【スピンオフ】当たり前に守られた人たち
【妹たちの章】

愛される子。
それが、真ん中の妹の初めの印象だった。
妹のほうが大切にされている。
私は大事にしてもらえない。
そんな感覚がずっとあった。
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下の妹については、
不思議なくらいエピソードがない。
もちろん、いた。
勉強もできた。運動もできた。
けれど、どんな子供で、何をしていたのか
何が好きだったのか。
思い出せない。
言いつけを守る下の妹は、
親に怒られることはなかった。
けれど今振り返ると、
妹がどんな子だったのかさえ、
私はよく知らない。
けれど、"あの子は、怒られない”
その事実だけで十分だった。
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私と妹たちのあいだには、
距離のようなものがあった。
その距離が何だったのかは、
子供だった当時の私には、分からなかった。
親は、私に対して、しっかりした人間になること、
間違えないこと、
そして、親の期待に応えることを求めていた。
叱責されることは多く、
理由を説明されないまま怒られることもあった。
妹たちは、その場にいた。
けれど、同じ空間にいても、私と同じ扱いを
受けているようには見えなかった。
私は、ふたりがうらやましいと感じていた。
そう感じながら、子ども時代を過ごした。
その感覚は、大人になってからも残っていた。
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愛されていると思っていた、真ん中の妹。
けれど、彼女が実家に戻り結婚するまでの数年間に、
父は妹を傷つけ続けたという。
その内容について、
私は直接その場にいたわけではない。
妹本人から話を聞いただけだ。
彼女が話した内容は、私が過去に経験した出来事と
似ている部分があった。
母は私にこう言った。
「れいちゃんは、あなたよりひどい目にあっていて、
かわいそうだった」
どちらがつらかったか、
どちらがひどかったかについて、
私は答えを持っていない。
測る方法もなかった。
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私が小学校三年生から大人になるまでに
経験したこと。
そして真ん中の妹が、
実家に戻ってから結婚するまでの数年間に
経験したこと。
それが同じだったのか、違ったのか、
それを比べることはできない。
真ん中の妹は、あるとき私に言った。
「やられるのは、お姉ちゃんだけだと思っていた」
「私は大丈夫だと思っていた」
そのとき、反論はしなかった。
妹は、私が子どもの頃から叱責されている場面を
何度も見ていた。
しかし、それを、自分の身に起こることとして
受け取ってはいなかった。
父は、特定の誰かを、
特別に、大切にし続ける人ではなかった。
そのときの状況によって態度を変え、
怒りを向ける相手も変わった。
そのとき父の目に入った誰かが、
”父が選んだ人“になった。
それは、私だけに向けられたものでも、
真ん中の妹だけに向けられたものでもなかった。
そして下の妹は、
一度もその立場に経つことはなかった。
けれどそれも、父の気分次第だったのだろう。
妹たちは、
私が泣きながら過ごしたあの時、
ただ、守られる位置にいた。
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🗝この形の私

