(短編小説)うちの菊さん①
これまで書いてきた、自伝の登場人物について。
掘り下げて書いてみる、スピンオフ第2弾です。
今までと同じく事実ベースではありますが、
登場する人物名・団体等は一切存在いたしません。
(登場人物)
新井 ・・・ 筆者の分身(28歳・独身)
菊池 ・・・ 新井の同級生、同じく独身
通称「菊さん」
松山 ・・・ 同級生、既婚・妻子もち
「おう来たか、あがれよ」
「・・お邪魔します」
菊さんに、促されて家にあがる。
「ま、適当にくつろいどけや。
そこのお菓子、食べてていいから」
「はぁ・・」
この日は、近日に迫った同級生の結婚式。
その余興の打合せ等があり、
友人宅で、同級生が集合する事になっていた。
少し早く到着してしまった新井。
いたのは、菊さんだけだった。
見ればバラエティパック的なお菓子達が、
既に開封され、食い散らかされている。
テレビはプロ野球中継を映していて、
野球を見ながらくつろいでいたようだ。
「お、なんか郵便来たみたいじゃな。
取って来るわ!」
「お、おう・・」
台所に目をやると食べたばかりの、
カップ麺の残骸も見える。
こいつは昼前から、
ずっとココでくつろいでたな、、、
そんな予想はつくのだが、
聞かない訳にはいかないので。
郵便を持って戻ってきた菊さんに、
とりあえず聞いてみる。
「・・で、松山はどっか行った訳?」
そう、我が家のようにふるまってるが。
ココは、菊さんの家ではない。
同じく同級生の、松山の家なのである。
「あぁ、お菓子とか飲み物とか。
買い出しに行ったで。
もう帰ってくると思うけど」
「・・すでに、食い荒らされてるけど。
コレ、食べてていいのか?」
「追加が来るんだから、
遠慮なく食べときゃいいだろ?
それでも足りなきゃ、俺が買いにいくし」
気心知れた、幼なじみの家ではある。
が、家の主が買い出しに行ってて不在の中。
カップ麺食べ、お菓子を食べて。
郵便迄を取って来る、、、
ちょっと、フリーダム過ぎないかw
長年の付き合いで、
そーいう人だと知ってはいるが。
「お前普通、他人の家の郵便受け開けるか?」
案の定、帰って来た松山に、
常識を問われる菊さんであった。
まぁ、本人に悪気はなく。
幼なじみ達は皆、
彼の人柄への信頼はあるのだが、、、
・
・
・
「えー結婚には大事な物!
何と言っても、3つの袋・・・」
同級生の結婚式当日。
菊さんは、友人代表のスピーチ役である。
彼がこの役を務める事は、非常に多い。
何だかんだ同級生は皆、
彼の「面白トーク」を期待している。
ベタっぽい話で始めているが、
ベタで終わる事はありえない。
何かウケを狙ってくるはずだ。
みんな、それを期待している。
だから、みんな彼に「この役」を頼むのだ。
例えば「この役」
新井が頼まれる事はありえない。
新井が頼まれるのは、会場の受付だったり。
2次会の幹事だったりで。
実際、この日も2次会の幹事役だった。
適材適所と言えば、それまでだけど。
どんな事でもそつなくこなせる人、
そーいう人が、新井は羨ましかった。
だから、だろうか?
新井には小さい頃から。
ずっと、彼への憧れがある。
毎日、同じようにファミコンで遊んで。
漫画やプロ野球の話ばかりしてるのに。
菊さんの学校の成績は、
仲間内では頭1つ抜けていた。
塾にも行っておらず、
勉強してる感じは全くないにも関わらず、、
「〇〇〇! (新郎の名前)
今日は、いつもよりカッコいいね!
〇〇ちゃん! (新婦の名前)
その透明感は、大人げない!!」
流行りのCMワードを入れてきたようだ。
若干、滑ってる感じはするが。
それにくじける、彼でもないだろう。
オチは、どうするのだろうか・・?
「新郎は、日頃から言っておりました。
結婚生活は、協力こそが大事だと。
例えば、ゴミ出しは過酷な仕事だ。
男の俺が毎日でもやってやる、と・・」
そこまで言って、新郎を指さす菊さん。
頭上で手を交差させ ✖ の字を作る新郎。
「チッ、チックショー!!」
・・あぁ、事前に新郎と打ち合わせてたかw
芸人ネタで落とし、
やり切った感で席に戻って来た菊さん。
「お疲れ様w」
「もう、次はやらないからな。
次あったら、誰かやれよ!」
でも、多分次も菊さんがやるんだろうな。
そう思いながら、新井は2次会の余興も、
菊さんに無茶ぶりしようかと。
頭の中で画策していた。。。
・
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・
「受付・幹事・余興もろもろ。
菊さん、新井さんお疲れ様でした!」
2次会迄を終え、新郎新婦を見送ってから。
同級生達の3次会は、いつもの流れ。
場所は、いつも通り松山の家である。
「で、人のお世話もいいけれど。
君達の現状はどーなんですか?」
そう、1年ほど前。
同じく同級生の結婚式にて。
美人すぎる新婦に嫉妬した、
同級生6人で始めた婚活レース。
1人に彼女が出来た以外は、
何の進展もないままである。
「そういや、新井。
お前、理恵ちゃんと話してたな。
連絡先ゲットした訳?」
そう、今回新井の収穫は。
前々から距離を縮めたかった憧れの同級生、
理恵さんの連絡先を聞けた事だった。
まぁ、距離を縮めるプランとか。
別に何もないんだけれど、、、
「新井も頑張ってるやん。
菊さん、お前は動いとるんか?
焦らないと、新井に先越されるかもよw」
そんな事もないだろうけど。
新井は心中、そう思っていたが。
「新井に先を? ないない!!
新井に彼女が出来たら、
さすがに俺も焦るけど、ありえないw」
そんな、菊さんの返事を聞いて。
「ほぅ、俺がデッドラインですか・・」
新井の心に、小さな火が付いていた。
小さい頃から、菊さんに憧れていた。
彼に勝てる要素は、思い付かなかったが。
この「婚活レース」
新井が一番負けたくないのは、
実は菊さんだった。
よし、明日にでも理恵さんに連絡するか!
そう、決心する新井であった。
幼なじみ達の中でも、菊さんの存在は。
新井の中で大きかったのだ。
彼の、この日の一言がなければ。
やっと連絡先を聞けた憧れの子にも、
連絡すらできなかったかもしれない。
婚活レースが始まったのは、1年前だったけど。
この日が新井にとって、
本当のスタートとなった。
・・まぁ、この「憧れの子」へのアプローチ。
まったく、上手くいかないのですがw
それはまた、別の話で。。。
(菊さんも登場する本編です)
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