短歌が浮かばないので日記を書きます
短歌が作れない。これはもしやスランプというやつなのか。スランプ。なんだかアーティストっぽい。かっこいい。スランプ。うん。たぶんスランプだ。そういうことにしておこう。
5月13日でnoteを始めてちょうど1年になる。ほぼ毎日投稿してきた。ほぼ短歌。ほぼ恋愛短歌。じぶんは恋愛体質ではないとずっと思ってきた。なのに短歌を読み返すと、ずーーっとキュンキュンしてる人だ。脳ミソがピンク色しているみたいで、なんとも可笑しい。
過去から現在に至る小さなときめき、思慕、妄想、願望を何倍にも膨らませて短歌にしている。24時間365日キュンキュンしているわけではないことを、ここに記しておきたい。そしてキュンがもはや死語だとわかっていることも、つけ加えておく。
☕️
今のわたしの暮らしのメインはやはり仕事だろう。新しくやって来た上司が俺様系男子なので、従業員はみな困惑している。ちなみにわたしよりかなり年下だ。年下男子だ。
昨日は朝当番だった。新上司とふたりで開店前の店内清掃をしていると、唐突に「○○さん、株に詳しいですか」と聞かれた。いきなりなに。株?あの株?投資とかの、株?
「いえ、全く詳しくないです。どうしてですか」。沈黙は苦痛なので、聞かなくてもいいのに、つい聞いてしまう。もらった株の売り時などを知りたいという。なに?もらった株ってなに?何株もってるの?
だめだめ、聞いちゃダメ。首をつっこんではいけない。わたしAが全力で羽交い絞めにしてくる。でもでも。無言で掃除するのも気まずいから聞いちゃえ。わたしBがどんっと背中を押す。結局、Bが聞いてしまった。珍しく彼はたくさん話してくれた。
「株に詳しい人、知りませんか」。はい、来た。聞かれた。すぐに脳裏に浮かぶ人がいた。知ってますけどぉ、とうっかりほのめかしてしまうが、「紹介してほしい」などと言われたらややこしいので、ぬるっとごまかす。
わたしは掃き掃除。彼は拭き掃除。話はそこでぷっつりと途切れ、それぞれ黙って手を動かす。気まずい。空気が足りない。窓を開ける。雨の匂いがふんわり流れこんでくる。
「蒸し暑いなぁー。もうすぐ降るのかな」。
独り言みたいに呟いてみる。
「昼から降るみたいですよ」。
聞いてないだろうと思ったのに聞いてた。彼も苦しかったのかな。さっきまで着ていた黒ジャケットを脱いで、椅子にかけている。白いTシャツに生まれ変わった彼は、テキパキとテーブルを拭いていた。
最初こそ彼に反発する人も多かった。会社からそのことで注意されたと聞く。そのおかげか、物腰がほんのすこし柔らかくなった気もする。これまでわたしになど一片の関心も示さなかった。それなのに、わざわざ株の話をしてきたのは、彼なりの歩みよりなのかも。
しばらくおいて彼が言った。
「その、株に詳しい人、紹介してくださいよ」
む。やはり抜け目がない。
「あー、たぶんそれは
難しいと思いますよー」
答えにならない答えを明るく返す。ごめんね。いやです。わたしはいじわるなのだよ。
彼の言った通り、お昼から雨が降った。
渇いた心を溶かすような
とろとろとしたやさしい雨だった。
春も終わりに近い。
【今日の短歌】消しゴムで消したいような今日の日も白Tシャツで生まれ変われる
いつも読んでくださり
ありがとうございます
