嶋先生を助けてココで教師を続けるとか、
何か、キレイな物語のように思えた。
もちろん、完全に新井の主観ではあるのだが。

けど、今日見た感じでは。
夢物語でもないのかな、そう思えたのである。
E高は彼にとっては2つ目の職場だったが。
いくら彼でも、そう転職ばかりしないだろう。

この街は~ 戦場だから~ ♪
男はみんな~ 傷を負った戦士~ ♪

2人でよく歌う「聖母達のララバイ」を熱唱して。
「教師矢崎君を拝見する会」はお開きとなった。

    ・
    ・
    ・

数年後の年末。

「高校は受験シーズンだな。
 教師はやっぱ、忙しいか?」

忘年会で久々に会い、
何気なく問いかけた言葉への返答は、
到底、新井には認識できないものだった。


「あー、E校辞めたんよ!
 今は俺、郵便局員やってるw」


ゆうびんきょくいん???

何がどーしたら、
高校教師が郵便局員になるのだろうか。
いや、そもそもなんで郵便局員?
お前の心の翼は、どこに向かって飛んでいる??

やっぱり、コイツは異才。
新井の知る限り、他に類を見ない異才。
決して理解も同調もできないが、、、

「受験じゃないけど、年賀状シーズンで忙しい」
そんな不思議な話を聞きながら。

「コイツは何者なんだろう?」

結局、いつもの思いが頭を巡る新井であった。。。

【そんな矢崎君も登場する本編です】

【短編第1話】


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くりす 日々の色々を面白おかしく書く事で、日常を楽しく色付けできればと思ってます。書く事はもとより好きなので「毎日更新」頑張ります。よろしければ応援お願いします!