私が"おかしな遊び”をし続けた理由
◎足音でわかる父の機嫌【考察】
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これは、大人になった私が
あの頃の出来事を振り返り、読み解く話です。
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自分でも「変な遊びをしている」と思っていた。
高校生にもなって、
部屋の中でひとり、
「突然雨が降ってきましたー!」
そう頭の中で叫び、
机の上の消しゴムやノートを、
必死に避難させていた。
変わっている。
そんなことは、自分でも分かっていた。
どうして、こんなことするのかな?
私は首を捻った。
────
そのひとり遊びには、ルールがあった。
"避難"させた物は、
ただ屋根の下に入れればいいわけではなかった。
風向きがある。
右から吹けば、
右側は濡れる。
横殴りの雨なら、
壁際に寄せなければ意味がない。
一度避難させても、
風向きが変われば、
もう安全ではなくなる。
だから私は、
風を想像しながら、
絶対に濡れない場所を探した。
もっと奥へ。
もっと安全な場所へ。
全員を。
雨は降っていないのに、雨を感じた。
風が吹いていなくても、急いで避難させた。
何度も配置を変えて、
何度も確認した。
これなら大丈夫。
ここなら濡れない。
そう思えた時、
私は初めて胸を撫で下ろす。
遊びなのに、私は心から安堵していた。
おかしいと思っても、あの安心を味わいたくて
何度も繰り返した。

思い出すと、恥ずかしくて、笑える。
何やってたんだろう、私。
そう思った。
私が、変な遊びをする変わり者だったから
家でも世間でも
はみ出していたのかもしれない。
そんな風にも思った。
けれど、全員を避難できた時の安心感と、達成感。
雨が降った、風が吹いたと想像した時の焦燥感。
ただの遊びにしては、やけにリアルだった。
あれは、一体なんだったのだろうか。
────
あの時の私は、ただ遊んでいたわけではなかった。
安全を、確認していた。
父の足音。
ドアの閉まる音。
声色。
沈黙。
空気。
機嫌。
昨日大丈夫だったことが、
今日は地雷になる家だった。
何が正解か分からない。
どこにいれば安全なのか分からない。
どうすれば怒られないのか分からない。
だから私は、
ずっと周囲を見ていた。
どこなら安全か。
何を守ればいいか。
どう動けば壊れないか。
────
雨が降る。
危険が来る。
急げ。
逃げろ。
でも、
私が先に気づければ、
避難させられる。
全部守る。
誰も濡れなければ、
大丈夫。
雨が降っても、風が吹いても
私は助けられる。
そういう世界を作っていた。
現実では手に入らなかった、
“安全な世界”を。
────
当時の私は、
それを「遊び」だと思っていた。
でも本当は、
安心したかっただけなのかもしれない。
何が飛んできても、
何が起きても、
「もう大丈夫」
そう思える場所が、
欲しかったのかもしれない。
私は、あの遊びを通して
私が生き伸びるルートを探し続けていたのだと思う。

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