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クスノキ出版活動記録 #07:加須のラジオに出てきました──FMわたらせ『加須ストリート』生出演記

地元のラジオに、出させていただきました。

2026年4月30日(木)の夕方、コミュニティFM「FMわたらせ」(76.1MHz、加須市小野袋・道の駅かぞわたらせ物産施設2Fから発信)の番組『加須ストリート』に、ゲストとして約10分間お時間をいただきました。パーソナリティは八木愛介さん。加須市に縁のある人やお仕事をされている方を毎週ご紹介していらっしゃる、地元の人気番組です。

私のような小さな出版社の人間が、地元のラジオに招いていただけるとは、正直、まだ少し信じられない気持ちもあります。今日は、その10分間で、何を話せて、何を話せなかったのか──そして、生放送のスタジオで感じたことを、書き残しておこうと思います。


ご縁のはじまり──「ネットで活動を見つけていただいて」

そもそも、このご縁のきっかけは、2026年3月、FMわたらせの番組ご担当・梅澤様から、突然のメールをいただいたことから始まりました。「弊社の番組の中で、加須市でご活躍中の方をお招きしてお話を伺うコーナーがあり、クスノキ出版様にご出演をお願いしたく」──そんな丁寧なご連絡でした。

私の活動はまだ小さな規模で、こちらから売り込みをしていたわけでもありません。それなのに、ネット上の私の発信を見つけ出してくださり、こちらまで声をかけてくださった。本当に嬉しく、ありがたい出会いでした。

地方のコミュニティFMが、地元の小さな出版社のことを能動的に見つけて声をかけてくださる──これ自体が、地域メディアの温度を物語っていると思いました。


自己紹介で伝えた「43年」のこと

スタジオに入って最初にお話ししたのは、自己紹介でした。

「加須市で生まれて、現在まで43年間ずっと加須市に住んでいます」──そうお話しさせていただきました。

クスノキ出版を立ち上げて、加須市中央を起点に、小説『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』というシリーズを書いている。今は小説2冊と、A5判フルカラーの漫画版が出ている。そんな自己紹介を、短い時間に詰め込みました。

「43年」という数字を、わざわざ口にしたのには理由がありました。地元のラジオに招いていただく以上、リスナーの方々に「この人は加須をよく知っている人だ」と最初に伝えておきたかったのです。


モバゲー時代の「事務局注目作品」のこと

八木さんからは、執筆を始めたきっかけについて尋ねていただきました。

「執筆したいなと思ったのは、もう17年くらい前ですかね」──そう、お話を始めました。

スマートフォンが世に出始めたばかりの時代、当時の「モバゲー」で、小説を書いていたことがあります。古代文明や異世界をテーマにした、私自身がワクワクできる「遠くのファンタジー世界」の物語でした。ありがたいことに、当時の運営から 事務局注目作品 に選んでいただいたこともあって、コメントもたくさんいただきました。書くことが楽しかった、その記憶は今でも残っています。

このあたりの背景は、以前にnoteで「ひとり出版の生存戦略 #01:元・モバゲー作家の私が、流通の壁を越えて地元の図書館へ本を届けた話。」という記事にも書いておりますので、よろしければ。

そこから、しばらく書くことから離れていました。サラリーマンとしての本業に集中する時期があり、地域の事業を立ち上げ、加須の街と少しずつ深く関わっていくうちに、書きたい場所が変わっていきました。

42歳になって、また筆を執ろうと思ったとき、最初に書きたいと思ったのは「遠い異世界」ではなく、「埼玉県加須市」という、自分の故郷でした。今のクスノキ出版でのシリーズは、その地続きにあります。


「なぜ加須を舞台に?」という、いちばん大事な問い

番組のなかほどで、八木さんから「なぜ加須を舞台にしようと思われたんですか?」と問いかけていただきました。

これは、私にとっていちばん答えたかった問いでした。少し丁寧に、ゆっくり言葉を選びました。

「加須に住んでいる方々の足元には、まだ気づいていない宝がたくさんあると思っています。加須市を良くしていきたい人も、今のままの加須市が好きな人も、みんなで街の魅力を発掘するきっかけにしたい」

そう、お話しさせていただきました。

私が「これがおすすめですよ」と書くのではなくて、読んでくださった方が、自分の街について考える時間を作っていただく。そういう作品にしたい、という気持ちもお伝えしました。

私はずっと、サラリーマンとして20年以上働いてきました。その20年のあいだ、私は地元の加須を「通り過ぎる風景」として見ていました。住んでいるのに、ちゃんと見ていなかったのです。

4年くらい前から地域の事業を立ち上げて、地元の方々と直接お話する機会が増えてはじめて、加須の街には「人と人とのドラマ」がいくつも眠っていることに気づきました。地元の老舗書店の店主の方、ご近所の方、図書館の司書さん、駅前で店を構える方々──一人一人が、加須という街の一部を支えています。

加須駅前が寂しくなってきた、とよく言われます。でも、私は今の加須も含めて大好きで、寂しくなってきた街の中にも、人と人のあいだに小さな物語は生まれ続けている。それを、子どもたちが楽しめるご当地ミステリーという形で書き残したい。番組では、そう、お話ししました。


「どういう環境であっても、人と人とのドラマは生まれる」

番組の中盤、八木さんから「お仕事もされているなかで、どんな感じでこの作品を作り出したんですか?」と問いかけていただきました。

私は、こうお返事しました。

「どういう環境であっても、人と人とのドラマは生まれる──それを少年探偵という作品を通して伝えたいなと思っています」

これは、私自身が4年前からの地域事業を通じて学んだことでもあります。地方の小さな街で、少子高齢化が進んでいる地域でも、人と人が出会えば、そこには必ず物語が生まれる。私が書きたいのは、その「生まれる瞬間」のことなのかもしれません。


