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金星と海王星

わたしには1年に一度だけ会う、遠い遠い親戚のおじさんがいる。

おじさんはいつも夕暮れ時に、突然自宅を訪れてくる。毎年同じ時期、同じくらいの時刻にやってくるので、だいたい「もうすぐ来るな」と予想はついているのだ。

今年もおじさんはやってきた。自宅で育てた梨と苺を持って。

わたしとおじさんは話すことがない。

そのため「こんにちは」とあいさつだけをして、お互いに家のそれぞれの場所に散っていく。そしておじさんが帰るまで近づくことはない。それはまるで約6.4億kmも離れている金星と海王星のように。

帰り際、おじさんは「じゃ、どうもね」と言ってわたしを見る。わたしはニコッと笑って「お気をつけて」と言う。その瞬間だけわたしたちの惑星は可能である限り最も近い距離まで近づく。

おじさんが帰ると家の中は静かになる。時計の秒針の音だけがチクタクと鳴り響き、外で南天の実をついばむ鳥の鳴き声が聞こえる。

サンダルをつっかけて家の庭に出た。外は快晴。細切れではなく大きな雲が、筆でサッと描いたように浮かんでいる。

南天の実に触れてみた。思いのほか冷んやりしている。

おじさんはきっと来年も来るだろう。自宅で育てた梨と苺を持って。




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