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コロナ禍の危機をチャンスに変えた社長の挑戦!社員の声から生まれた“一流のおせっかい”

九州を拠点に冠婚葬祭を展開する株式会社ラック(LAC)。その代表取締役社長を務めるのが松井秀二です。

松井がラックに入社したのは1979年。なんと40年以上もの間、ラックでキャリアを積み重ねてきたんです

そして、2019年12月には社長に就任し、「一流のおせっかいで、あなたの“とき’'を感動で満たす。」という企業理念を掲げて、積極的に会社の改革を進めています。

社長就任後まもなく経験したコロナ禍のピンチをチャンスに変えたエピソード、現場時代の経験をいかした経営改革とその想い、そして松井の社員の育成・成長にこだわる理由について話を聞きました。

松井 秀二(まつい しゅうじ)|代表取締役社長
福岡市博多区出身。1979年に株式会社ラックに営業職として入社。以来40年以上にわたり同社一筋で歩み、冠婚事業部課長、支配人、部長を経て、執行役員、取締役、常務取締役を経て、2019年12月に代表取締役社長に就任。趣味は、読書と映画鑑賞、妻と過ごす時間。

ラック一筋40年。コロナ禍のピンチも乗り越えた松井のキャリア

── 社長に就任するまでの経緯について教えてください。

大学を卒業してから40年以上にわたりラックで働いてきました。社長に就任するまでは、営業部からスタートし、その後結婚式場の担当、総務部の役員とさまざまな職務を経験しました。

振り返ると、20代・30代の頃から「ラックの社長になる!」と言っていましたね。それくらい、ラックが大好きで、誇りを持って働いていました。

だから前社長から「あとは君に頼む」と言われたときも、自然に引き受けることができました。社長になった今も、ラックへの想いはずっと変わりません

── 社長に就任してすぐにコロナ禍となりましたが、そのときの心境はどうでしたか?

正直、大変でした。社長に就任してまもなく結婚式の延期やキャンセルが相次ぎ、式の開催自体がゼロになるという状況に直面しました。

しかし、その状況が逆にチャンスにもなりました。「何か新しい事業をしないと」と考え抜いた期間でもあります。

そのときに取り組んだのが、ボトムアップ経営を体現する「Switch Projectで、不動産事業や飲食、介護といった新規事業を立ち上げるきっかけになったんです。

あの時は、「ピンチはチャンスだな」と実感しましたね。

事業を社員自らが考え、提案する「Switch Project」

── 2020年にトップダウンからボトムアップ型の経営に方針転換されましたね。その決断に至った背景を教えてください。

社員一人ひとりの意見を反映させることで、より柔軟で自由な社風を作りたかったんです。

私自身、営業や結婚式場といった現場でキャリアを積んできたので、現場の社員たちが感じている問題や改善点を聞くことが、経営には不可欠だと感じています。

しかしトップダウン型の経営では、どうしても受け身になりがちで社員側からの声があがりにくい……。だからこそ、まずは環境面から社員が主体的に動けるようにしようと考えたんです。

── その結果が、社員が自分の意見を出し合う「Switch Project」につながるんですね。

このプロジェクトでは、経営陣の想いを背負った社員10名が選抜されました。次世代のラックを担う中堅層を育成することも狙いとしてあります。

今もプロジェクトは継続していて、世代が少しずつ変わりながら進んでいます。社員が積極的に意見を出し、経営に携わる文化は着実に根付いてきていると感じています。

https://j-lac.com/switch-project

── 実際に「Switch Project」を始動して、社長が感じた変化を教えてください。

社員が自ら考え、主体的に動いてくれるようになっていると日々実感するようになりました。

具体的に言うと、新規事業のアイデアを募ったところ、140件もの提案が集まり、なかには試算表まで作成してきた方もいました。社員自らが事業を考え、提案できる環境が整ったことは、本当に素晴らしいことだと思います。

業績にもポジティブな変化が現れました。50億円だった売上がコロナ禍で37億円まで下がったのですが、ボトムアップ経営にシフトしてから翌年には46億、昨年は60億にまで達しました。

新たな事業への挑戦や社員全員の工夫と努力が実を結び、少しずつ成長を実感しています。

冠婚葬祭の文化を伝え守りたい。「一流のおせっかい」に込めた想い

── 企業理念である「一流のおせっかい」という言葉も「Switch Project」から生まれましたね。

まさにその通りです。プロジェクトメンバーがポストイットにアイデアを書き出し、整理しながらゼロから新しいものを作り上げる作業をしました。

その結果、出てきた言葉が「おせっかい」。もっとカッコいい横文字もあったかもしれません。でも私は、この言葉こそシンプルで分かりやすく、とても良いと思ったんです。

プロジェクトの様子

── 「一流」という言葉を加えた理由は何でしょうか?

