見出し画像

炎天下と色白男

前職、男性職員がたくさんいた。

同じ部屋にも何人もいたのだが、時折、外へ借り出される仕事があった。

それがまた過酷で、炎天下の下、ひたすら立ち続けるというものだった。

戻ってきた職員たちは皆、汗だくでぐったりしている。


その中の一人が、色白男だった。

彼は肌がとにかく白い。

そのため、戻ってきた頃には疲労感に加えて顔が真っ赤。
まるで酔っ払っているみたいになっていた。


同僚からも、
「どっかで酒でも飲んできたのか?」
と突っ込まれていたくらいだ。

ちなみにこれはリハーサル。

後日、本番でも同じように炎天下で立ち続けるとのことだった。



色白男とたまたま帰りが一緒になったので、

「日焼け、大丈夫?」
と聞くと、

「ヒリヒリしていて、熱がこもってる感じです」
と言う。

それはつらい。


「ちゃんと冷やしたほうがいいよ。日焼け止めは塗らなかったの?」
と聞いたら、

「持ってないので」
とのこと。


ああ、そういうタイプか。

「ドラッグストアで“SPF50”っていうの買って塗っていったほうがいいよ」

そう勧めておいた。


翌日。

「日焼け止め買えた?」
と聞くと、

「SPFという商品が見つからなかったんです」
どうやら、かなり疎いらしい。


私の説明では足りなかったようだ。

「日焼け止めコーナーで、“ANESSA”とか“ビオレ”とかあるから、その中のSPF50って書いてあるやつを買えばいいんだよ」


そう説明したところ、後日、彼はわざわざ購入品を見せにきた。

「これでいいですか??」

見ると、ANESSAのSPF50。

「そうそう、それそれ。これで赤くならなくて済むよ」


これで一安心。

……と思っていた。



そして後日、立ち仕事の本番の日。

彼は先に現地入りしていたので、ちゃんと塗ったのかどうかは知らない。


その日の夕方。

戻ってきた彼を見た瞬間、私は吹き出してしまった。

顔だけ真っ白。
塗りすぎだ。

しかも首と耳と手は真っ赤。



いや、そこなんで塗ってないの。

塗り方まで教えなきゃいけなかったってこと!?


しかも、買ったの「顔用」じゃなくて「顔・からだ用」って書いてあったよね……?


私はそれ以上世話を焼くと完全に“オカン化”しそうだったので黙っていたが、

同僚……誰か教えてやってよ。


「顔、塗りすぎて白いよ」とか。
「首の後ろや耳と手も塗った?」とか。

……いや、言わないか。
男同士って、そんなもんか。


そしてきっと今年も彼は、
顔だけ真っ白、首と耳と手だけが真っ赤のまま、炎天下で仕事をするのだろう。



絶対、通行人は「バカ殿が立っている」と言っていると思うんだ…



いいなと思ったら応援しよう!

mugi よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!