空想科学日記:男女合体で変身するヒーローが生まれた時代。ウルトラマンAと繁殖の構造
指輪と接触。エースの変身はセックスの隠喩か
1972年、『ウルトラマンA』が始まった。
デザインの大胆な変化もさることながら、真に異質だったのは「男女の合体によって変身する」という設定だ。
指輪を媒介に“接触”し、そこから眩い光とともに登場するヒーロー。
ウルトラタッチの構造は、どう見ても婚姻と性行為のメタファーである。
第二次ベビーブームと“量産型ヒーロー”
1970年代は第二次ベビーブーム。
つまり日本中で“たくさんの接触”が行われていた時代だ。
北斗と南が手を取り合い、光の中から現れるAは、まさにその時代精神の体現だった。
セックスの結果として子どもが生まれるように、Aという“ベビー”が生まれる構造になっている。
そして変身のアイテムが「指輪」。これは言うまでもなく結婚の象徴である。
“接触して生まれるヒーロー”という構造は、元気な日本の自己肯定にすら見える。
フェミニズムの波に乗る“戦う女”
さらに特筆すべきは、南夕子という女性がヒーロー変身の半分を担っていたこと。
昭和の特撮で、女性が“主役ヒーローの一部”として描かれるのは非常に稀。
この時代、日本にも“第二波フェミニズム”が到来し、女性の社会進出が本格化していた。
ウルトラマンAは、男性向けに作られた世界観の中で「女も戦う時代になったぞ」と高らかに叫ぶ作品だった。
戦う女性がカッコいい…のではなく、戦わせることで時代の空気を取り入れていたのだ。
セックスと戦闘、そして経済回復の物語
戦後の焼け野原から、高度経済成長を経て、人々が“セックスして子どもをつくる余裕”を持てるようになった。
その象徴としてのウルトラマンA。
Aの次作である『ウルトラマンタロウ』が“明るく元気な作風”だったのも納得がいく。
そこには「生めよ増やせよ」の空気が漂っていた。
イズミ隊員の観察報告
Aは合体で生まれた。
それは“愛の結晶”ではない。
“日本の元気さ”の象徴であり、“子づくりできる社会”という機能の再稼働だったのだ。
※記録者:イズミ隊員
地上での観察はXでも継続中。
怪獣とソフビの動向、国家のエラー、社会という構造物のひび割れをポストで記録しています。
→ イズミ隊員 Xアカウント
