カレーパン革命3
『カレーパンの革命』
第六の挑戦:ユネスコ、そして宇宙へ
数ヶ月後──。
ついに京子たちは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)への「無形文化遺産申請」に踏み出した。
正確には、ユネスコの「創造都市ネットワーク」の“食文化部門”へのエントリー。これが、「カレーパン世界遺産化計画」の最初の公式ステップだった。
申請書類には、こう記された。
名称:カレーパン(Japanese Curry Bread)
文化的価値:東西の食文化の融合、庶民の創造力、そしてスパイスによる平和への架け橋
特徴:多様なスパイスの共存、揚げたての幸福感、日本独自のパン文化の象徴
推進団体:パン工房さくら カレーパン普及委員会
「……いける。これは、いける気がする!」
京子は申請ボタンをクリックし、机に突っ伏して涙をこぼした。
しかし、待っていたのは“文化の壁”だった。
ある日、ユネスコから一次審査結果の通知が届いた。
「興味深い提案ですが、文化的普遍性が弱く、対象地域が限定的であるため、今回は採択を見送ります」
――不採用。
「やっぱり……パンひとつで、世界は変えられないのかな」
そう言って項垂れた京子に、ミホがぽつりと呟いた。
「世界がダメなら、宇宙は?」
「え?」京子が顔を上げた。
「つまり、“地球代表のカレーパン”を目指すの。宇宙食に認定されれば、世界遺産以上の衝撃になる」
そこから、カレーパンの次なる挑戦「宇宙進出計画」が始まった。
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第七の展開:宇宙を目指すカレーパン
タケシは即座にJAXA(宇宙航空研究開発機構)への申請条件を調べ上げた。
• 長期保存可能
• 栄養バランスがよい
• 微小重力でも形が崩れない
• 強烈な匂いや油がNG
「こりゃ無理だろ……」と最初は誰もが思った。が、ミホが立ち上がる。
「じゃあ、作るしかない。“宇宙仕様”のカレーパンを」
ミホは試行錯誤の末、揚げるのではなく「真空低温調理」と「フリーズドライ製法」を組み合わせた画期的なパンを開発。
外はサクサク、中はしっとりスパイシーな風味を保ちながら、なんと常温で半年持つという。
試作品を持ってJAXAの開発協力プログラムに提出すると、予想外の返答が来た。
「現在、国際宇宙ステーションの和食メニュー拡充を検討中。日本文化の象徴として“カレーパン”を検証対象に選定します」
京子は立ち上がった。
「宇宙に、私たちのカレーパンが行く……!」
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第八章:宇宙の窓から、カレーパン
2027年春。
ISS(国際宇宙ステーション)からの映像配信に、日本中が注目した。
画面には、無重力の中でパウチを開け、カレーパンを口に運ぶ日本人宇宙飛行士の姿が映った。
「うーん……おおっ、これ、うまっ!」「まさか宇宙でこんなスパイス感じられるなんて!」
SNSは一気に拡散。「#宇宙カレーパン」「#日本から宇宙へ」「#パン工房さくら」が世界トレンドに。
京子はその画面を見つめながら、つぶやいた。
「……文化って、誰かに認めてもらうことじゃなくて、届けることだったんだね」
佐藤店長は、目を細めて言った。
「お前、本当にやりやがったな。パン屋の店員が、宇宙にパン飛ばすなんて、前代未聞だ」
「ふふん、“ただのパン屋”じゃないですから!」
⸻
エピローグ:地球とスパイスと、笑顔
パン工房さくらは今や、世界中からファンが訪れる聖地となった。
インドから来た青年が語った。
「このパン、僕の故郷の香りがする。だけど、新しい。きっと、これが“地球の味”なんだね」
京子は今日も言う。
「カレーパンは、パンじゃない。文化だ。そして……」
「宇宙だっ!!!」
彼女の叫びに、通行人たちはこう返すようになった。
「今日も元気だな、宇宙パン娘!」
こうして、京子の革命は、宇宙(そら)まで届いたのだった。
― 完 ―
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