ボブ③ 2/26 7年前から繋がっていた真実
止まっていたボブの時間が、運命の糸に導かれ、今再び静かに動き出す。
池堂家のリビングでは、貴美子と江藤夫妻が丁寧にお辞儀を交わしていた。
貴美子:「初めまして、池堂貴美子と申します。お越しいただき、ありがとうございます」
隊長(江藤):「江藤です。先日のタコパ🐙が本当に楽しくて、またのこのことお邪魔してしまいました(笑)」
ボブ:「おばさん、改めて紹介するよ。俺の彼女の、千寿亜夢ちゃん」
亜夢:「千寿亜夢です。宜しくお願いします」
貴美子:「池堂貴美子です。こちらこそ宜しくね。本当に可愛らしいお嬢さんだわ」
亜夢ちゃんが照れて手を振る横で、ボブはどこか誇らしげに「はい、まあ」と小さく笑った。
貴美子:「でも保武くん、救急車🚑のお世話になったなんて、一体どういうことなの?」
果音:「私が説明します! 分かりやすく、かつ劇的に!(笑)」
果音の宣言に、リビングに笑いが広がる。
果音はBBQでの一幕を、身振り手振りで面白おかしく再現してみせた。ボブが亜夢ちゃんを身体を張って守った様子や、隊長の無自覚なアシスト……。
貴美子:「……なるほど。隊長さんが、保武くんの背中を上手く押してくれたのね」
隊長:「いやぁ、そんな立派なもんじゃありません。ただの鈍感だと、部下にも女房にもたしなめられまして(笑)」
どっと沸くリビング。だが、果音がふっと真面目な顔になり、声を落とした。
果音:「……でも、隊長さんは『今』だけの人じゃなかったんです」
一瞬、部屋の空気が張り詰めた。
果音:「隊長さんは……7年前、ボブのご両親の事故の時、真っ先に駆けつけてくれた隊員さんだったんです」
貴美子が息を呑む。「えっ……それじゃ……」
隊長:「……はい。7年前の今日、この家のすぐ近くの現場へ、私が行きました。資料も確認しましたが、間違いありません。池堂保さんと美和さん……お二人でした」
運命なんて言葉では足りないほどの奇遇。貴美子の瞳に、うっすらと涙が浮かぶ。
洋太:「……親父さんたちが、やすを頼みますって呼んだのかもな」
隊長:「いや、私なんかに頼むはずがありません。ボブ君は立派に、一人で前を向いていますから」
果音:「きっと『キューピット』を頼んだんですよ! ボブって人間としては申し分ないけど、恋愛に関しては……相当なポンコツですから(笑)」
ボブ:「おい! まだ言うか!」
笑いが弾け、重たくなりかけた空気が再び温かく色づく。
ボブが冷凍庫からたこ焼きを出し、亜夢はエプロンを締めて「今日のメイン」の準備に取り掛かった。
その賑やかな喧騒から少し離れたところで、隊長夫妻と貴美子が静かに言葉を交わす。
貴美子:「……池堂家は、もう私と保武くんしかおりません。いつか、血が途絶えてしまうのではと、不安になることもありました」
隊長:「池堂さん、あの二人を見てください。まだ二ヶ月とは思えないほど、しっくり馴染んでいる。……あれはもう、夫婦の顔ですよ」
貴美子:「……そうですか? でも、まだたったの二ヶ月です。この先どうなるか……」
不安を隠せない貴美子の手を、江藤夫人がそっと包み込んだ。
江藤夫人:「私、亜夢ちゃんに言ったんです。『あなたを絶対幸せにしてくれる人だから、離しちゃダメよ』って。
そうしたらあの子、本当に綺麗に笑って……しっかり頷いたんです。あの子はもう、心に決めていますよ」
貴美子は、キッチンでボブと笑い合う亜夢の背中を、眩しそうに見つめた。
隊長:「まあ、案ずるより産むが易し。今日一日あの子を見ていれば、きっと分かりますよ。ボブくんが、なぜあの子を選んだのかがね(笑)」
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