神社:参拝でまず覚えておきたい神々10選
■能書き(読むのが面倒くさかったらスルーしてください)■
神社に参拝しても、そこに祀られている神には関心が無いという人の方が多いだろう。
「とにかくお願いを叶えてくれればいいんです。良きご縁を!」とか、
「どの神様でもいいからお金持ちにしてぇ〜!」という感じだろうか。
でもちょっと考えてほしい。
あなたがもし、人から何かを頼まれた場合、相手が自分の名前を知らなかったり、忘れていたり、間違って覚えていることを知ったら、どんな気分だろう?
「こいつ、人にものを頼んでおいて、こちらの名前も知らんのか。失礼なやつだな」
とならないだろうか?
日本の神様はけっこう人間くさい。
自分のことをまったく知らない参拝者より、
自分の名前や素性を知った上で参拝者の願いを優先してくれる可能性もある。
今まで200ヶ所以上の神社に参拝してきたが、祀られている神(御祭神)はわりと限られている。
そこで、今回は分類とかそういう面倒くさいことを抜きにして、神社でよく見かける御祭神と、神々同士関係について説明をしていく。
なお、一つの神社で複数の神々が祀られているのが一般的である。
■ちょっとした注意事項■
・神様の名前は漢字がわかりにくく、慣れないとすぐ読み方を忘れます。なので、2回目以降の登場の際はカタカナ表記とします。
・2回目以降登場の神様の名前は「命(ミコト)」や「尊(ミコト)」、「神」、「大神」などは省略します。
・神様の漢字表記はここで記した以外にもバリエーションがあります。もし違う表記を神社で見たら、神社が書き間違えているということではないのでご注意を。
1.伊奘諾命(イザナギノミコト)
日本の国土や多くの神々を産んだ男神。
《別の表記》
伊邪那岐命、伊弉諾命など。「命」の代わりに「尊」と書いて、「みこと」と読ませる場合もある。
《御祭神となる神社例》
伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう/兵庫県)、三峯神社(みつみねじんじゃ/埼玉県)
《ちょっと補足》
メインで御祭神となっていなくても、参拝した神社の他の場所(摂社、末社などという)に祀られていることも多い。
メインの神社の拝殿(お賽銭をあげてお参りする建物)の裏側に回ると、イザナギを祀った小さな祠(ほこら)があったりする。
2.伊奘冉命(イザナミノミコト)
日本の国土や多くの神々を産んだ女神。イザナギの妻。
《別の表記》
伊邪那美命、伊弉冊尊など。
《御祭神となる神社例》
花窟神社(はなのいわやじんじゃ/三重県)
3.天照大神(アマテラスオオカミ)
イザナギの娘。単独で産んだ神。左目から誕生。太陽の女神として、日本神話の最高神とされる。
《別の表記》
天照大御神(アマテラスオオミカミ)、天照皇大神(アマテラスコウタイシン)など。
《御祭神となる神社例》
伊勢神宮(三重県)、伊勢山皇大神宮(神奈川県)など。アマテラスを祀った神社は全国に大変多い。
《ちょっと補足》
イザナギの右目から誕生した月読命(ツクヨミノミコト、ツキヨミノミコト)という弟がいる。
しかし、日本神話ではツクヨミはほとんど登場しないし、祀っている神社もアマテラスほどは多くない。
神奈川県伊勢原市にある日月神社(にちがつじんじゃ)はとても小さいが、アマテラスとツクヨミの両方を御祭神とする珍しい神社である。
4.素戔嗚尊(スサノオノミコト)
イザナギの息子。アマテラスの弟。伊奘諾が単独で産んだ。鼻から誕生。
天上の国「高天原(たかまがはら)」で乱暴の限りを尽くしたので、ショックを受けた姉のアマテラスは天岩戸(あめのいわと)という洞窟に引きこもった。
太陽の女神が隠れたため、世界は暗闇に包まれた。
神々が相談して知恵を出し合い、なんとか天照大神を洞窟から出すことに成功。
その後、スサノオは地上に追放された。
地上では出雲神話の前半の主人公となり、大怪物の八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を倒し、八岐大蛇の生贄になりかけた櫛稲田姫(クシイナダヒメ)と結婚。
《別の表記》
