見出し画像

飲み会で「空気を読め」と言われた日の話


その飲み会は、最初から少しおかしかった。

部長:「今日飲みに行くけど誰か一緒に行く?」
課長:「はい!お供します!」
主任:「私もお願いします!」
(忖度兄弟)
部長:「強制じゃないんだぞ。ハラスメントになるしな、笑」
課長:「君はどう?行ける?」
部下A:「僕でも良いんなら是非!」
課長:「いいよいいよ。君は?」
部下B:「自分はほとんど飲めないんで…」
A(小声):「おい、空気読めよ」
B:「それって半強制じゃん」
主任:「お前ら何ごちゃごちゃ言ってるんだ?」
A:「な、何でもありません…」
主任:「で、行くのか?」
B:「…じゃあ、あまり飲めませんけど行きます」
主任:「わかった。君は?」
部下C子:「私は不参加で、笑」
主任:「どうして?」
C子:「不参加で、笑」
部長:「主任、不参加の理由をしつこく聞いたらダメだよ。ハラスメントになるから」
主任:「……すみません」
(その線引き、そこだけなんだ)

こうして、
お酒大好き部長と、出世が大好きな課長と主任。
忖度が得意なAと、渋々ついてきたBは夜の街へ繰り出した。

部長:「昔は断るなんてなかったもんな」
課長:「そうですよね!今は若い部下に気を遣わないといけない時代ですから」
主任:「残業頼む時にお菓子を配る会社もあるそうです」
課長:「主任も配ってるの?」
主任:「していません」
A:「残業は業務ですから!言われたら喜んでやります!」
(優等生すぎて逆に怖い)

部長:「私も課長に気を使わないとダメだな、笑」
課長:「め、滅相もございません!」
部長:「いや、ハラスメントだコンプライアンスだって時代だろ?」
課長:「時代は変わっても飲み会は必要です!本音で話し合ってこそ仕事は円滑に回るんです!」
(いや、それを強要してる時点で本音じゃない)

課長:「おい!お前は何を飲んでいるんだ!」
B:「ウーロン茶です」
課長:「バカ者!飲み会でウーロン茶飲む奴がいるか!」
B:「僕、お酒弱いんで…」
課長:「弱いなら尚更飲め!」
(理屈が崩壊してる)

課長:「俺も昔は弱かった。でも部長に鍛えられて強くなったんだ!」
B:「そこまで強くならなくても…」
課長:「いいから吐いて強くなれ!」
(地獄の教育法)

課長:「そんなこと言うならC子ちゃんに言おうかな〜」
B:「……僕、帰ります」
A:「おい、空気読めよ」
B:「何を読むんだ?これ以上何を我慢しろって言うんだ!」

課長:「帰れ帰れ!ウーロン茶なんて飲む奴に用はない!」
B:「今の会話、録音してます」
課長:「何が録音だ!これは恋バナだ!」
(どこがだ)

部長:「課長、それはただの侮辱だ。パワハラとアルハラだよ」
B:「……」
部長:「嫌な思いをさせたね。この件は査問にかける。録音を後で渡してくれ」
B:「わかりました」

課長:「部長!私を切るんですか!」
部長:「もう少し時代に対応できる男だと思っていたが…私の読みが甘かった」

後日、課長は正式に謝罪し、降格処分となった。
Bの飲み会嫌いは、きっと前より強くなっただろう。

無理に合わせて我慢するか、
最初から距離を取るか。
少なくとも、
「空気を読む」ことが正解とは限らない。

いいなと思ったら応援しよう!