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昭和歌謡曲から人生を学ぶ 第13回🎵「365歩のマーチ」

一歩ずつ歩けば、それでいい

歌には、不思議な力があります。忘れていた思い出を呼び起こし、少し元気をなくしていた心に、そっと力を与えてくれることがあります。

今回のリクエストは、水前寺清子さんの「365歩のマーチ」でしたが、
歌声喫茶では、その力を改めて感じる時間となりました。


🌸 ワンツー、ワンツー。その掛け声から始まった時間

ワンツー、ワンツー! ワンツー、ワンツー!

ギターを鳴らしながら掛け声をかけると、ご利用者様も自然に声を合わせてくださいました。最初は少し恥ずかしそうだった方も、歌が進むにつれて鈴を鳴らし、体を揺らしながら歌っておられます。

特別養護老人ホームのご利用者様の平均年齢は90歳を超えています。それでも、不思議なくらい表情が明るくなります。

リクエストされた方が、こんなことを話してくださいました。

この歌を歌うと、なんか元気が出てくるんだよね。

その一言に、この歌が長い人生を歩んできた方々の心を、どれほど励ましてきたのかを感じました。


🕰️ 高度経済成長の時代に生まれた応援歌

「365歩のマーチ」は1968年(昭和43年)に発売されました。日本は高度経済成長の真っただ中。街には活気があふれる一方で、多くの人が懸命に働き、忙しい毎日を送っていました。

未来への希望はありましたが、生活は決して楽ではありません。そんな時代に、この歌は人々へ語りかけました。

「人生は一歩一歩でいい。」

急がなくてもいい。立ち止まる日があってもいい。また歩き始めれば、それでいい。

だからこそ、多くの人の心に深く残ったのでしょう。


🌱 「三歩進んで二歩下がる」に込められた人生

この歌で最も有名なのが、**「三歩進んで 二歩下がる」**という歌詞です。

一見すると、一歩しか前に進めていないようにも思えます。しかし人生を振り返ると、本当にそうではないでしょうか。

順調に進む日もあれば、思うようにいかない日もあります。失敗したように感じることもあれば、病気や大切な人との別れを経験することもあります。それでも歩みを止めなければ、人生は少しずつ前へ進んでいるのかもしれません。

この歌は、「頑張れ」と背中を押すというよりも、**「焦らなくても大丈夫。一歩ずつでいい。」**と優しく語りかけてくれているように感じます。


🍀 介護の現場で教えられた「今を生きる力」

介護の現場では、この歌が持つ意味をより深く感じます。

90年以上の人生を歩んできた方々は、戦争を経験し、高度経済成長を支え、家族を育て、数え切れない困難を乗り越えてこられました。決して一直線の人生ではありません。

何度も立ち止まり、何度も涙を流し、それでも歩いてこられました。だからこそ、この歌を歌うとき、歌詞は単なる言葉ではなく、ご自身の人生そのものになっているように感じます。

そして今、鈴を鳴らしながら笑顔で歌う姿を見ていると、「人生は最後まで前を向くことができる」ことを教えていただいている気がします。

歌うことは若い頃を思い出すだけではありません。「今日という日を生きる力」を思い出す時間でもあるのでしょう。


🌼 あなたを支えてくれた一曲はありますか

誰の人生にも、苦しかったときに支えてくれた歌があるのではないでしょうか。

励ましてくれた歌。涙を受け止めてくれた歌。もう一度歩こうと思わせてくれた歌。

もしそんな一曲があるなら、久しぶりに口ずさんでみるのもいいかもしれません。歌は過去へ戻るためではなく、今日を少しだけ前向きに歩く力を与えてくれることがあります。

人生は思い通りにならない日もあります。それでも、三歩進んで二歩下がる。

その一歩を積み重ねてきたからこそ、今の私たちがいるのだと思います。

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