息子のドッペルゲンガー
赤信号で車を停めてると思うんですが、
みんな右も左も見ずにわたってゆくのは、
青信号を、信用しすぎじゃないですか?
いつ何時暴走車が突っ込んでくるとも、
わかりませんよ。
と。
私は信号をわたるとき、まず右の車の方に顔を向け
「行きますよ。私、渡りますからね!」
と、念を送りながら渡り始める。
中ほどまで来たら、左を向き
「行きますよ。私、渡っていますからね!」
と、やる。
はいはい。わかったから、とっとと渡りなさい。
というお顔かしら?と、思うこともあるが、ぐっと睨見つけるように横断歩道を渡っていく。
うちの近くには高校があり、高校生がよく横断歩道を渡って行くのだが、私のようにしている子は見かけない。
青になったら、前だけを向いて歩いていく。
危ないですよ。
と、念を送る。
うるさいおばさんである。
ある日、家にいた息子にこの話をして、信号を渡るときは、右左を睨みつけながら渡りなさい。
と、言った。
すると、息子は
「母さん、俺の通学路に信号はひとつもねぇ」
と、言った。
うちの近くには高校がある。
息子はそこに通っている。
うちを出て、左に進み、突き当たったらまた左に曲がる。高校に着く。
確かに、信号はひとつもない。
入学式のときに計ったら3分で着いたけど、学校の通学状況報告書には徒歩5分と書いた。なんとなく。
あるとき、会社帰り車を運転しているとバス停に向かう息子を見かけた。
でも、そこは自宅から徒歩20分くらいかかる場所でここに行くには信号が3つくらいある。
彼の通学路に信号はない。
こんなところで何しているんだろうと思いつつ家へ帰った。
「ただいまー」と、家に入ると、
「おかえりー」と、パンツ一丁の息子がいた。
なぜ?
いろいろと、なぜ?
「あれ?あっちのバス停で君を見たけど、あれ?違う子だったのかなぁ?」
と、私が戸惑っていると、息子が
「あー、なんかオレに似てる人が同じ学校にいるらしいんだよねぇ」
と、言った。
学校でも、友達に「あれ?今おまえあそこにいなかった?」と、言われるらしい。
名前もわからなければ、本人は見かけたこともないらしい。
ドッペルゲンガーみたいだ。
ある時、息子が怒りながら帰ってきた。
「友達に、おまえタバコ吸ってなかった?って言われた!オレじゃねーし!」と、怒っている。
どうやら、ドッペルゲンガーくんがバス停までの道のりでタバコを吸っていたらしい。
制服で、通学路を、浅はかなドッペルゲンガーくん。お頭が悪いのですね。
このように、ドッペルゲンガーくんは出たり消えたりを度々繰り返していた。
ある日、近所のスーパーでカートを押して歩いていると向かいから息子が歩いてくるのが見えた。
あらあら、こんなところで何をしているのかしら?
君の通学路に信号はひとつもないのに。
と、ニヤニヤと近づく。
50m…30m…と近づき、すれ違う直前、
上半身だけを横にギュンッとそらし彼の顔を覗きこむ。
君、こんなところで何をしているんですか?
と、思念を込めた真顔で、彼を見た。
息子じゃなかった。
はじめまして、ドッペルゲンガーくん。
と、早口の思念を送り、ギュンと上半身を戻す。
何事もなかったかのようにカートを押し、その場を離れた。
背中に視線を感じる気もするが振り返ることはしなかった。
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どうでしょう?いくつになってもさん!
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私ごとではありますが、娘のインフルエンザ休職期間が日曜で明けます。
投稿が減るとは思いますが、生きております。
日々、勘違いとともに生きております。
どうか、お気になさらず。
文具。
#みんなで広げよう笑顔の輪
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