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圧力の家 🔥4

父の機嫌が、じわじわと、家を支配し始めた。


原因ははっきりしない。

私が週に一度ほど、
夜中まで飲み歩いていたせいなのか。

勝手に車を買ったことか。

それとも、
理由なんて最初から無かったのか。

─────

父はもともと毎日のように夜中まで
飲んで帰る人だった。

しかし早く帰る日の方が、むしろ厄介だった。

しらふでも苛立ちを隠さず、
帰宅するとすぐ焼酎を手に取る。

そして、部屋にこもり誰かに電話をかけ続ける。

それ自体はまだ、良かった。


トイレや何かで父が部屋の外に出てくる時、
家の空気が一瞬で張りつめた。

獣みたいな目で家の中を見回しながら歩く父。

私と母は、距離を取り、
言葉少なに様子を伺うしかなかった。

妹たちは、それぞれ一人暮らしをしていた。

家の中は、私と母だけ。

父は、遠慮する相手がいなくなったかのように、
不機嫌さをそのまま態度に出す。

最初は、ただ機嫌が悪いだけだった。


しかし次第に、父は物に当たるようになった。

─────

バァン!!


居間の扉を思い切り閉める音。
その瞬間、家がきしみ、揺れる。

足音を大きく立てて歩き回る。
物を投げる。

父は、何も言わない。
その意味の分からない圧は、家中に広がった。

この頃から私は、家に帰ろうとすると
軽い吐き気を覚えるようになっていた。


意味もなく遠くまで延々、
ゴールのないドライブをしたこともあった。

ある時は、できるだけ早く帰り、
全力疾走で自分の部屋に逃げ込んだ。

父が家にいる時間は、心は少しも休めなかった。


背中がぞわりとし、手のひらが冷たくなる。
空気に押しつぶされそうな感覚が、毎日続いた。


ああ、この感覚。

前もあった。


私はただ、かつてのように

息を殺して生きていた。

──────────
🫧この形の私

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