焦った女、向き合う。
初めての婦人科で、内診台とクスコに戸惑った。子宮筋腫が見つかり、カンジダの治療も受けた。アラサー女性が「自分には関係ない」と思っていた婦人科に向き合う体験談。
なんとなく足が向きづらい場所だと思っていた。
前の私は一生近寄らない場所な気が
していたからだ。
最近不調を感じている。
オリンピックに熱中し、
生活のリズムが狂っていた。
いつも清潔を心掛けているが、
パンツを脱ぐたび不快感がある。
私は病院を探した。
駅近の利便性をとるか、
ひっそりと通いやすい近所にするか。
私はひっそりを選んだ。
予約が取りやすそうなのも決め手の一つだ。
ゆったりとしたトップスとスカートを選んだ。
行ってみると、想像よりももっと綺麗だった。
まず待合室の配置がいい。
ここは喜びもあるが様々な不安が存在する場所で、とてもデリケートだ。
患者の視線があまり交わりすぎないよう
設計されている。
問診票を書いている。
もっと突っ込んだ事を聞かれるのではと
緊張していたが、
最低限の聞くべきところまでという感じだった。
受付に返すと、今日はこちらで間違いないかと
問診票の項目を指さして聞いてくる。
他者に聞かれないよう、配慮した聞き方だった。
この病院を選んでよかったと私は思った。
診察前に看護師さんに呼ばれた。
私は、寝不足からのカンジダだろうから
薬をもらって治したいと思っていた。
希望検査項目をほとんど、いいえとしていた。
看護師さんが機転をきかせてくれたのだ。
「この機会に身体をしっかりとみませんか?」と。
おそらく問診票に書いてあったいくつかが
気になったのだろう。
私は性格的なのもあってかなり詳細に書いていた。
看護師さんは決して押しつけがましくなかった。
あまり時間はかからないようだ。
私もせっかくだからとりあえず
やってみてもいいのかも知れないと思った。
いくつか検査を足すことにした。
診察が始まる。先生は落ち着いていて、
端的に話している。
検査の説明を受け、処置室に行く。
ここでは、パンツを脱がなければいけない。
検査で子宮を見るからだ。
ズボンだと服を脱ぐ場所から、
検査の椅子まで情けない格好になる。
バスタオルはあるが心もとない。
検査中はスカートならたくし上げられる。
やはりスカート一択だと思う。
椅子に座る。どんどん椅子が動いていく。
左右の足を置く場所が高くなり曲がった。
釜じいのようだ。
足が自然と広げられた。
薄いカーテンがかかっており、
うっすらと先生の動きがわかる程度だ。
最初は超音波検査だ。
超音波機を中に入れて様子を見る。
これが男性経験がないと、
なかなか入らず難しいらしい。
迷いなく先生は入れる。まぁまぁズシリと来る。
私の横に画面があった。
それをもとに先生が教えてくれた。
妊婦さんが見るエコー画面のようだ。
もちろん何もいない。
これが子宮、卵管と先生が解説してくれながら
見せてくれる。
なんと私には子宮筋腫があった。
検査しておいてよかった。
次は、子宮頸がん等の検査だ。
本当は2年に1回ぐらいが望ましいらしいが、
男性に縁遠かった私は今までは関係なかった。
これからは気を付けなければならない。
私は油断していた。痛みはこっちが本番だった。
クスコとかいう悪魔の器具が私の中に入ってくる。
思わず体に力が入る、でもそれがよくないのだ。
先生の作業に差し障る。
「力を抜いてー」と声をかけられる。
頭ではわかっている。でも難しい。
「深呼吸してー」と聞こえた。
なんとか深呼吸をする。
「そう、上手でーす。」と声が。
気が付くと、私の隣に看護師さんがいた。
心強かった。
私の中は何かしらの炎症状態のようで、
通常より痛みを感じているようだ。
先生が検体採取をしていく。
器具が私の中から出ていく。やっと終わった。
私はパンツをはき、診察室へと向かう。
先生は淡々とでも不足なく
子宮筋腫の説明をしてくれる。
治療は、自分のライフプランに合わせて
考えるのだそうだ。
でも私は、予想外の発見と検査が終わった脱力感で
いつもより話が入ってこない。
そんな人が多いのだろう。
選択肢はある、焦らずゆっくり決めていいと資料を渡してくれた。
詳しい検査結果は1週間後にはっきりする。
1週間経った。
やはり私はカンジダだった。
膣洗浄が行われる。
またしても、あの器具が使われる。
私は気合を入れた。
少し痛みがあるものの、予想は下回ってきた。
気持ちの問題だろうか。
先生は何も言わなかったが、
前回よりもサイズが小さめなクスコを
使ってくれたのかもしれない。
内部洗浄と薬を注入されたようだ。
子宮筋腫の治療を希望するか問われた。
確かに初日、2日目の痛みはきつい。
今まで気合で耐えてきた。
他の女性たちも同じように
耐えているのだろうと思っていた。
私だけ弱音は吐けないと思い込んでいた。
これからは無理はせず、痛み止めを使ってみる。
そのあとで、治療するかを決めることにしたので、先生にその旨を伝えた。
そして会計時に、薬をもらえた。
そこまで調べてはいなかったが、
ここは院内処方だったようだ。
調剤薬局では処方箋がありお金を払うのだから、
正当な患者なのだが人目が気になる時もある。
精神的にも時間的にも負担が軽減された。
予期せぬ幸運だった。
さらにもう一回、洗浄に行った。
挿入感による圧迫感はあったが、
最初の痛みはもうない。
治療が効いているのを実感した。
少し前までの私は、妊娠の予定はないし
そもそも行為もしないので
自分には全く関係のない場所と決めつけていた。
でも生理はどうやってもやってくる。
当事者であることに
今まで気が付いていないだけだった。
ここは配慮に満ちた場所だった。
思い込みが私の世界を狭めている。私は焦った。
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