見出し画像

焦った女、奪われる。

相手の家に、初対面で上がった。アラサーの私が焦ったのは、彼のフェチズムではなかった。見た目とのギャップが、私の想定を超えていた。マッチングアプリ体験談。

世の中には様々なフェチズムがあるという。
中にはパートナーを気遣って
表に出さない人もいるだろう。
私はある種のレベル上げを行っている身なので、
よほどの抵抗感がなければ
経験してみようと思っている。

メッセージの感じがよかったので、
彼と会うことにした。
ふにゃっと穏やかな笑顔が、
ラブラドールレトリーバーを思わせる。
彼のことはレトリーバーと呼ぼう。
私たちは彼の家に向かっている。
道中あまり会話は弾まない。
部屋に入ると、ソファーに並んで座った私たちは
互いに少しソワソワしている。彼はアプリで出会えてないらしい。私もリードできるほどではない。どこかぎこちなく触れ合い始める。
しかし始まってしまえば、サクサク行くものだ。


彼は私のあらゆる場所を嗅いでいる。汗のにおいが好きだそうだ。服の上からと脱がせてからどちらもしっかりと堪能する。
あまりの熱心さで麻薬捜査犬のようだ。


彼の顔が私の胸に来る。
私は彼の少し刈り上げられた後頭部を撫でる。
自分の髪にはないその感覚が気持ちがいい。
そして目線をやや下へと移す。
私はこの角度が好きだ。

どんな男性も愛おしくなる角度だと個人的には思っている。柔らかな表情で、私の右胸をほおばって左胸の突起に手を添えている。レトリーバーなので、舐めるのも当然上手だ。

ぎこちない始まりだったため、わからなかったが身体が密着しだしてから気が付いた。
彼のモノは大きそうだということに。舐めながら彼はベルトを緩めだす、触ってほしいそうなので私はゆるんだ隙間から手を伸ばす。
もうしっかり準備ができている状態になっている。

そろそろベッドに行くころだ。
私は靴下を脱ごうとした。

「ダメ」と制止された。
どうやら彼のこだわりらしい。

パンツと靴下のみを残した間抜けな格好で
ベッドに入る。
彼もやっと脱いでいく。私は驚いた。彼のモノは予想よりもさらに大きいというか太い。
彼の見た目とのギャップと、はたしてこれは私の身体とはサイズ的に合わないのではないか?と
たじろいでしまった。

私は焦った。
だがやめるという選択肢が、なぜかなかったのだ。


彼のモノは大きいだけでなく綺麗だからだ。臓器にそんな感想を抱くのはかなりおかしいと自分でも思う。だが確かにそうなのだ。
太さ、反り、毛量、そして黒ずみがあまりなくピンク味がかったその色、
どれも素晴らしいバランスなのだ。

私は触れたくなった。すぐにでも奉仕したくなった。彼は微笑んで了承し、じゃあ片足だけ靴下脱いでと言われた。脱いだ靴下を彼は嗅いでいた。
私はあまりその様子を見ないようにし、
奉仕に集中した。

彼はわりと分泌物が出るタイプだ。これは個人差があるし、生理現象なのでどうすることもできないがあまり出ない方が私は本来好む。でも彼は別枠だ。


淫乱な行為なのだが、彼の臓器が綺麗なので卑猥な気分にならない不思議な時間だった。


思ったとおり、入っていかない。太すぎるのだ。そして彼は優しいので、女性を傷つける行為全般が苦手らしい。無理やり入れることができないのだ。
なんて従順なレトリーバーなのだろう。
少しずつ、本当に少しずつ様々な角度を試し私も限界まで足を広げる。
そんな試行錯誤を繰り返していたら、
何とか入って来はじめた。
奥まで来たらどうなるのだろう。


傍らに一足の靴下がある。
それに気を取られていたら、
急にストップがかかった。

「もう無理っぽい」そう彼は言う。
そんなことはない。
まだ奥が空いている。
私本人がまだと言っているのに、
彼の主張は変わらない。
本当に傷つけたくないようだ。

彼だって奥まで入った方が
もっと気持ちよくなれるのだが、
彼の信念なのだ。

私と彼の形ではこれが限界だ。
半端に入った形で行為を続ける。
大きいのでみっちりと隙間がない。
彼が少し動くだけで私は感じる。


やっと行為が進んで感じ入っていたが、彼が不穏な動きをしている。先ほど脱がせた靴下をもう一度私の足に履かせている。徹底したこだわりだ。
そのまま履かせた私の足を持ち上げて
自分の顔面に乗せた。

ムードを壊してはならないと思い、
私は笑いを堪えた。

フィニッシュへと向かいそうな動きになってきた。
私の足を下した彼は、
今度は私の脱いだパンツを嗅いでいる。

もう私は自分の快楽の追求よりも、
彼が次何をするのかの方が気になっていった。
残念なイケメンとは
彼のためにあるような言葉だと思った。

行為が終わると彼は私の身体を拭いてくれる。
最後まで優しい。
私は彼に気になっていることを聞いてみた。
今までもこのような行為をしているのか?と。
彼は「いやっ」と答えた。自分のフェチズムが普通でないことは重々わかっているらしく、付き合っていた女性に明かしたことはないらしい。

そういうものなのかと私は思った。
相手を傷つけまいとする彼らしさなのだろう。

だがマッチングアプリでの出会いは
彼にとって少し違うらしい。
記念にと私のパンツと靴下を
コレクションするそうだ。

彼は面白い。きっとまた会うだろう、内心そう思い私はその日彼と別れた。
私はノーパンだった。

残してきた靴下とパンツは一体どうなるのだろうか、考えたくない。
私は焦った。

第2話



このシリーズの入口はこちらです。


▼ 焦った女、マッチングアプリを貪る。— はじめに 


いいなと思ったら応援しよう!

焦った女 ここまで読んでくださってありがとうございます。 ここで書かせてもらえているのは、 読んでくださる方がいるからです。 チップは、地味に役立つ乾電池代として大事に使います。 シェアしてくださるのも、同じくらい嬉しいです。 誰にも読まれず、私は焦っています。