カレーパン革命2
『カレーパンの革命』 2
第三の壁:現実の大きさ
町の新聞に取り上げられた数日後、「パン工房さくら」にはテレビ局からの取材申し込みが舞い込んだ。
「地方のパン屋がカレーパンで世界遺産を目指す」という奇抜なテーマに、制作スタッフは興味津々だった。
「京子ちゃん、やるわよ!」「やったー!」
佐藤店長も巻き込み、店は臨戦態勢に入った。京子は特製のカレーパンTシャツを自作し、ミホは最高の生地を仕込んだ。タケシは店内のPOPや紹介動画を編集し、前夜は徹夜で仕上げた。
当日、リポーターの女性が京子にマイクを向けて尋ねた。
「あなたにとって、カレーパンとは何ですか?」
「えっ……それは……」
あれだけ語っていたはずなのに、急に言葉が詰まった。カメラ、照明、リポーターの白い歯。現実が、夢を飲み込もうとしていた。
「私は……カレーパンで、世界を笑顔にしたいんです」
それでも、絞り出すように答えた。
「この小さなパンに、夢も情熱も、日本の職人魂も、ぜんぶ詰まってるんです」
リポーターが微笑んだ。「素敵な夢ですね。でも、世界遺産って、かなりハードルが高いですよ?」
「……分かってます。でも、笑われたっていい。私たち、本気なんです!」
その言葉に、撮影スタッフも思わず拍手を送った。
しかし――翌日。テレビ放送の反響は賛否両論だった。
「面白い!応援したい!」という声と同時に、
「なんか、痛いだけ」「世界遺産?無理無理」といった批判もSNSに溢れた。
京子は泣いた。
「私、やっぱり変なことしてるのかな……」
第四の出会い:スパイスの魔術師
そんなとき、一通の手紙が届いた。封筒の差出人は、東京・下北沢のカレー専門店「スパイス王国」の店主・アナンダ。
「テレビを拝見しました。あなたの情熱に感動しました。一度、うちのスパイス工房に来ませんか?カレーパンを世界に届けるには、まず“世界の舌”を知ることが大切です。」
「スパイスの…プロが、私に会いたいって?」
京子の目に、再び光が宿った。
数日後、京子・タケシ・ミホの三人は下北沢に降り立ち、「スパイス王国」の扉を開けた。
店内は異国の香りに満ち、棚には見たことのないスパイスがずらりと並んでいた。
アナンダはヒゲをたくわえた中年の男性で、瞳はスパイスのように熱かった。
「君のカレーパン、まだ“世界の味”にはなっていない。でも、ポテンシャルはある」
アナンダはインド、タイ、モロッコなど世界各地のカレーパンを食べ歩き、究極のブレンドを編み出した「スパイスの魔術師」だった。
「君のカレーパンに、私のスパイスの知識を貸そう。条件は一つ、魂を込めて焼くことだ」
京子は深くうなずいた。「もちろんです。私、ぜったいに…世界に届けます!」
第五の進化:世界の舌に挑む
その後、京子たちは店に戻ると新たな開発に取りかかった。アナンダ直伝のブレンドスパイスを使った「ワールドミックスカレーパン」は、辛さの奥に旨味が広がり、後味はスーッと爽やか。まるでスパイスの旅をしているような味わいだった。
さらに、世界各国の味覚に対応したラインナップを考案。
• インド向け:「マサラ・チャイ風味カレーパン」
• フランス向け:「トリュフ香るカレーパン」
• アメリカ向け:「BBQチーズカレーパン」
「これはもう、パンというより外交だね」とタケシが冗談を言うと、ミホも「食文化大使、京子」とニヤリと笑った。
やがて、外国人観光客も「パン工房さくら」を訪れるようになり、京子は英語とジェスチャーで熱弁をふるった。
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ついに彼女は国連に、いや「ユネスコ」への申請資料を手にする日が来るのか…!?
→ 続く!
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