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ぼくらのバリケード戦争 〜脇田おじさんとギアッチョの思い出〜

水曜日のダウンタウンの「ぼくらのバリケード戦争」を観た。

この企画は、2チームに分かれてそれぞれの陣地を好きなようにバリケードを作って守り、最終的に早く相手のバリケードを突破して相手の陣地の旗を奪取した方が勝利、というルールだ。
舞台は本物の廃墟(許可済み)なので、作るのも壊すのもマジで何でもアリだし、予算も与えられるので知識と技術があれば本格的な仕掛けを作ることも出来る。ルール設定や環境作りの手が込んでいて、その辺の塩梅が毎度この番組は素晴らしいと思う。

企画意図としては、旗取りという子供の遊びを大人の頭脳・体力・お金をフルに使ってやってみたらどうなるか、またその中の工程で見られる人間模様を副次的に楽しむ、といったところだろう。
しかし、今回は出演者の一人の印象が強烈すぎて、メインとなるべきバリケード戦争の勝敗に関しては、ほとんどどうでもよくなってしまった。端的に言えばはっしーはっぴーとみなみかわのバトルで終始していた。はっしーはっぴーは普段から自分で改造した軽トラに住んでいて、DIYの実力者としてチームを主導する役を買って出たのは良かった。ただ皆の合意で決めた物を予算からハミ出るから買わないことを勝手に決めたり、弁当を一人分少なく買ってくる・窓際の作業を進めた後に鍵を閉めてなかったなどの凡ミスを頻発した。にも関わらず、全く自分の非を認めず、謝ろうとしないので、「何だコイツ」という空気が充満し、代表してみなみかわが叱ろうとするのだが、はっしーはっぴーの方は反省する素振りも見せずむしろ不機嫌になっていく。
みなみかわからすれば、はっしーはっぴーが怒るのは道理が通らないのだが、昨今のコンプラ強化で下手をするとハラスメントになり得る風潮により、みなみかわは強く出られない。仕方なく粘り強くはっしーはっぴーの良くないところを丁寧に指摘するのだが、はっしーはっぴーはサクサク流して話を終わらせようとして、決して謝らない。
切れたらあかんのは分かってるけど、誰かが切れるべきよなぁ⁉︎と、話の通じない若者に手をこまねく上司コントの形に落とし込む、みなみかわの手腕は素晴らしかった。

この数日前に放送されていたあちこちオードリーでさらば青春の光の東ブクロが出ていた。
東ブクロは番組に出る時にはネットニュースになるような“お土産”を用意していくし、“お土産”が尽きないようにお見送り芸人しんいちと話し合って積極的にコンパを組んでいるらしい。最近の番組はTVerの再生回数が何よりも重要視されてて、番組の内容がネットニュースになることが再生回数が回る条件の一つとなる。そして、東ブクロはネットニュースになるラインを見極めるのが得意で、自分が好きな番組には“お土産”を持っていくのだという。また、しんいちとは共演することも多く、お互いの暴露話をすることで番組を盛り上げることを手法としていたのだが、ある時それをやり過ぎて、嘘のエピソードで暴露のフリをし始めてしまったので、ちゃんとしたエピソードを作れるよう、定期的にコンパを組んでいるのだそうだ。東ブクロ自身、年も重ねて正直、そういった欲望は無くなってきてるのだが、“お土産”のために頑張って女性を持ち帰っているのだという。

露悪的な部分を売りにしてる芸人は相当に客観的に世の中を見つめてるんだなと思った。しょうもない需要に応え続けることで自身に独自の価値を持たせている。
本来なら面白い内容だからネットニュースになるのであり、番組の面白さが先にあって番組の面白さとネットニュースに相関関係はないのだから、ネットニュースになることを目指すことはその時点で捻れている。この捩れが正当化されるのは、この社会が資本主義でお金になるからだ。東ブクロは自覚的にその構造に乗っかっている。
その証拠に、オードリー若林がそういった嗅覚(=何がネットニュースになるか分からない)を持ってないことを相談すると、若林さんはそういうことをしなくて良いと断じている。自分の面白さを真っ当に評価されることで勝負できている人はやる必要がないと判っているのだ。

ナダルやクロちゃんもその辺りは自覚的だと思う。この2人は監禁されたら面白い2トップだが、そもそも監禁がエンタメとして成立すること自体イカれている。監禁される対象が視聴者に可哀想と思われると企画自体が炎上して問題になるが、ナダルやクロちゃんの場合は監禁されても仕方ないと思える稀有な存在である。本人たちからすればたまったもんじゃないだろうが、そうされるように誘導しているような節もあるし、そもそも資質としてクソ野郎な部分もあるだろう。そこら辺の境目を見えなくしている芸と言えるし、社会の捩れ構造を下衆いエンタメとして体現する芸とも言える。

はっしーはっぴーが今後、その辺に自覚的になれるかは分からない。今回、厄介な若者に迷惑を被ってるのに上手く注意できない年長者コントを体現していたのはみなみかわであって、はっしーはっぴーは触媒に過ぎなかった。はっしーはっぴーがコレを機にテレビで売れるには、害悪な振る舞いを意図的に仕掛けられる客観性が必要と思われる。まぁ本人がそっちの方にいきたいのかどうかってのもあるけど。あでしゃ。

