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5年ぶりの再会と、山奥の古民家カフェで始まった「正座の修行」

かつての職場の同僚と久しぶりに会ってきた。

​お互いにここ数年は仕事や家庭のことでバタバタしており、なかなかスケジュールが合わなかったのだが、ようやく都合がついて実に5年ぶりの再会となった。


​ランチの場所は私が事前にリサーチしておいたカフェ。

同僚の車に乗せてもらい、いざ出発したのだが……到着するまでの道のりが、とんでもない山の中だった。

​車一台がギリギリ通れるくらいの細い山道を、すれ違いにヒヤヒヤしながら抜けていく。


そんな隠れ家すぎる立地にもかかわらず、到着してみると眺望の良さが人気なのか、すでに駐車場は車でいっぱい。

なかなかの混雑ぶりだった。


​お店自体はお洒落な雰囲気で、私は美味しそうなニョッキのグラタンを注文。

久しぶりの再会に会話も弾み、料理を堪能した。



​ここで、気遣い屋の同僚が声をかけてきた。

「混んでるのに長居するのは申し訳ないし、デザートは別の場所に移動しようか」


​その提案に乗ったのだが、移動中も話に夢中になっているうちに、ランチのお店からかなり離れたこれまたかなりの山奥へ。



辿り着いたのは、風情ある古民家カフェだった。


​しかし、ここで予期せぬトラップが発動する。

​古民家カフェといえば、趣のある板の間に直接座るスタイルが多い。


だが、普段からイスの生活に慣れきっている身としては、とにかく「足のやり場」に困るのだ。


​私は昔から横座りができない。

かといって、家での定番の「あぐら」をかくわけにもいかない。


いくらカジュアルなカフェとはいえ、周りにはたくさんのお客さんがいる。

さすがにここでドカッとあぐらをかくのは、大人の女性としてどうなのだろうか……。


​葛藤の末、私は意を決して「正座」を選んだ。



​『何かしこまってんの?』

『私、横座りができないんだよね』

『あぐらかけばいいじゃん』

『いやいや、さすがにこの場所でそれは…』


​こうして私は、めちゃくちゃお行儀よく正座をしたまま、アイスコーヒーを飲み、アイスクリームを食べることになった。


​ふと周りを見回してみると、他の女性客はみんな涼しい顔でスマートに横座りをしている。

あれができたらどんなにラクだろう。

羨ましさと自分の身体の硬さを呪いつつも、できないものは仕方がない。


​しびれる足に耐えながら正座で会話を続けていると、なんだかカフェに来ているはずなのに、禅寺へ厳しい修行にでも来ているような気分になってきた。


​さらに追い打ちをかけるように、ここから私が「聞き役」に回るターンがやってきた。

弾丸トークのスイッチが入った同僚の話を、正座のまま「うん、うん」と受け止める。


足の痺れと怒涛のトーク。


もはや私の「修行」は、完全に「苦行」へと姿を変えていた。


​帰り道の車内でもひたすら聞き役に徹し、マシンガントークをしっかりと受け止めた。


「今日のランチ代とガソリン代だと思えば……!」と心の中で自分を励まし、なんとか耐え抜いたのだった。

​そして無事に家へ帰り着き、解放された瞬間に一気にドッと押し寄せてきた猛烈な疲労感。



​5年ぶりの再会はとても楽しかった。

楽しかったのだけれど……山の中のカフェと、古民家カフェの座敷席には、時として苦行になるため要注意と思い知らされた。




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