第26回:キャリアを諦めず、人生の難局を乗り越える「攻めの教育資金戦略」
これまでの連載では、豊かな老後を過ごすために私が行っている「投資」「仕事」「人間関係」についてお話ししてきました。しかし、どれだけ綿密に計画を立てていても、人生には時として、これまでの備えを根底から揺るがすような巨大で予想外のイベントが発生します。
私にとってのそれは、子供の医学部進学に伴う、数千万円単位の学費負担でした。
実際、これまで多くの有能な同僚たちが大学病院を去っていくのを見てきました。理由は様々ですが、その一部には、家族を守るための「金銭的な理由」もあったはずです。高度な専門性を追求できる環境に身を置き続けたくても、現実の家計負担がそれを許さない。そんな苦渋の決断を、私も間近で見てきました。
かつての私自身も、その一人になりかけたことがあります。
仕事に行き詰まりを感じていたことも重なり、給与の良い一般病院へ移るため、実際に転職先と話し、当時の教授に退職を申し出たことさえあります。しかし、そこで踏みとどまったことが、私の人生を大きく変えることになったのです。
1. 「稼ぐために職場を捨てる」ことの損失
人生の大きなイベントでお金が必要になったとき、多くの人は「収入を増やすこと」を唯一の解決策だと考えます。しかし、愛着のある職場や、今まさに専門性を磨いている環境を、お金のためだけに手放すことは、目に見えない巨大な損失です。
一度手放したキャリアの「質」や、そこで積み上げてきた信頼、そして「挑戦する権利」は、後からお金で買い戻すことはできません。
私の場合、教授からの引き止めと、これからお伝えする「資産形成とローンを組み合わせた戦略」で見通しが立ったことで、転職を思いとどまることができました。そして皮肉なことに、その直後に私は「教授選」という人生の大勝負に出るチャンスを得たのです。
結果的に、その教授選には敗れはしましたが、私は今、清々しい気持ちで新しい目標に向かって「打席」に立ち続けることができています。
もしあの時、お金のために職場を去っていたら、今の自分は存在しません。勝敗以上に、「自分の信じる道を、お金の問題で諦めなかった」という事実が、今の私を支える揺るぎない自信になっています。
ここから先は、特別な才能や幸運ではなく、仕組みを知れば「誰にでも行うことができる」、私がキャリアを諦めずに済んだ具体的な思考法についてお話しします。
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