でも、そんな、はっしーはっぴーのことなんてどうでもいい。注目すべきはシシガシラの脇田さんだ。今回は赤チーム:吉本芸人・青チーム:非吉本芸人で分かれていて、力持ちだったりチャレンジ企画系の芸人がキャスティングされていたが、青チームのDIY出来る枠がはっしーはっぴーとしたら赤チームはシシガシラの脇田さんだった。電動カッターや溶接の技術を遺憾なく発揮していた。脇田さんはやるべき時にやるべきことをキチンとこなせる漢で本当に格好良い。
私が脇田さんに注目し始めたのはくりぃむナンタラの「丸刈り芸人渋滞を考えよう」で生まれた「丸刈りホッケー」の時だ。丸刈りホッケーはアクリル板の上のボールを頭で弾いて相手陣地のゴールに叩き込むというシンプルなゲームだが、この時は頭で相手の頭を押さえ込むというダーティなパワープレイが頻発した。その中で脇田さんは無類の強さを誇り、この時の活躍ぶりはメッシやC・ロナウドに匹敵するものだった。この時から私は脇田さんのことをやる時はやる最高に格好良い漢と認識した。(だからこそ、その後、丸刈りホッケーだけを単独の企画としてやった時に、脇田さんを呼ばなかったくりぃむナンタラを許せない。ディフェンディングチャンピオンとして脇田さんを呼んで正式に統一王座を決めるべきだ)
そして今回のバリケード戦争でも、端々で脇田さんは期待以上の活躍を決めていた。そのあまりの格好良さに私は子供の頃に脇田さんが住んでいたら何でも出来る面白ハゲおじさんとして絶対懐いてた確信を得た。

我が家では、好感度がMAXまで高まると自分の幼い頃の登場人物として記憶に勝手に刻まれるシステムがある。
ドラゴンゲートというプロレス団体にギアニー・ヴァレッタという選手がいる。「マルタの力道山」という長身の怪人で、ギアニーが現れる時には警報から始まるテーマが流れ、鎖を振り回しながら会場を暴れ回り、敵味方関係なくブチのめす無類の強さを誇る。「あー!!!!」と奇声を上げながら頭を叩くのがお決まりのポーズで子供が見たらトラウマになる迫力である。
このギアニーが偶然ではあるが、私と同じ36歳なので、我が家の中では小さい頃幼馴染だった設定となっている。幼稚園の頃はベランダに出したビニールプールで水着代わりにブリーフ一丁になって一緒に入り、よく遊んでいた。ギアッチョはあの頃は小さくて、プールに長いこと入ると唇が紫になってしょっちゅう泣いていた。そんなギアッチョが今じゃあんなに大きくなって立派なレスラーになってると思うと感慨深いものがある。

それと同様に、脇田さんも私の小さい頃の近所に住んでいたおじさんだったことにこの度なった。
脇田さんはDIYが得意で、こういうモノが欲しいんだけど、と相談すると何でも作ってくれるし、その様子を近くで見てても怒らないので、脇田さんが作業してるのを横でじっと見てるのが私は好きだったのだった。ハゲをからかうと「何だよぉ〜」と困った声を出すが、優しいので怒りはしない。その塩梅がまた心地よくて、とても好きだった。このようにあまりに私が懐くので、母が真剣に脇田さんとの再婚を考えるほどだった。

このように私は崇拝に近いレベルで脇田さんのことを買っていたため、今回のバリケード戦争での脇田さんの活躍は素直に嬉しかった…。が、はっしーはっぴーのことが話題になり過ぎてお株を奪われてしまった感は否めない。だが、はっしーはっぴーが強烈だった故に脇田さんの影が薄れてしまったかと言われたらそうではない。犯人は別にいる。

その真犯人とは口笛なるおである。

口笛なるおは電気工事士の資格を持ってることもあって青チームのDIY出来る枠としてはっしーはっぴーと並んで2人でホームセンターの買い出しを任されていた。ホームセンターで先輩に相談の電話も入れず勝手に買う物を変更したり、はっしーはっぴーの奇行の予兆は既に始まっていて、なるおはしっかりとそれを認識していたのだから、この時点からツッコむことは出来たはずだ。
しかし企画の中盤以降、みなみかわの空質問発言でカメラに抜かれるぐらいで目立った活躍もなく、罵られるブタにすらなれず、口笛も吹かない只のなるおでしかなかった。

なるおが簡単にはっしーはっぴーに主導権を渡さず、DIY巧者としてブヒブヒ出しゃばっていれば、はっしーはっぴーばかりを映すことにならずに、もっと赤チームにもスポットが当たる展開になっていたはずだ。
振り返ると赤チームのことを映す時間は本当に短くて、その中でも脇田さんの獅子奮迅の活躍、レオパレス脇田、シシガシラの名の通り脇田さんの周りをライオンが闊歩している、守護霊獣はきっとライオンだし組み分け帽子を被ったら即グリフィンドールと叫ぶであろう、そのくらい脇田さんは活躍していた。
でも本来であれば、この10倍ぐらい活躍して、はっしーはっぴーでなく脇田さんが時の人となってもおかしくなかったはずだ。
全ての歯車が狂った原因は口笛なるおにある。本当にもう、わらふぢなるおはいつになったら売れるのだろうか。タフぶるなよ、まじで。


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