「叱らない教育」がうまくいかない本当の理由
「叱らない教育が大事」 そんな言葉が広く知られるようになりました。
けれど教室に通ってくれている保護者からは、
叱らないようにしているのに、うまくいかない
という声も少なくありません。
今日は、1,000人以上の子どもと向き合ってきた立場から、
「叱らない教育」がうまくいかない本当の理由を、
お話します。
叱らない=何も言わない、になっていないか
一番多い誤解は、
叱らない=何も言わない
という状態です。
危ないことをしても止めない。 ルールを破っても曖昧に流す。
これは「叱らない教育」ではなく、 境界がない状態です。
子どもは自由になると安心するのではなく、
「どこまでなら大丈夫なのか分からない」
ことで不安になります。
子どもは境界があると落ち着く
現場に長くいると、はっきり分かることがあります。
子どもは、
何がダメかが明確
大人の対応が一貫している
注意の基準が変わらない
この状態だと、驚くほど落ち着きます。
逆に、
昨日は注意されたのに今日はされない
親の機嫌でOKとNGが変わる
「今日は疲れてるからいいや」が続く
こうした環境では、 子どもは無意識に試す行動を増やします。
それは反抗でも甘えでもなく、
「ここまでは大丈夫?」を確認する行動です。
境界が曖昧なほど、 子どもは不安になり、行動が荒れやすくなります。
叱らない教育がうまくいかない理由
うまくいかない家庭には、 ある共通点があります。
それは、
叱らないことに、親が神経を使いすぎている
という状態です。
これを言ったら傷つくかも
強く聞こえたらどうしよう
自己肯定感が下がらないか
そんな不安を抱えたまま声をかけると、 どうしても言葉は曖昧になります。
すると子どもは、
「本気で止めているわけではなさそう」
と感じ取り、行動を変えません。
子どもは、 言葉の正しさよりも、 大人の本気度や覚悟を見ています。
小さなエピソード
教室ですぐにふざけてしまう低学年の男の子に、
「それはダメ。ここで一度止まろう」
とはっきり伝えたことがあります。
それまでその子は、 周りの様子をうかがいながら、 わざと注意されそうな行動を繰り返していました。
一度は泣いてしまいましたが、落ち着いたあと、
「先生、本気だった?」
と聞いてきました。
「危ないと思ったからだよ」
そう答えると、
「じゃあ次はどうしたらいい?」
と前を向いてくれました。
その日以降、 同じような試し行動は少しずつ減っていきました。
後から振り返ると、 叱られたことよりも、 止めてもらえたこと自体が安心だったのだと思います。
境界が示されたことで、 気持ちが落ち着いた瞬間でした。
大事なのは「叱らない」より「安心」
本当に必要なのは、 叱らないことではありません。
ダメなことは止めてくれる
失敗しても見捨てない
感情ではなく行動を見る
こうした一貫した関わりが、 子どもの安心になります。
おわりに
叱らない教育そのものが 悪いわけではありません。
ただ、
叱らない=放っておく
優しい=何も言わない
になると、うまくいきません。
子どもが迷ったときに、 立ち止まらせてくれる大人がいること。
それは縛ることではなく、 守ることです😊