ラックが目指すのは、ただのおせっかいじゃなくて、「プロフェッショナルなおせっかい」です。

日本の伝統的な儀式や文化を守っていきたいと感じている一方で、価値観が変わってきているというのも事実です。だからこそ、現代に合わせて伝えていくことが重要だと考えています。

例えば、結納や伝統的な儀式が不要と考える人もいるでしょう。そこでプロフェッショナルである私たちがその背景や意味を理解していただく努力をし、お客さまにご納得いただいたうえで継承していく。

「おせっかい」かもしれませんが、意味を知ったうえで冠婚葬祭を利用してもらいたい。そんな思いを込めた言葉が「一流のおせっかい」なんです。いい言葉が生まれたなと思っています......本当に。

── 「一流のおせっかい」を社員に浸透させるために、社長が意識したことを教えてください。

理念は、形があるだけでは意味がありません。だから、作ったあともブラッシュアップできる仕組みを意識して整えました。

取り組みとしては、「ラボ」というディスカッションの場を作り、毎月社員が集まって「この理念をどう実践に活かすか」を話し合っています。議論のなかには、部署ごとに「この部署はどう進んでいきたいか」って考える機会もあります。

そして「Switch Project」のメンバーはラボの運営サポートとして入り、理念をもっと実践的なものへ導いていく役割を果たします。

「社員にとって身近な存在でありたい」松井が社員との距離感を大事にする理由とは?

── 社長は、社員とのコミュニケーションを多く取っている印象です。

確かに比較的話す機会は多いですね。特に私が意識しているのは、自分をさらけ出すこと。仕事だけでなく「さっき女房と大喧嘩しちゃったよ」といったプライベートな話もして、社員に親しみを感じてもらえたらと思っています。

会社によって社長との距離感はさまざまですが、私は身近な存在でいたいんです。私も普通の人間ですからね(笑)。

──  一社員として、経営陣との距離が近いので意見も言いやすいと感じています。

そうですね。私は、社員満足度があってこそ、顧客満足度も上がると考えています。

社員に悩みがあったら、お客さまに良いサービスを提供できないですよね。だから、社員にとってのやりがいや楽しい瞬間を私自ら知ること、役職や部署の垣根なく社員同士のコミュニティがしっかりと築かれていることが、大事だと思っています。

祝賀会では社長と役員がゲームに参加する一コマも

具体的な例でいうと、決算賞与です。私が社長になる以前は決算賞与がなかったんですが、利益が出たら、それをしっかり社員に還元すべきだと思い、就任してからは毎年続けています。

やっぱり、社員が「この会社で頑張ろう」と思える環境を作ることが一番大切ですから。社員に喜んでもらえることこそ、私の喜びです。

人材教育に込めた想い「成長の機会を作る」

理念を体現するメンバーを表彰

──  人材教育で大切にしていることは何でしょうか?

私が社員に伝えている3つの大切なことがあります。

1つ目は「本質を捉える力」。知恵の「知」にも通じますが、学び続けることで物事の本質を見極める力を養ってほしいと考えています。

2つ目に「他者を感じる力」。相手の思考や想いを汲み取り、共感できる人になってほしいです。

そして3つ目は「先頭に立つ勇気」です。これは、1つ目と2つ目の力も必要になるので、すぐにマスターできるものではありません。最初は完璧でなくてもいいので、人生を通して少しずつ身につけていってほしいです。

これら3つを力を養う機会として、「Switch Project」や「ラボ」など、成長の機会を作るようにしています。社員にはこういう機会をうまく活用してもらって、どこに行っても通用する力を身につけ、成長していってほしいと考えています。

──  ラックならではの社内研修である「コーチング研修」もありますね。

20代の社員に対して毎月行っている研修です。この研修では、「目標を持って仕事に取り組む力」を養います。

例えば、毎月一冊本を読んでその感想を共有してもらったり、「今月は何に取り組むのか」といったテーマを設定して、論理的に考える習慣をつけてもらったりします。

実は20代に限らず、手を挙げた人は参加ができます。現場では得られないことを学び、物事の本質を捉える力をつけてほしいですね。

私自身も学んだことを最低でも5〜6人に話して、アウトプットすることで自分の知識としてものにしています。ちなみに、社員が紹介した書籍は私も読むようにしています。難しすぎる本は苦手ですが(笑)。

社員とともに成長し続け、「生きている会社」を目指す

──  現在の経営方針について教えてください。

「両利きの経営」という考え方を意識しています。

まず、本業である冠婚葬祭業を深掘りして、結婚式や葬儀、衣装などのサービスを充実させること。もう一つは、新規事業の開拓です。現在も介護事業や飲食事業、不動産事業など、さまざまな新しい事業に挑戦していますのでそちらも続けていきます。

しかし、一番注力しているのは葬儀事業ですね。ここは今後も注力していく予定です。

──  社長が描いているビジョンはありますか?

私が目指しているのは『生きている会社』です。つまり、常に挑戦し続ける組織ですね。組織は挑戦を止めたら成長できないので、社員一人ひとりの挑戦と成長が最も大切だと思っています。

「三流の経営者はお金を残し、二流は事業を起こし、一流は人を育てる」という言葉がありますが、まさに「人を育てる」という部分に特に力を入れたいと考えています。

──  どのような方にラックに来てほしいですか?

成長意欲があるかどうかが一番大事だと思います。人は年齢とともに変わっていくものなので、最初からスペックにこだわる必要はありません。

私の役割は、社員の“良いところを伸ばす”こと。その人がどう成長していくかが重要です。

それに、完璧な人ばかりだと、会社として面白くなくなりますよね(笑)。会社が成長するためには、挑戦する文化が欠かせないと感じています。だから、うちの社員には「成長し続ける人であってほしい」と常に思っています。


コロナ禍というピンチを社員の力でチャンスに変えた松井のラックへの愛情や社員一人ひとりへの想いが印象的なインタビューでした。また、「成長意欲があれば年齢や経験は関係ない」と松井が語るように、ラックはチャレンジする人を応援しています。

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