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この物語と会える場所 #01:カサモ関口商店さん──変わるものと、変わらないもの

加須市本町に、カサモ関口商店さんという本屋があります。

本と文房具と、カードゲーム。地域の学校の教科書販売店でもあり、英検や漢検の申し込みも受けています。子ども連れのご家族が多い店です。

江戸時代には、笠を売っていました。

商うものは、変わってきました

この店の屋号には、由来があります。頭にかぶる笠を売る店だったので「笠茂(かさも)商店」と名乗り、のちに法人になるときに、いまの「カサモ関口商店」になりました。

笠が求められた時代には、笠を売っていました。いまは、本と文房具を売っています。

売り方も、変わり続けています。カードゲームで遊べる場所を設け、Instagramでは新しい本のことも、店の様子も、地元の催しのことも発信しています。

いまの人が何をどこで知るのかを、この店はよく見ていると思います。

「何をするべきか」と、店の方は書きました

この店から、一枚の紙をいただいたことがあります。

その最初の一文が、これでした。

地元(加須)の本屋として、地域の皆さんにずっと愛される存在であるためには何をするべきか。時代の流れと共に、本屋の在り方・求められ方も日々変化しています。

推薦文の決まり文句ではありません。この店が、この町の本屋であるために、ずっと抱えてきた問いです。

変わらないのは、問いのほうです

教科書を扱い、検定の申し込みを受け、雑誌を毎号取り置く。

そして、地元の作家の本を集めたコーナーがあります。加須のことを書いた本、加須の人が書いた本が、そこに並んでいます。

町の本屋の棚は限られています。そこにひとつコーナーを持つというのは、この町の本屋として何をするべきかという問いに、店が出した答えのひとつなのだと思います。

その問いだけが、笠を売っていたころから変わっていない。商うものが変わってきたのは、問いが変わらなかったからです。

私の本も、その棚にあります

そのコーナーに、私の本も置いていただきました。

置いていただくというのは、棚をひとつ空けていただくことです。書店の棚には決まった広さしかありません。一冊を置くというのは、別の一冊を置かないということでもあります。無名の出版社の本をそこに入れるのは、それだけで一つの判断です。

その上で、店に伺うと、手描きのPOPが立っていました。青いペンで、丁寧に。強調したい行には、定規で赤い線が引いてあります。

さぁ、あなたも この本片手に
加須市聖地巡礼の 旅に出発しよう!!

POPの周りには、桜の花びらの形に切った付箋が四枚。一枚に「カサモの推し本!」。残りの三枚には1、2、3と番号が振ってあって、1巻の読みどころが、ご自分の言葉で書き出されていました。

私の物語を読まなければ、書けないものです。

棚に何を置くか、POPに何を書くか。それは、店の主観を出すということでもあります。その難しさを、店の方から伺ったことがあります。難しいと知ったうえで、書いてくださいました。

シリーズの「デジスケ」という略称も、この店で決まりました。Instagramのストーリーで「どう呼ぶか」を募ってくださって、そこから決まったものです。名づけたのは、読んでくださった方々でした。いまでは市の物産観光協会の方も「デジスケ」と呼んでくださっています。

色紙を、一枚お渡ししました

置いていただいたお店には、色紙を一枚描いてお渡ししてきました。絵も、添える言葉も、その店だけのものにしています。

加須のなかでは、ひとつの場所にひとりずつと決めました。カサモ関口商店さんには、主人公を描きました。長く本を売ってきた場所に、シリーズの顔がいてほしかったからです。

今後サインを書いていく中で、主人公の悠人くんを描くことがあるかもしれません。だけど、それはデフォルメしたちびキャラにしようと思っています。リアルな悠人くんはここだけの絵にします。

お渡ししたのは、今年の五月です。ここまでに書いてきたことは、すべてそれより前の話になります。

書く言葉は、ずいぶん迷いました。

子どものころから通ってきた、思い入れのある書店です。地元の作家のコーナーを何年も続けて、この町で何が読まれているかを見てきた店でもあります。

それに、置いていただいてからの二か月ほどのあいだに、本のことで何度も相談に乗っていただいていました。こちらが一方的に置かせてもらっているというより、すでに一緒にやっていただいている感じがありました。

そして、いただいた紙にあった問いです。地域の皆さんに愛される存在であるためには何をするべきか。この町のことを、この町の人にどう手渡すか。考えている方向が同じだと思いました。

その店になら、この町の景色を一緒に届けていただけるのではないか。そう思って書いたのが、これです。

「加須の景色を、共に届ける。」

色紙に書く言葉では、お店の役割をこちらから決めないようにしています。「こう使ってください」とは書かない。だからこの一枚も、お願いではなく、一緒に、という書き方にしました。

そのあとのことです。

店の方はInstagramで本のことを発信してくださり、それを読んだ方が、また別の方へ伝えてくださいました。この店で本を手に取った方から、次の場所につながったことも何度かあります。児童館でおはなし会をさせていただくことになったのも、この店から始まった話でした。

この八月には、店でサイン会を開いていただきました。いまも折々に、本のことで相談に乗っていただいています。

先日は、この本を置いてから地元の本を手に取る方が増えた、と伺いました。

私が書いた言葉を、この店が本当にしてくださいました。

もともとあったコーナーに、あとから乗せていただいた本です。その棚に少しでも返せていたのなら、うれしいです。

飾ってくださっているのを見に行くたびに、思います。場所をいただいているのは、こちらのほうだと。

行ってみてください

加須市本町、ガラス張りの建物です。「KASAMO STATIONERY & BOOKS」の看板が出ています。

一階が本の売り場です。入ってすぐ左手に階段があって、その先の左側がカードゲームのコーナー。行くとたいてい、子どもたちで賑やかです。階段を上がると、二階で文房具を販売しています。

題名が思い出せない本でも、一緒に探してくださいます。

店舗情報

カサモ関口商店さん
埼玉県加須市本町12-41
営業時間:10:00〜19:00(土日祝も同じ)

いただいたコメントの全文は、以前noteに残しました。この店がどういう店なのかは、私の文章より、そちらのほうがずっとよく伝わります。

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