須佐之男命、素盞嗚尊、素盞嗚命など。
《御祭神となる神社例》
八坂神社(京都/日本各地)、八雲神社(日本各地)。
《ちょっと補足》
有名な熊野本宮大社(和歌山県)の御祭神の家都美御子大神(ケツミコノオオカミ)はスサノオのことであるという説もある。
5.大山祇神(オオヤマツミノカミ)
山の神。イザナギとイザナミの息子。子だくさん。
《別の表記》
大山津見神など。
《御祭神となる神社例》
大山祇神社(愛媛県)、三嶋大社(静岡県)など。
《ちょっと補足》
似た名前の神に大山咋神(オオヤマクイノカミ)がいる。こちらも山の神だが、別の神。名前が似ている上に担当が一緒なのでややこしい。
6.宇迦之御魂大神(ウカノミタマノオオカミ)
いわゆる「お稲荷さん(おいなりさん)」。
スサノオと、オオヤマツミの娘である神大市比売(カムオオイチヒメ)の子供。つまりオオヤマツミの孫。
スサノオもオオヤマツミもイザナギの子供であるから、スサノオは姪と結婚したとも考えられる。
もっとも、昔は高貴な人の間では、叔父と姪の結婚はそれほど珍しくなかった。
性別不明だが、男性老人の姿で表される場合と、若い女神の姿で表される場合がある。
お稲荷さんを「狐の神」と勘違いしている人も多いが、狐は単なる神の使いであって、信仰対象ではない。
「狐は人をばかす」、「コックリさんと関係ありそう」、「狐ってずるそう」というイメージから、お稲荷さんを怖がる人もいるが、それは偏見である。
《別の表記》
稲魂大神、倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)など。
《御祭神となる神社例》
伏見稲荷大社(京都)、稲荷神社(日本各地)など。
《ちょっと補足》
稲荷神社にはよく「正一位稲荷大明神(しょういちいいなりだいみょうじん)」という赤い幟(のぼり。細長い旗のようなもの)が掲げられている。
大昔は、朝廷が神様もランク分けして位を授けていた。神様に対してなかなか不遜な気もする。
で、伏見稲荷神社は朝廷から最高の位である「正一位」を授かった。
その名残として、「最高の神様」という信仰心の現わすために現在でも「正一位稲荷大明神」という言葉が使われている。
7.木花咲耶姫(コノハナサクヤビメ)
オオヤマツミの娘。皇室の祖先とされる瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の妻。
花のような繁栄をもたらす美しい女神。
《別の表記》
木花之佐久夜毘売命、木花開耶姫命など。
《御祭神となる神社例》
富士山本宮浅間大社(静岡県)、箱根神社(神奈川県)など。
《ちょっと補足》
器量の悪い、磐長姫(イワナガヒメ)という姉がいる。
ニニギがコノハナサクヤに求婚したところ、父のオオヤマツミは姉のイワナガも一緒にニニギに嫁がせようとした。
昔は、姉妹を同じ男と結婚させることもあったのだ。
しかし、ニニギは器量の悪いイワナガを拒否。
実はイワナガは長寿の女神であり、イワナガを娶っていれば皇室の子孫は代々超長生きできる可能性があった。
結婚を拒否してしまったため、残念ながら皇室の寿命は一般の人と同じくらいとなった。
イワナガは静岡県の伊豆高原にある大室山の浅間神社に祀られている。
8.瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)
アマテラスの孫。ややこしくなるので両親については省略。
「天孫降臨」伝説で、天上の神々の国「高天原(たかまがはら)」から地上に下り、日本を治めることとなった神。
何柱かの神々が同行してきた。
(神々の数え方は「〜人」ではなく「〜柱」。)
日本神話のうち、日向神話(ひゅうがしんわ)の最初の主人公。
《別の表記》
邇邇藝命など。
《御祭神となる神社例》
高千穂神社(宮崎県)、霧島神宮(鹿児島県)など。
《ちょっと補足》
ニニギから初代天皇神武までの男系の流れは次の通り。
①ニニギ →
②火遠理命(ホオリノミコト) →
③鸕鷀草葺不合尊(ウガヤフキアエズノミコト) →
④神武天皇
したがって神武天皇はニニギのひ孫。
