「いい人でした」で採用すると失敗する(中編)――『雇わない経営』の教科書


「感じのいい人」と「会社で活きる人」は違う

前回、お伝えしたのはこんなことでした。

「いい人でした」の「いい」は、多くの場合、面接した人が面接で受けた印象です。

そして、その印象だけでは、その人が入社後に活躍するかどうかは分からない。

では、何を見ればいいのでしょうか。

今日は、そのお話です。

「感じのいい人」と「与える人」は違う

私は長年、人を見てきて感じることがあります。

世の中には、大きく分けると二つのタイプの人がいます。

人に与えることを自然にできる人。

と、
受け取ることばかりを考えてしまう人。

与える人は、

誰かを助けたり、感謝を伝えたり、相手のためにひと手間をかけたりします。

特別なことではありません。

でも、その小さな積み重ねが、周りとの信頼を育てていきます。

一方で、受け取ることばかりに意識が向いている人は、

「自分がどう得するか」

が判断の中心になります。

ここで大切なのは、「感じのいい人」と「与える人」は同じではない

ということです。

笑顔がすてきな人が、必ずしも与える人とは限りません。

口数が少なくても、周りを支え続ける人もいます。

面接で大切なのは、表面の印象ではなく、その人が普段どんな姿勢で人と関わっているかを見ることなのです。

本当に気をつけたい人

採用で特に難しいのは、「感じがいいけれど、与えることより受け取ることが中心になっている人」です。

こういう人は面接がとても上手です。

笑顔もある。

受け答えもしっかりしている。

その場の空気も良くしてくれる。

だからこそ、見抜くのが難しい。

ところが入社すると、自分の都合を優先したり、周りへの配慮が足りなかったり、感謝より不満が先に出たりすることがあります。

すると、少しずつ職場の空気が変わっていきます。

大きな問題が起きるわけではありません。

でも、信頼が少しずつ減っていくのです。

「いい人だと思ったのに……」

その言葉の裏には、こうしたすれ違いが隠れていることが少なくありません。

会社は信頼を送り合う場所

会社は、感謝と信頼を送り合う場所だと思っています。

与える人が一人入るだけで、助け合いが増え、応援が増え、職場の空気が変わります。

逆に、自分のことだけを優先する人が増えると、みんなが少しずつ疲れてしまいます。

だから採用で見るべきことは、とてもシンプルです。

「この人は、周りに何を与えてきた人だろうか」

感じがいいかどうかではありません。

感謝を送れる人か。

応援できる人か。

誰かのために動ける人か。

そこを見ることが、採用では何より大切なのです。

では、どう見抜けばいいのか

とはいえ、

「与える人かどうか」は履歴書には書いてありません。

面接で少し話しただけでは分からないこともあります。

では、どうすれば見抜けるのでしょうか。

次回は、私が面接で大切にしている、

「与える人かどうかが見えてくる、たった一つの質問」

についてお話しします。

――(後編へつづく)

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