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(短編小説)豆腐メンタルの行方④

ジワジワと、血流が悪くなっていくような感覚。
それに伴い倦怠感が体中に広がって、
ひどい時には、軽く過呼吸状態に襲われる。

「あー来た来た久々、この感覚だぁ、、、」

少し懐かしい気すらするこの感じ。
7年間、ほぼ毎日感じていたものだ。

新井が苦手で仕方がなかった、
直属の上司が退職して1ヶ月。
仕事は忙しかったが、
メンタル的には格段に楽になっていた。

本日は、その上司の送別会。
会社の役付が全員集まる事になっている。

「今日は楽しみですねぇ、羨ましいな」

「会社のお金で美味しい物食べるんでしょ?
 いやー、偉くなりたいもんですねw」

そう言って冷やかしてくる同僚達。
思ってもいない事は、口にしないで欲しいものだ。

「偉い人達だけでやる、苦手だった上司の送別会」

楽しい気持ちになれないのは仕方がないが、
口で言うほど憂鬱なわけではなかった。
そう思ってるのに、
体は以前の拒否反応を素直に示す。

バカ正直な自分のメンタルに呆れる。
ほとんど「パブロフの犬」状態なんだろうけれど、、、

「あ、新井部長。
 送別会19時からですよね?
 楽な席に座れるといいですねー」

同じ部門の森野さんだ。
入社して数ヶ月程度の女性事務員だが、
色々とよく気が付く子だ。

この問いかけ1つをとっても、
今日の送別会、何がしんどいのか?
何も言わなくても良く分かっている。

「まぁ、俺役付いて数ヶ月の下っ端だし。
 末席で静かに過ごせるんじゃないかな?」

希望的観測ではあるが、その可能性は低くない。
何せ新井は役付になったばかり。
同格の近しい人達と席を並べて、
食事を楽しめるかもしれない。

「でも、なんか部長。
 しんどい席になりそうですよね。
 そういう立ち位置な気がしますよw」

嫌な事を言う。

「いやいや、さすがにそれは。
 自分みたいなもんが、、、」

そう言いながらも、嫌な予感はしなくもない。

「新井さーん、そろそろ行きますか」

営業の鈴木部長も、準備ができたようだ。
お酒を飲まない新井は、こーいう時運転手役。
よく飲む鈴木を伴って、
新井の運転にて2人で会場に向かった。

それほど憂鬱ではないのだ、本当に。

なのに、会場に向かう運転は少々怪しく。
懐かしい倦怠感は、増すばかりなのである。。。

このお話は筆者の実生活をベースにした創作です。
実話を元にはしてますが、
登場する人物名・団体等は一切存在いたしません。
(登場人物)
・新井 ・・・ 筆者の分身(総務部長)
・鈴木 ・・・ 同僚(営業部長)
・森野 ・・・ 入社間もない新井の部下

「新井君、なんか自分そこ座ってるの。
 場違い感すごいね」

そう思うなら、席替えてくれたらいいのに。

心中で、そうボヤく。
送別会でのテーブルは、7人掛けの円卓で。
新井の席の、新井以外の6人は。
社長を筆頭に、上から6人だった。

想定の最悪を極めた感じである。

「森野さん、
 あんたホントに良く分かってる・・」

社内でも一番社歴が浅い部下の、
観察眼に感心しながらも。
自分の役回りを、ボヤかずにはいられない。

出てくる料理は、口にした事ない物ばかりで。
多分、高級で美味しいんだろうけれど。
正直、味など感じない。

2時間程度の送別会が終わり、
自分の車に戻ると、疲労感でしばらく動けなかった。

「相変わらず弱いのね、俺のメンタル・・」

どーにか帰宅して、早く寝ようと思ったのだが。
明日は休みだと言うのに、寝つけない。
数時間寝て、朝が来て。
気分一新、休日を楽しむかとカーテンを開けた。

朝日と共に、目に入った物を見てふき出した。
自分の車が、半端なく斜めに駐車されている。

これも、かつてのストレス過多の日に。
良く見られた現象だ。
最近は無くなってたのだが、、、

「ちょっとあんた!
 洗濯物にボールペン付けっ放しだったでしょ!
 インクが漏れてるじゃん!!」

妻の怒声が聞こえる。

あぁ、それは昨晩段取り用でポッケにさしてた
ボールペン、外すの忘れてますか、、、

もろい、ホントにもろい。

少しは強くなったつもりでいたが。
気のせいなのかもしれないw
豆腐なメンタル。
上手に付き合っていくしかないのだろうか。

この後、新井の自問自答は。

どこにしまったか分からなくなった、
昨晩支払に使った会社のクレジットカードを、
見つけ出すまで続くのである。。。

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くりす 日々の色々を面白おかしく書く事で、日常を楽しく色付けできればと思ってます。書く事はもとより好きなので「毎日更新」頑張ります。よろしければ応援お願いします!