ボブ③ 1/26 墓前に誓う「一生の愛」――止まっていた時間が、今動き出す。
「親父、お袋。……俺、やっと見つけたよ」
三連休の初日。抜けるような青空は、皮肉なほどあの日を思い出させた。
ボブを乗せた車🚗は駅を経由し、恩人である救急隊員の江藤夫妻を迎え入れ、静かに墓地へと滑り込んだ。
墓前に着くと、そこには既に見慣れた顔ぶれが揃っていた。ライク、エル、果音、洋太。
池堂貴美子が歩み寄ると、四人は弾けるような若さで迎えてくれた。
貴美子:「あら、みなさん。おはようございます」
ライク・エル・果音・洋太:「おはようございます!」
元気な声が、墓地の静寂を心地よく揺らす。
貴美子:「えっと……保武くんはまだなの?」
果音:「私の両親と一緒に、救急隊の江藤さん夫婦を迎えに行ってから来るそうです。あ、それと。……今日、一番大切な人も一緒ですよ」
果音が茶目っ気たっぷりに微笑むと、他の三人も一斉ににっこりと頷いた。
貴美子はその視線の意味を瞬時に悟る。
貴美子:「それは……直接、本人に紹介してもらうわね。あら、皆さんさん、たった一年でさらに美人が加速してません?(笑)」
果音:「いえ!笑、私なんかそんな。」
洋太 : (お世辞に決まってるだろ!おめでたいヤツめ!)
貴美子 : 「順調に愛を育んでる証拠ね」
果音:「実はこの二人、結婚したんです!赤ちゃんも!」
貴美子:「まあ!ダブルでおめでとう!」
ライク・エル:「ありがとうございます!」
並んで深く頭を下げる二人の姿に、墓前が多幸感に包まれる。
その時、果音が遠くを指差した。
果音:「あっ、来た来た!」
車から降りてきたボブの傍らには、一人の女性が寄り添っていた。
ボブ:「おばさん、おはようございます。遠いところありがとうございます……。紹介します。俺の彼女、千寿亜夢ちゃん。それと、救急隊員の江藤さん夫婦です。詳しい話は後でゆっくり。まずは、お参りしましょう」🙏
線香の香りが立ち上る。ボブは瞳を閉じ、冷たい石碑の向こう側にいる両親へ、魂を込めて語りかけた。🙏
(親父、お袋。……よく見てくれよ。俺の、一番大切な人だ。千寿亜夢ちゃん。果音に繋いでもらった縁なんだけどさ……。
俺、決めたんだ。一生、この人を愛するって。どうか、呆れずに見守っててくれよ)
その隣で、亜夢ちゃんもまた、祈りを捧げていた。
(おはようございます、亜夢です。保武さんの恋人になれたこと、そしてこんなに温かな仲間に入れてもらえたこと。全部、保武さんの人柄のおかげです。
今日は私が鍋を作ります。お二人にも、みなさんにも、食べてもらいたいです)
家に戻り、仏壇を拝み終えた一行。リビングに移動する際、最後尾の二人が手にしたものに、仲間たちは息を呑んだ。
ボブが父親の、亜夢ちゃんが母親の遺影を、まるで生きている家族のように大切に抱えてきたからだ。
ボブ:「……二人も一緒に、楽しみたいみたいで(笑)」
果音の父:「そうだな! やす、ここが一番いい席だぞ」
果音の父が出窓の特等席を指差す。
遺影を並べたボブと亜夢が、ふっと視線を交わして微笑み合った。
果音:「……ちょっと、また濃厚なアイコンタクト! どんだけラブラブなのよ!」
ボブ:「何だよ! 俺はただ……」
一同:「あはははは!」
洋太:「散々俺たちをバカップルってからかってたくせに。今じゃこの二人が、断トツで『ラブラブ世界一』だな」
果音:「仕方ないわよ、付き合ってまだ二ヶ月。一番甘い時期なんだから! ヒューヒュー!」
ボブ:「……ヒューヒュー言うな!」
照れ隠しに声を荒らげるボブの横で、亜夢ちゃんはただ、幸せそうに頬を染めていた。
お読みいただきありがとうございました。次話はこちら👇
ボブ③ 2/26 7年前から繋がっていた真実
