「いい人でした」で採用すると失敗する(前編)――『雇わない経営』の教科書

面接で「いい人だった」は、本当に安心材料でしょうか

面接のときは、とても感じが良かった。

笑顔もすてきで、受け答えもしっかりしている。

「この人なら大丈夫そうだな」

そう思って採用したのに、入社してみると何かが違う。

周りとうまくなじめなかったり、仕事が思うように続かなかったり。

そして気づけば、また一人辞めていく。

そんな経験はありませんか。

そのたびに、「いい人だと思ったんだけどなあ……
と、ため息をついてしまう。

実は、この「いい人だった」という言葉の中に、採用がうまくいかなくなる大きな理由が隠れています。

今日は、そのお話です。

「いい人」とは、どんな人でしょうか

少しだけ考えてみてください。

私たちが面接のあとで

「いい人だった」

と言うとき、その「いい」とは何を指しているのでしょうか。

多くの場合、それは面接で受けた印象です。

笑顔がやわらかい。

受け答えがしっかりしている。

話していて気持ちがいい。

もちろん、それはとても大切なことです。

ですが、それは面接という限られた時間の中で見えた一面にすぎません。

それなのに私たちは、

「感じがいいから大丈夫そう」

と判断してしまうことがあります。

実はここに、採用のミスマッチが生まれる入り口があるのです。

第一印象は、思っているほど当てにならない

これは感覚の話ではありません。

採用に関するさまざまな研究でも、興味深いことが分かっています。

面接官が自由に質問する面接ほど、第一印象や好き嫌いに判断が左右されやすいそうです。

そして、その評価は、入社後の活躍をあまり正確に予測できません。

一方で、全員に同じ質問をして、同じ基準で評価する「構造化面接」は、採用後のミスマッチを減らしやすいことが分かっています。

つまり、

「なんとなく良さそう」

という感覚だけでは、人を見極めるのは難しいということです。

数十分の面接で受けた印象だけを頼りに、これから何年も一緒に働く仲間を選ぶ。

そう考えると、少し心もとない気がしませんか。

「いい人」の基準が決まっていない

もう一つ、大切なことがあります。

それは、「いい人」という言葉があまりにもあいまいだということです。

何をもって「いい」とするのか。

それは、人それぞれで一番にひとによって違いの出やすい言葉ではないでしょうか。

その”いい人”の基準を決めないまま、「感じが良かったから」という理由だけで採用してしまう。

言い換えれば、ものさしを持たないまま人を選んでいる状態です。

これでは、採用が運任せになってしまいます。

もちろん、感じの良さは大切です。

でも、それだけでは足りません。

本当に見るべきものが、他にあるのです。

次回は「会社で活きる人」を見抜く話


次回は、私が採用で最も大切だと考えている「たった一つの視点」についてお話しします。

実は、「感じのいい人」と「会社で活躍する人」は、必ずしも同じではありません。

その違いが見えるようになると、採用はぐっと楽になります。

――(中編へつづく)

※出典:構造化面接に関する採用研究(ビジネスリサーチラボほか)

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