新型日産・エルグランドを見て、改めてトヨタ・アルファードのデザインはすごいと思った
JMS(ジャパン・モビリティショー)を取材してきました。
各社のデザインの方向性が見える絶好の機会ですので、大変楽しみなイベントです。
さて、今回も多くの新型車やコンセプトカーが発表されましたが、その中でも注目の一台が日産・エルグランドです。
実に15年ぶりのモデルチェンジということで、待っていた方も多いと思いますが、旧型モデルは背が低いことがウィークポイントでした。消費者はこのクラスのミニバンに堂々とした佇まいと広い室内を欲していたんです。
そこで新型はボディサイズを大きくしました。

旧型、新型エルグランドとアルファードのサイズを比較します。
旧型エルグランド:4975×1850×1815mm(全長×全幅×全高)
新型エルグランド:4995×1895×1975mm(全長×全幅×全高)
アルファード:4995×1850×1935mm(全長×全幅×全高)
新型エルグランドは旧型より全高が160mm高くなったほか、全幅も45mm広くなっています。これはアルファードよりも大きく、まさにネガを払拭した感じですが、1.9mに迫ろうという全幅が消費者にどう受け入れられるかですね。私の周りではアルファードを子供の送迎などで割と女性が運転していたりします。家族で普段使うには大きすぎる懸念もありそうです。

さて、肝心のデザインなんですが、第一印象は「大きなセレナ」というもの。ミニバンというのはスペース効率を最大限考えられたパッケージですので、デザインができることが限られており、エルグランドもセレナと同様、多くの規制があってのデザインだと思います。
サイドの立体感が出ないので、結果としてフロント、リアのみに注力したようなデザインになっているんですね。

しかし、ここでアルファードを改めて見てみると、下級車であるノア/ヴォクシーとは全く異なるデザインであることが分かります。しっかりした抑揚があり、リフレクションの変化まで表現されていて、まさに高級車に相応しいデザインです。
この差はどこなんだろうと考えた時、アルファードはデザインする前から「造形の効きどころ」を熟知してから作業を進めたのでは?と感じるんです。
アルファードの造形は、主にボディ前半部分に抑揚があり、後半は比較的フラットです。ボディ後半部分は、ミニバン特有の箱型の造形をしないと室内が狭くなるのでそもそも「造形しろ」を取れない上に、スライドドアという要件も見逃せません。スライドドアは特殊な機構でない限りボディが平滑でないとうまくスライドしないんですね。それらを最初にデザイナーが熟知してからデザインした節があるんです。


一方、新型エルグランドの元ネタは2023年JMSで発表されたコンセプトカー「ハイパーツアラーコンセプト」でしょう。このデザインをよく見ると、ボディ後半に抑揚があるのが分かります。これでは通常のスライドドアの機構では開かなさそうですよね。それで量産車である新型エルグランドは、ボディの抑揚を失ったと推測出来ます。
さらにサイドシルエットもコンセプトカーに比べると明快な2ボックスタイプで、この辺りも要件が厳しかったのだと思いました。
今回感じたのは、アルファードのデザインの「巧みさ」です。元々箱型であるミニバンのパッケージをいかに高級感ある仕立てに出来るか。それには多くの知見が必要なのだと感じました。