②のホオリは別名「彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)」、「山幸彦(ヤマサチビコ)」など。
9.応神天皇(おうじんてんのう)/神功皇后(じんぐうこうごう)
応神天皇は15代天皇であり、日本武尊(ヤマトタケル)の孫。神功皇后は応神天皇の母。
全国の八幡宮、八幡神社、八幡社の御祭神として母子で祀られているのが一般的なので、二人まとめて説明。
神功皇后は14代仲哀天皇の妻。仲哀天皇は、「新羅(しらぎ、しんら)を征討せよ」という神のお告げを信じなかったため、バチが当たり突然死。
かわって神功皇后が新羅征討を成し遂げた(あくまで伝説)。
新羅遠征の際、実は神功皇后は妊娠していたが、腹に石を結びつけて出産を無理やり遅らせていた。
なお、これは医学的に根拠の無いことであり、現在では絶対にやってはいけない。
遠征後に出産したのが応神天皇。
神功皇后の遠征のときに胎内にいて、勝利に貢献したというすごい理論により、親子揃って武神とされる。
《別の表記》
応神天皇:八幡大神、誉田別之命(ほむだわけのみこと)、誉田天皇(ほむたのすめらみこと)など。
《御祭神となる神社例》
宇佐神宮(大分県)、石清水八幡宮(京都府)、鶴岡八幡宮(神奈川県)など全国の八幡宮、「八幡」と名前のつく神社など。
《ちょっと補足》
平安時代後期から源氏に信仰され、源頼朝が鎌倉幕府を開いてから、武士を中心に全国的に八幡信仰が広まった。
神社本庁(国の組織ではないので注意)の統計によると、八幡宮の系統の神社が全国最多。
10.菅原道真(すがわらのみちざね)
9〜10世紀の実在の人物。
現在では「学問の神」として、天神とよばれ、全国の天満宮や天満神社の御祭神となっている。受験生に大人気。
日本では、実在した人物が死後に神として祀られることがある。
大きな功績を残した人物や、無念の死を遂げた人物がその対象となる。
菅原道真は無念の死のケース。
学者としては異例の右大臣(政権のNo.2)まで上り詰めたが、栄華を誇る藤原氏の藤原時平左大臣(政権のNo.1)に警戒され、陰謀により九州の太宰府に左遷された。
そこで侘しく死去したのち、京都では天変地異が続発。
清涼殿(天皇の生活・政治の場)に落雷があり、藤原氏と平氏で死者が出たり、藤原時平が突然病死したりして、道真の祟りと恐れられた。
そのため、道真を神として祀ったのが天満宮の始まり。
《別の表記》
天神、天満大自在天神など。
《御祭神となる神社例》
太宰府天満宮(福岡県)、北野天満宮(京都府)、湯島天満宮(東京都)など。
《ちょっと補足》
実在の人物で御祭神となった例として、徳川家康(東照大権現として東照宮に祀られる)、明治天皇(明治神宮に祀られる)などが有名。
近年では、1989年に死去した雀士の阿佐田哲也が、1996年に京都の稲荷山で麻雀の神「阿佐田哲也大明神」として祀られた例がある。
■今回紹介した神々に関する系図■
・「ミコト」、「ヒメ」、「カミ」はすべて省略。
・太字が今回紹介した神々。
・二重線は婚姻関係。
・単線は親子関係。
・配偶者が記されていない場合は単独で産んだことを表す。
・菅原道真は時代や系統が異なるので記載していない。
・私が自作したものなので、無断引用はご遠慮ください。

■まとめのようなもの■
八百万(やおよろず)の神々と言われるように、日本には実に多くの神様がいる。
一気に覚えようとしても嫌になるだけ。
この記事に出てくる神々も一気に覚えようとしないで、ゆっくり記憶に染み込ませていけばいいと思う。
もし神社巡りなどに興味関心を持ったら、神社に参拝にいくたびに御祭神を確認してほしい。
神々に関心を持たず、参拝もせずに、御朱印だけをスタンプラリーのように集めることはぜひ控えていただきたい。
今回はキリよく10選とした。
本当は、大国主命(オオクニヌシノミコト)、宗像三神(むなかたさんしん)も入れたかったが、初めて神社の神々について知ろうとする人にとっては情報過多になってしまう可能性が高い。
そのため、残念ながら割愛したが、別の機会に説明していきたいと思う。
下の記事は続編になります。
よければ次にお読みください。
