ライフログ論文│国際研究者19人に断られ、1人だけ推薦された話(地方公務員の挑戦)【第6話】
私は22年分のライフログをデータ分析し、
論文としてまとめました。
今回は、論文の投稿に苦労した裏話。
※論文概要などは【第3話】に掲載中。
▼英語論文(OSF)
▼日本語論文(Jxiv)
論文を書き、次に悩んだのは、
「どこに投稿するか」
でした。
(結論は国内外3か所に投稿)
今回はこのうち、
アメリカの『arXiv』に投稿するために、
国際研究者20人に依頼し、
19人に断られ、
最後に1人だけ推薦してくれた話です。
※ただし最後にやらかします

■投稿先の3か所
私が論文を投稿したのは、
Jxiv、SocArXiv、arXivの3か所です。
・Jxiv:日本(2022~)
運営:JST(科学技術振興機構)
・SocArXiv:アメリカ(2016~)
運営:メリーランド大学 等
・arXiv:アメリカ(1991~)
運営:コーネル大学
このうち、
JxivとSocArXivは
比較的投稿しやすい仕組みです。
問題は『arXiv』
arXivは、推薦資格者から、
推薦(endorse)を受けなくては論文投稿できない仕組みです。
その代わり、
arXivは論文引用数が多く、
世界中の研究者がチェックする学術インフラとして機能しており、
JxivやSocArXivと比べて、
引用率やAI参照率の向上が期待できます。
今回は、
「なんとか『arXiv』に投稿したい・・・・」
と思い、いろいろ悩み・試行錯誤した、
国際論文が未経験の地方公務員による、
苦労の裏話です。

■ arXiv『推薦制度(endorse)』の壁
arXivへの投稿自体は一見すると簡単です。
「アカウント登録して、カテゴリ選択して、
投稿ボタンを押す」
です(審査は別として)。
ですが、
カテゴリは100以上に分かれており、
投稿するには、当該カテゴリの推薦資格者から推薦を受ける必要があります。
今回私が選択したのは、
「cs.CY」というカテゴリです。
・大項目:コンピューターサイエンス
・小項目:コンピューターと社会
つまり私は、
世界中の研究者から「cs.CY」カテゴリの推薦資格者を探し、
かつ、
見ず知らずの私を推薦してくれる
『天使のような研究者』と巡り合わなくてはならない。
というわけです。
大学研究者であれば、知人研究者や研究機関などのツテも使えるので、
難しい話ではないのかもしれません。
ですが、
地方公務員(市役所職員)&個人研究者の私にとって、
このハードルはあまりにも高く、
この事実を知った時点で、半分諦めかけました。
市役所職員の同僚に相談しても、
「ふーん。なんか大変そうだねー。
てかそもそも何でそんなことしてんの?」
っていう反応です(当然の反応)。
こんなとき、
いつも私を励ましてくれたのは、
親友のチャッピー(ChatGPT)でした。

■ 推薦資格を持つ国際研究者を1人ずつ探す
私は途方に暮れつつ、
「cs.CY」カテゴリの推薦資格を持つ研究者探しからスタートしました。
具体的には、
arXivのHPの「Computer and Society」カテゴリから、
私の論文に関連する論文を書いてる研究者、
言い換えると、
私の論文に興味を持ってくれそうな研究者を1人ずつ探しました。

研究者が「cs.CY」カテゴリの推薦資格を有するかどうかは、
arXivの検索ボタンで確認可能ですが、
1日5人程度しか調べることができません。
(おそらくスパム対策)
■ 20人に依頼して19人に断られる
結果はほぼ全滅でした。
1週間ほどかけて20人に送り、ほぼ全員が、
返信なし 又は
お断り
でした。
しかし、とある日に、
シンガポールのNTU(南洋理工大学)の研究者から、
「残念だけど私は推薦できない。
でもこの内容なら●●さんが推薦してくれるかも知れないよ。」
という返信をいただきました。
(※実際は英語)
これは千載一遇のチャンスでは?
と思い、まずは紹介者のプロフィールを調べ、時が止まりました。
え、相手は、
MIT(マサチューセッツ工科大学)教授??
(しかも、著名な教授)??
正直、心臓バクバクです。
だって、相手はMITの有名教授で、
こっちは、ただの市職員(係長)なんです。
とはいえこのままでは進まないので、
私は戦々恐々としつつも、
親友のチャッピー(ChatGPT)にエールを貰いつつ、
MITの教授に以下メールを送ってみました。
【実際にMIT教授に送ったメール】
(匿名加工済)
arXiv endorsement request (cs.CY)
Dear Dr. ●●,
My name is Masakazu Ryouse, an independent researcher based in Japan,
affiliated with ●● City Government.
I was advised by Prof. ●● to contact you regarding an arXiv endorsement for the cs.CY (Computers and Society) category.
I am preparing to submit a paper to arXiv, and as this is my first submission to this category, an endorsement from an eligible author is required.
The title of my manuscript is:
"Modeling Interest Change Using a 22-Year N=1 Lifelog"
If you are willing, I would greatly appreciate your endorsement.
You can endorse my submission using the following link:
https://arxiv.org/auth/endorse?x=●●●●●●
(Endorsement code: ●●●●●●)
Thank you very much for your time and consideration.
Best regards,
Masakazu Ryouse
●● City Government (Independent Researcher)
Japan
ORCID: https://orcid.org/0009-0009-0960-789X

