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11,000時間。私が家計簿の数字を追うのをやめた理由|改めましての自己紹介

「寝顔にしか『ただいま』を言えない20年を繰り返したくない。数字の裏側に隠れた『時間』という資産を守ると決めた、私の物語。」

静まり返ったリビングに、「カタカタ」と電卓を叩く音だけが響いている。

時刻は21時半。 画面の中では、家計簿アプリの数字が整然と並んでいる。

食費、日用品、教育費。 先月よりも、少しだけ支出が抑えられている。
本来なら、ここで「よし」と満足して画面を閉じるはずでした。

けれどその時、僕はふと目線を上げ、誰もいないダイニングテーブルの向こう側、暗い廊下の方をじっと見つめてしまいました。

そこには、何もない「空白」がありました。


「子どもと一緒に過ごせる時間は、あと11,000時間で終わる」

これが、僕が家計管理の数字の裏側に見つけてしまった、残酷な結論です。

家計簿をつけている皆さんに、一度だけ考えてみてほしいことがあります。

あなたが今、必死に守ろうとしているその「数字」は、一体何のためのものですか?


ここで少し、僕自身の話をさせてください。

名前はShato(シャトー)**といいます。 30代、共働きの会社員。
5歳と3歳の、やんちゃ盛りの息子が2人います。

性格はかなり理屈っぽいです。数字を見ると、つい計算したくなる。
だから、家計管理を始めました。

始めたばかりの頃は、1円単位で数字を合わせることに執着していました。

「これが正しい家計管理だ」と信じて疑わず、妻にもその正論をぶつけていました。
でも、僕が正しさを振りかざすほど、家庭の空気は冷え切っていく。

「なんで正しいことを言っているのに、伝わらないんだろう」

そう悩み、何度も失敗を繰り返す中で、ようやく気づきました。

僕が見ていたのは、家族の「安心」ではなく、
ただの「数字の整合性」だったんです。


僕の毎日は、こうです。

朝6時前、まだ薄暗い中で家を出る。 子どもたちはまだ夢の中。
「行ってきます」は言えません。

夜、帰宅するのは21時過ぎ。
玄関を開けても「ただいま」を返す相手はいません。

そこにあるのは、すでに静まり返った寝室と、
妻が用意してくれた冷めた夕食だけ。

子どもと会う時間は、1日平均1.5時間。

計算してしまったんです。
大学を卒業して家を出るまで、あと約20年。

今の生活を続ければ、彼らと一緒にいられるのは、
合計でたったの11,000時間

日数に直せば、わずか450日ほど。

そう気づいた瞬間、さっきまで電卓で計算していた「節約できた数千円」が、急にひどく空虚なものに見えてきました。


お金は、管理すれば貯まります。

でも、失われていく「時間」だけは、
どんなに家計簿を緻密につけても、1秒たりとも取り戻せません。

今の生活を、あと20年続けるのか。
気づけば高校生になり、大学生になり、言葉を交わす時間も減っていく。

彼らの記憶に残る僕は、
「いつも夜遅くに帰ってくる、疲れた背中の人」だけでいいのか。

本当は、湯気が立つ夕食を一緒に囲みたかった。
「今日、学校でこんなことがあったよ」という、なんてことのない報告を、その瞬間の体温と一緒に受け取りたかった。

「仕事だから、仕方ない」

この言葉は、魔法の言葉です。
これさえ言えば、すべての違和感に蓋ができる。

自分を納得させ、現状維持という名の坂道を下っていける。

でも僕は、自分に期待することをやめた父親にだけは、なりたくなかったんです。


だから、決めました。 「3年で、この構造から抜け出す」

会社員を辞めるわけではありません。

ただ、会社に人生のハンドルをすべて握られたまま、「依存」する状態からは卒業する。

家計を整え、それと同時に「自分の言葉」で価値を作る。

その一歩として始めたこのnoteで、先日、小さな変化が起きました。
書いた記事が初めて売れて、手元に残ったのは800円

会社の給料として振り込まれる数万円よりも、
この800円の方が、僕にはずっと重く感じられました。

自分の思考が、誰かの役に立ち、対価に変わる。

そこには、数字だけの管理では決して味わえない
「自分の人生を取り戻している感覚」がありました。

0だった場所に、初めて自分の力で「1」を書き込んだ瞬間でした。


今日も21時半、僕は家計簿を開きます。

でも、もう数字だけを追うのはやめました。
支出を確認するのは、節約するためではありません。

「何に時間を使うべきか」を選択するためです。

次の収益が出たら、長男の電車図鑑と次男の絵本を買いに行こうと思います。

Amazonでポチるのではなく、一緒に本屋へ行き、彼らがどれにしようか迷っている時間を、隣で一緒に過ごしたい。

その1時間こそが、僕が家計管理を通じて本当に守りたかった「資産」だからです。


会社員を続けている限り、11,000時間は刻一刻と削られていきます。 それは、抗いようのない事実です。

でも、その時間の「濃度」を変えることは、今この瞬間からでもできるはずです。

あなたは明日、どんな顔をして「行ってきます」を言いたいですか?
あるいは、言えない代わりに、何を彼らに残そうと思いますか?

僕は、自分に期待することをやめない背中を、見せ続けたいと思っています。

今回の記事は、以前書いた自己紹介の続きを、今の自分の言葉で書き直したものです。
以前の自己紹介記事
私がなぜ家計管理について書いているのか、
どんな失敗をして、どんな考え方に落ち着いたのかをまとめています。

かつての僕は、「正しさ」で家計を管理しようとして、夫婦関係まで壊しかけていました。

そんな僕が、どうやって「気持ち」を優先する今のスタイルに辿り着いたのか。そのきっかけとなった失敗談はこちらにまとめています。


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