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統合と解釈の原因は、自分の頭だけで出さなくていい——教科書に載っていないことを聞かれたときの、参考書の探し方


実習中、指導者に聞かれた。

「半月板のオペをした後の治癒期間、どれくらいか分かる?」

——分からない。

その場で、正直にそう答えるしかなかった。

その日の夜、宿舎に戻って、学校で使っている教科書を開いた。半月板の解剖は載っている。損傷のメカニズムも載っている。だが、「手術後、どれくらいで治癒するのか」——その答えは、どこにも書かれていなかった。

持ってきた参考書も、全部めくった。載っていない。

「教科書にも参考書にも載っていないことを、どうやって調べればいいんだ」

そう思いながら、答えが出せないまま、朝を迎えた。


翌日、指導者に正直に伝えた。

「調べたのですが、教科書にも参考書にも載っていませんでした」

すると指導者は、こう言った。

「これを貸してあげるから、読んでごらん」

そう言って、一冊の本を差し出してくれた。

その本を開いて、驚いた。

半月板の治癒期間だけではない。筋の治癒期間、靱帯を手術した後にくっつくまでの期間、術後何度まで伸ばしていい時期はいつか、全可動域を動かしていい時期はいつか——筋、靱帯、皮膚、軟骨といった、あらゆる軟部組織の治癒期間が、体系的に書かれていた。

自分が探していた答えが、全部そこにあった。

そして、こう思った。

「自分の頭だけで考えようとしていたけど、答えが載っている本を知らなかっただけなんだ」


これは、私が実習生だった頃の、実際の経験だ。

前回の記事で、統合と解釈とは「各検査から原因の候補を出して、検査を横断して共通する原因を結ぶ作業だ」と書いた。

だが、ここで多くの学生がぶつかる壁がある。

そもそも、原因の候補が思い浮かばない。

「膝が伸びない原因を挙げてみて」と言われても、何を挙げればいいのか分からない。知識の引き出しが、まだ少ないからだ。

そして、真面目な学生ほど、こう考える。

「自分の頭で考えられないのは、勉強不足だからだ」

だが、それは違う。

経験も知識も浅い学生が、すべての原因を自分の頭から出すのは、そもそも無理がある。ベテランのPTでさえ、迷ったときは文献を調べる。

今日は、「原因の候補を、どこから見つけてくるか」——実習で武器になる、参考書と文献の使い方について書きたい。


原因の候補は、参考書が教えてくれる

統合と解釈で原因を推測するとき、頼りになるのは、自分の記憶だけではない。

原因の候補が体系的に書かれている参考書が、必ずどこかにある。

例えば「膝関節の伸展制限」なら、その原因として考えられるものが、一覧で整理されている本がある。「筋の短縮」「関節包の癒着」「疼痛による防御性収縮」——こうした候補が、書籍にはまとまっている。

自分の頭から一つずつ絞り出すより、その一覧を見ながら「この患者さんに当てはまるのはどれか」と考えるほうが、はるかに効率的で、抜け漏れも少ない。

実習で本当に大事なのは、すべてを暗記していることではない。**「原因の候補が載っている本を、押さえておくこと」**だ。

これは、カンニングでも手抜きでもない。臨床で当たり前に行われている、根拠に基づいた思考の進め方だ。


どこで、本を手に入れるか

では、その参考書を、どこで手に入れるか。実習生が使える手段を、順に挙げていく。

まずは、学校で購入した参考書

学校の指定教科書や、授業で購入した参考書に載っていれば、それが一番早い。まずは手元の本を確認する。

ただ、私の半月板の経験のように、学校の教科書には載っていない臨床的な情報も多い。そのときは、次の手段に進む。

一番のおすすめは、病院の図書室

私が最も勧めたいのが、実習先の病院で本を借りることだ。

理由は2つある。

一つは、そこにある本が「その病院で実際に使われている本」だからだ。臨床現場で役立つと判断されて置かれている本なので、内容が実践的で、実習中の疑問に答えてくれる可能性が高い。

もう一つが、実は重要な理由だ。スタッフとのコミュニケーションにつながる

「この本を借りたいのですが」と聞くこと自体が、スタッフとの会話のきっかけになる。そして何より、指導者がその本の内容を知っている可能性が高い

同じ本を読んでいれば、話が通じる。「あの本のここに書いてあった内容ですが」と質問すれば、指導者は前提を共有した上で、より濃い指導をしてくれる。これは、自分で勝手に調べた情報を持っていくよりも、はるかに深いやり取りにつながる。