がしかし、結果は……
…返信が来ない⋯
・・やはり、結果は駄目っ・・・・
19連続の失敗・・・・
ざわ…ざわ…
この週、私のメンタルは激落ちしました。
■ なぜ「ほぼ全滅」したか
19人連続で断られた理由をチャッピーに聞いたところ、
以下6点が原因とのことでした。
① 「知らない人」を推薦する理由がない
② 多忙で依頼者の論文を読む余裕がない
③ 公務員が書いた論文など評価しにくい
④ 「怪しいスパム(迷惑)メール」疑い
⑤ 推薦で逆に自身の評判が落ちるリスク
⑥ 「cs.CY」カテゴリ自体が推薦に保守的
そりゃそうだ…
私だって、
いきなり知らない人から、
「初めまして!
突然ですが、私を推薦して貰えませんか?
URLはこちら!
ワンクリックで推薦可能です!」
なんてメールが来たら、まず疑いますよね。
こりゃ、無理だ・・・
あと一人送って諦めよう。
という心境でした。

■ 推薦をくれた20人目の研究者
ほぼ諦めつつ、
最後の20人目に送った研究者から、
こんな返信が来ました。
(誇張でなく本当に最後の予定でした)
You can submit to the arxiv.
If Possible give me your thanks on your paper.
(あなたはもう arXivに投稿できますよ。
よろしければ、あなたの論文の「謝辞」欄に私を載せてください)
この天使のような研究者は
CMU(カーネギーメロン大学🍈)関連のAI分野の研究者でした(インド国籍)。

私はもちろん即了承し、
論文に謝辞を追記し、投稿しました。
こうして、私は『天使の研究者』と出逢い、
arXivの論文投稿に必要な推薦を得ることができました。
(オチ)
ちなみに投稿後、運営から、
『投稿先の領域が異なる』との連絡があり、
対応中という情けないオチです(笑)。
■おまけ(後日談)
後日、その研究者からこんな追伸も届きました。
天使の研究者(CMUのインド人)より追伸
Thanks and if you find any good problem set then ping me so that we can work together.
I am waiting to read it.
(ありがとう。もし面白い研究テーマがあれば連絡してね。一緒に研究できるかもしれません。論文を読むのを楽しみにしています。)
⋯本当に天使のような研究者でした。
(共同研究やってみたい)
■ 個人研究の難しさ
今回の経験で強く感じたのは、
個人研究の難しさです。
大学や研究機関に所属していれば、
指導教員
研究室
学会ネットワーク
などがあります。
しかし個人研究の場合、
すべてを自分で開拓する必要があります。
それでも、
世界のどこかには
研究内容を評価してくれる人がいる。
ということも同時に感じました。
■ 地方公務員の研究挑戦
私は普段は地方自治体で働く市職員です。
研究者ではありません。
それでも、
22年間のライフログ
1,550万文字のデータ
という素材を使って、
今回の研究を形にすることができました。
19人に断られても、1人が応えてくれました。
挑戦は孤独ですが、それでも続けた先には、
必ず誰かが見つけてくれる瞬間があると思います。
もし何かに挑戦している方がいたら、
どうか諦めずに続けてみてください。
もしよろしければ、
フォローとスキをいただけると、
とても励みになります。
■ 次回、2050年を予測した話【第7話】
▼興味のある方は【第1話】からどうぞ
・第1話URL:
https://note.com/lifelog_lab/n/n2f55c09c19bb
▼日本ライフログ研究所 │ 公式サイト
・公式サイトURL:
https://wide-spirit-498.notion.site/346b4484a04880e8b4b7dbd94f9e602a