取り扱い書店と、図書館予約待ちのこと

「ちなみに、どこで買えるんですか?」と八木さんからご質問いただきました。

加須駅前のブックセンター・やまとさん、それからカサモ関口商店さん、両方とも取り扱っていただいております。それから加須市立図書館の全4館ですね」──そうお答えしました。

そのとき、つい「ちょっと、予約待ちの状態でして、借りるのも大変な感じになっています」と、図書館の現場の今の様子もお伝えしました。地元の図書館で、シリーズが少しずつ読まれていることが、私には何よりの励みになっています。


全10巻構想と、第3巻のこと

番組の中で、全10巻構想という話も少しさせていただきました。3か月周期で新しい巻を発行していく計画です。

2026年6月には、シリーズ第3巻『黄金のイチョウと幻の武者』を刊行予定です。第3巻の舞台は、加須市の騎西エリア──樹齢約500年を数える玉敷神社の大銀杏や、戦国時代の騎西城跡を、子どもたちが歩く物語になります。加須の歴史の重層性と、子どもたちが触れる現代の感覚とを、《幻》という鍵で結び合わせる、私自身も書きながらワクワクしている一冊です。


アニメ化への希望と、まずは10巻完結まで

番組の終盤、八木さんから「今後の展開として何かありますか?」と問いかけていただきました。

「個人的には、小説と漫画を作ったんですけれども、できれば今のデジタルの力を活用してアニメ化といったところもしていきたいなと思っています」──そう、希望をお話ししました。

「いきたいな」と希望のかたちでお話ししたのは、まずは10巻完結までを着実に書き継いでいくのが先決だと思っているからです。アニメ化は、その先にある夢の話。リスナーの方々にも、ご一緒に夢を見ていただけたら、というつもりでお伝えしました。


ラジオで話せなかったこと──「鯉のぼり」と「千方神社」のこと

10分という時間の中では、作品の具体的なモチーフについて、ゆっくり語る余裕がありませんでした。後から振り返って、「もう少し話せたらよかった」と思ったのは、シリーズの核心になっている2つのモチーフ──鯉のぼりと千方神社──についてです。

『少年探偵のデジタル・スケッチパッド 第1巻』には、加須のジャンボこいのぼりを長年作ってきた職人の方が、街に遺したある「線」が、物語の鍵として登場します。第2巻では、千方神社という、加須に長く伝わる神社が、物語の中心になります。どちらも、私がフィクションとして配置したものですが、その背景には加須の本物の歴史があります。

ラジオでは時間がなくてお話できなかった、これらのモチーフを、Note記事ではゆっくりお話していけたらと思っています。


「自分の街について考える時間を」──締めくくりに伝えたかったこと

番組の終わりに「リスナーの皆さんに一言」とお時間をいただきました。私は、こうお話ししました。

「加須のラジオでこういった地元の作品を紹介していただいて、本当に嬉しく思っております。ぜひ皆さん、書店、図書館、実物を手に取っていただいて、自分の街について考える時間を作っていただけたら最高でございます」

「自分の街について考える時間」──これは、私がこの作品を書きながら、ずっと意識していた一語でした。

ご当地ミステリーというジャンルの作品は、ともすれば「地元の名物紹介」になりがちです。でも私は、紹介本を書きたかったわけではありません。読者の方が、本を閉じた後に、ふと自分の街を歩いてみたくなる──その「歩いてみたくなる」瞬間を、物語の中に仕掛けておきたかったのです。

千方神社の境内の静けさ、加須はなさき水上公園のイチョウ並木、三県境(茨城・栃木・埼玉が交わる場所)に立った時の風、ジャンボこいのぼりが風を孕む音、加須うどんの湯気──これらは、加須に長く住む方なら、毎日のように見ている当たり前の風景です。でも、物語の中で「謎を解く手がかりの場所」として登場すると、その当たり前の風景が、少しだけ違って見えてきます。

その「少しだけ違って見える瞬間」を、リスナーの方々に、物語を通じてお届けしたかったのでした。


八木さんと、FMわたらせの皆さんへ

最後に、お時間をくださった八木愛介さんと、FMわたらせの皆さんに、改めてお礼を申し上げます。地元のコミュニティFMが、地元の小さな出版社の作品を取り上げてくださることの、ありがたさは、本当に言葉では言い尽くせません。

「次回も、また呼ばせていただきますね」と、収録の後におっしゃっていただきました。第3巻の刊行のあたりで、また加須ストリートのスタジオに、お邪魔できればと思っています。


このタペストリーを、明日、東京ビッグサイトへ


番組の収録時に使わせていただいたA2サイズのタペストリーを、明日2026年5月4日に開催される「文学フリマ東京42」(東京ビッグサイト南展示棟、F-04ブース)の机に飾らせていただこうと思っています。

タペストリーには、加須の鯉のぼりが舞う空と、シリーズの登場人物がそっと寄り添う一枚絵に、シリーズのキャッチコピー「描かれた《線》が、街の記憶を呼び覚ます。」が添えられています。

加須のラジオで生まれた一枚が、東京の文フリの会場でも、本を手に取ってくださる方々の目に触れる──そんな小さな旅を、明日のブースに連れて行こうと思います。


加須のラジオから、加須の物語が、少しずつ広がっていきますように。



📚 マガジン「ひとり出版の生存戦略」

加須市のひとり出版社・クスノキ出版が、地元の本屋・図書館・コミュニティFM・読者の皆様と少しずつ繋がりながら、シリーズを育てていく過程を書き残しています。よろしければシリーズ全記事もどうぞ。

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【クスノキ出版】

「物語を、加須から世界へ。」

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