私が半月板の本を貸してもらった経験も、まさにこれだった。指導者が「これを読んでごらん」と渡してくれた本だったからこそ、その後の指導も深まった。

学校の図書室で借りて、コピーする

実習先で見つからなければ、学校の図書室も使える。必要な部分をコピーしておけば、実習中も手元で確認できる。

実習が始まる前に、担当しそうな疾患の本を探して、必要そうな箇所をコピーしておくのも一つの手だ。

文献を調べる

書籍で見つからない場合は、論文などの文献を調べる方法もある。学校で文献検索の方法を習っているなら、それを使う。特に、新しい知見や、細かいテーマについては、書籍より文献のほうが見つかることがある。


AIを使う人へ——これだけは、絶対に守ってほしい

今の学生は、ほぼ全員がAIを使う。調べる速度は圧倒的に速いし、使うこと自体を否定するつもりはない。

だが、ここだけは、強く言っておきたい。

AIは、平気で嘘をつく。

これは比喩ではない。AIは、実在しない文献を、実在するかのように答えることがある。間違った数値を、自信たっぷりに提示することがある。しかも、その文章はもっともらしく、専門的に見える。だから、知識の浅い学生ほど、見抜けない。

そして、ここが医療職として一番怖いところだ。

間違った情報を信じたまま患者さんに触れれば、患者さんをケガさせてしまうかもしれない。

例えば、術後の可動域制限の時期を間違えて覚えたとする。まだ動かしてはいけない時期に、動かしてしまう。荷重をかけてはいけない患者さんに、立たせてしまう。それは、患者さんの回復を遅らせるどころか、取り返しのつかない事態を招く可能性がある。

「AIがそう言っていたから」——それは、患者さんに何の言い訳にもならない。

だから、AIを使うなら、必ずこうしてほしい。

AIに、その情報がどの文献に載っているのか、どの参考書に明記されているのかを問う。そして、その出典を、必ず自分の目で確認する。

AIが「〇〇という書籍に書かれています」と答えたら、その書籍を実際に探す。図書室で開いて、そのページに本当にその記述があるかを、自分の目で確かめる。ここまでやって、初めて根拠になる。

そして、最も大事なのが、次のことだ。

確認できなかったら、その考えは絶対に使わない。頭から消す。

出典が見つからない。本を開いても、そんな記述はない。そういうときは、どんなにもっともらしく思えても、その情報は捨てる。思考から削除する。惜しいと思っても、レポートにも書かない。指導者にも言わない。

この意志を持って、AIを使ってほしい。

実習で指導者に「その根拠は?」と聞かれたとき、「AIが言っていました」では絶対に通用しない。「〇〇という書籍のこのページに、こう書かれていました」と、自分の目で確認したものだけを、根拠として口にする。

AIは、調べるきっかけとしては優秀な道具だ。だが、道具に責任は取れない。患者さんに触れる責任を負うのは、あなた自身だ。


参考書の探し方——目次と索引から入る

本を手に入れたら、次は「どこを読むか」だ。

分厚い専門書を、最初から全部読む時間は、実習中にはない。

私が実践しているのは、目次と索引から探す方法だ。

まず、目次を見る。自分が知りたいテーマが、どの章に載っていそうかを探す。

次に、索引を見る。知りたい言葉(「半月板」「治癒期間」「エンドフィール」など)が索引に載っているか、そしてそれが何ページに書かれているかを確認する。

この2つを見れば、その本が「自分の知りたい内容を、ちゃんと載せている本か」が、数分で判断できる。

そして、本を選ぶときも、この基準で選ぶ。自分が知りたい内容や言葉を、しっかり載せている本を使う。分厚さや有名さではなく、索引に自分の知りたい言葉があるかどうか。これが、実習で使える本かどうかの分かれ目になる。

図書室で何冊か手に取ったら、まず索引を開く。それだけで、選ぶ時間が大幅に短縮できる。


おわりに

実習中、指導者に聞かれる。

「これ、どうしてだと思う?」

——今のあなたは、自分の記憶だけを探さない。

手元の教科書を確認する。載っていなければ、実習先の図書室で本を探す。目次と索引から、知りたい言葉を探す。見つけた根拠を持って、指導者のところへ行く。

「〇〇という本に、こう書かれていました。だから、この患者さんの原因は、こう考えました」

そう言えたとき、指導者はあなたを、根拠を持って考える学生として見てくれる。

統合と解釈の原因を、自分の頭だけで出す必要はない。原因の候補が載っている本を知り、それを武器にする。それは手抜きではなく、根拠に基づいた、正しい思考の進め方だ。

あの日、指導者が貸してくれた一冊の本が、私に教えてくれたことがある。

答えが出せないのは、知識が足りないからではなく、答えが載っている場所を知らないだけかもしれない。

明日の実習で、一つでいい。分からないことがあったら、実習先の図書室をのぞいてみてほしい。

そこに、あなたが探している答えが、待っているかもしれないから。


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